「自殺島」(作者:森恒二さん)第4巻あらすじをご紹介するもので、ネタバレを含みます。
第三十一話 漂流
廃病院のベッドに運ばれたリョウとミキ。
唯一の医療経験者の元看護士女性(だいぶ後で名前が明らかになる、タエ)は、ケンカの末亡くなった男性の時の様に「看取る」ことになるのを恐れ、リョウたちを看てくれません。
セイとトモがリョウのもとを訪れると、リョウ同様浜に打ち上げられたミキが、リョウを看ていました。
リョウたちの筏は順調に北を目指して漂流中、海上保安庁の巡視艇に発見されます。
巡視艇に助けを求めようとするも、「君たちは我が国の領海を侵犯している。直ちに”島”に引き返しなさい」という警告後、機銃を撃たれ、筏に巡視艇をぶつけられ…。

バラバラになった筏の、丸太にしがみついて何とか島に打ち上がったのです。
ミキから話を聞いているところへ、スギが。
「すまん、肉を奪われた…!」
「不穏な空気」は、確実な「暗雲」に変わっていました。
一方のリョウは…。
『気が付くと……いつも病院の天井だ……どこにも行けやしない……』
身も心も疲れ果てていました……。
第三十二話 邪な者
数日して回復したリョウに、セイ達は安心します。
しかし無口に、時折険しい表情を見せるリョウ。
セイはトモ・スギと共に、川に保存してあった残りのシカ肉を取りに行きます。
前話で「無法者」たちにシカ肉を奪われたため……。
シカ肉を持って廃校に戻ると、「無法者」たちは女性にちょっかいを出しています。
最初の狩りから戻った時の様に、弓で威嚇しようとするセイ。
そこへ帰還した「リーダー」のリョウが通りがかると、無法者たちは大人しく退散します。
リョウがいることによって、これまで治安が守られてきたのです。
「今みたいな奴らが問題になっている!だから…!!」
スギがそこまで言ったところで、リョウが遮ります。
「やめてくれよ…もう。人に頼るのは……。もう充分頑張っただろ?…オレ…。もう……勘弁してくれ……」

心の底まで疲れ切ったリョウを、誰も引き止めることはできません。
食糧が不足すれば、更に治安が悪化する。
その懸念を払拭するために、再び山に入るセイ。
と、3人の無法者が「武器」を持ってセイの後を追ってきます。
今日中に山頂の小屋へ、という予定を「変更」するセイとイキル…。
第三十三話 山
小屋の場所を知られたくないセイは、山中で野営することに。
無法者たちも、少し離れた場所で野営することに。
たき火を囲み、肉奪還を目論む無法者に、夜の山に慣れたセイが「仕掛け」ます。
「丸見えだよ。いつでも射れる」
すぐにたき火を消した無法者たちですが、直前まで灯を見続けていた目は、すぐに暗闇には慣れません。
真っ暗闇の中、見えない「敵」に怯える無法者は、追い詰められた1人がナイフを振り回して仲間にケガを負わせ、そのまま逃げ出します。
自分からシカ肉を奪おうとしていたことに「怒り」を感じこそすれ、危害を加えようとまでは考えていなかったセイ。
暗闇の中を走る者を止めようとしますが……恐怖にかられた男性は闇雲に走り、崖下に落下……。
「あっ…あいつ!吉村は……!?」
「死んだよ」
「どうせ俺達のことも、射殺するんだろ!?殺せよ!!」
「吉村」に切り付けられた男性の傷口に布を巻きながら、
「ここはそういう場所じゃない。大事な…本当に大事な場所なんだ」

第三十四話 同行
翌日、セイに布を巻いてもらった男性(ケン)がセイの狩りに付いて来ます。
セイの言う「大事な場所」の意味を知りたくて…。
無法者は3人で、崖下に落下した「吉村」、セイについて来る「ケン」、もう一人は先に廃校に戻ったようです。
山に慣れているセイは、山に慣れていないケンに対し、危険だから早く戻ることを勧めます。
しかし意地でも戻ろうとしないケンに、セイは諦め、水分や食料を与えつつ、行動を共にします。
やがて狩場が近づいてくると、セイはケンに「別行動をとろう」と。

ケンを連れたままでは狩りの時間が無くなる、と判断しての言葉でしたが、ケンは「置いていかれた」と解釈してしまいます。
しかし、それでもシカのいる方へ必死に歩き続けるケン。
体力も限界に近づいたころ、やっとシカのいる丘に。
突如、シカの群れがケンの横を一目散に走り去っていきます。
見ると1匹だけ逃げないシカ。
足の付け根には矢が刺さり、周囲ではイキルが吠えています。
茂みから飛び出したセイが、そのシカに向かって止めの一射……!
セイの狩りが成功したのです。
第三十五話 謝罪
セイの狩りに「すっげぇえええ!!!」と、えらく興奮するケン。
そのままシカの解体を手伝います。
先ほどまで自由に野を駆け、草を食んでいたシカを、自分の手で解体していることに、何とも言えない表情のケン。
いつもの通り、食べられない内臓と頭部を地中に埋め、手を合わせ拝むセイ。
「ありがたいなーと思って……いつもやってる」
その姿に心を動かされるケン。
夕食時、
「もしあいつらもここにいたら…オマエから肉を奪い…いうことを聞かなければ…こっ、殺そうと……」
そのままセイに向かって土下座するケン。

同じ未遂者で自分たちは気力もなくし、「やりたいことをやって死ぬ」と破滅的な考えだったのに対し…。
「生きようとして前を向ける」セイ達が、恨めしかった、憎かったと…。
セイも同じでした。
自分で死のうとしていたのに、今日はシカの命を奪い、生きている。
吉村のことも直接ではないにしろ、自分が殺したようなものだと…。
「それでも僕は、前を向く。この島に…海に…森に寄り添って生きる…。決めたんだ…そう決めたんだ…」
自分に言い聞かせるセイ…。
第三十六話 悪夢
自分が吉村を殺した…罪の意識から、悪夢にうなされるセイ。
「吉村が落ちたところ、探しに行ってみるか?」というケンの提案を断り、「目の前の作業」に集中しようとするセイ。
ケンがアバラの周りの肉を焼く間、先住人に習った方法で「干し肉」を作るセイ。
目の前の作業に集中しようとしながらも、食事中上の空のセイが考えていたことは、「自分が殺した」吉村の事。
「あいつがパニックを起こして自分で落ちたんだ!オレも見た!声も聞いた!」
と擁護するケンに対し、
「暗闇の怖さを知っている僕はそれを利用し…意図的に追い詰めたんだ…」
自身を責めるセイ。
ケンが、自身の過去を話し始めます。
親戚の借金の保証人になり、ケンが生まれた頃には多額の借金があった。
真面目な父は必死に働いてそれを返そうとしたが、利子を返すのが精いっぱい。
それでも働き、身体をこわして死んだ…。
中学を卒業したケンは父親の様に働く気にはなれず、家にも寄り付かずその日暮らしの生活…死ぬのをただ待って…。
そんなケンが、セイの狩りを見てショックを受けた。
「自分にも何かできるんじゃねぇか…0になったら前を向けるんじゃねぇかって……。いっ、今は…前を向きてぇ…お前が言ったみたいに……」
仲間になりたいというケンの言葉に励まされ、固い握手を交わすセイとケン……。

第三十七話 帰還
小屋を基地に狩りを続け、3日目にもう一頭のシカを獲ったセイ。
その肉を持ってケンと共に廃校に戻ると、様子がおかしく…。
入り口にはバリケード、校舎の窓も割れた部分が増えています。
セイを出迎えたグループの雰囲気も、どこかよそよそしい…。
原因は「吉村」と「青木」、無法者の2人です。
ケンはセイについて行き、青木は1人廃校に戻りました。
その夜、けがをして衰弱した吉村が廃校に戻ります。
賛否あったものの、看病することにしたスギ。

看病の甲斐もなく、亡くなった吉村。
その吉村の死を、「セイが殺した」と吹聴して回る青木。
「肉をよこせ」と迫る青木に対し、「作業に出てない者に食糧はやれない」と断ると、「そっちに無法者がいるだろーが!人殺しがよ!!」
ケンのように「変われた者」と、青木のように「変われない者」…。
そして青木同様、「諦めた者」が青木側に付き、セイを追い詰めます……。
第三十八話 孤立
「悪いニュースだけじゃない」とスギがセイを連れて行ったのは「畑」。
先住人に聞いた通り畑跡を廻り、見つけた芋をカイと、農業経験者の「ミノル」が栽培し始めていたのです。
セイの正しさを信じるスギやトモとは違い、怖さからかセイを避ける女性陣。
「ボウシ」も「いつか君に『持たざる同士』と言ったけど、間違いだ。謝る。僕には人を殺してまで生きようとする気力は無い。羨ましいよ」
言葉でセイを追い詰めます。
脱出が失敗に終わり島に戻った「元リーダー」のリョウは、誰とも話さず廃校にも戻らず、独りダイビングショップ跡に住む状態…。
「悪いニュース」の方が多い状況ですね。
畑から廃校に戻ると、ケンと青木(と青木に付いた諦めた者たち)がケンカの真っ最中。
ケンカが原因で亡くなった男性もいましたし、すぐに止めに入るスギ。
「こいつはオレ達を弓で追い回し、犬をけしかけ、吉村を殺した!『無法をする者に食糧はやらん』と言ったな!?人殺しは無法じゃねぇのかよ!」
再び「吉村を殺した」罪に苛まれるセイ。
「吉村君はそんなこと言ってない」
元看護士のタエでした。
「看取るのは嫌」と言っており、それが原因で自殺未遂を繰り返し、この島に送られたタエですが、青木も誰も吉村を看なかったため、仕方なく看病についていたのです。

『セイを殺して肉を奪うつもりだった…オレは暗闇の恐怖で逃げ出したが、あいつの止める声が聞こえたよ……』
セイは必死に生きようとしていたのに、自分はそこに気付けず、最後まで人を、自分を信じられなかった。
怪我が治ったら、セイに謝って仲間に入れてもらおうとしていた……。
タエの口から「真実」を聞き、青木に付いていた連中が離れていきます。
その夜、孤立した青木に近づく人物。
「もう…いいんじゃないか?そんなに頑張らなくても…充分だよ。怖かったら…手伝ってあげるから…」
青木にロープを差し出す人物……。
第三十九話 対立
翌朝、イキルの吠え声で目を覚ますと、昨日の「青木」が首を吊っていました。
「自分のせいで…」と考えるセイとタエ。
「この事は誰のせいでもない。彼は最初から生きる努力をしていなかった。わかっていたはずだ…彼自身も」
リョウのいない今、廃校に住むグループの中心的存在・スギの理性的な言葉に、皆が助けられていました。
スギの指示で青木を埋葬し、その日の漁に出かける廃校グループ。
セイが山に入っている間、皆泳ぎが上達しており漁も順調。
セイを恐れていた女性陣も、タエの口から「真実」を聞き、緊張感も緩和された様子。
しかし、海から廃校に戻ろうとする皆を待っていたのは、「諦めた者達」
その中には、第八話でセイを殴ってバナナを奪った男性も。
もちろん、漁で獲った魚を奪うための待ち伏せです。

双方武器になるような棒、バットなどを持ち、一触即発の状態。
数的には廃校グループが優位ですが、「諦めた者達」は人を傷つけることに容赦がなく、廃校グループは劣勢に。
そこに通りがかった「元廃校グループ・リーダー」のリョウ。
が、そのまま過ぎ去って行きます……。
結局、魚を全て奪われてしまった、廃校グループ……。
第四十話 大切なモノ
その夜、一人でリョウの許に向かったセイ。
勿論、昼間自分たちを助けなかった理由を聞きに。
しかし脱出が失敗に終わり、心も身体も疲れ切っていたリョウは、「自分には関係ない」と。
「リョウはいい…失うものを持っていたんだから」
当然、カチンとくるリョウ。
セイは何も持っていませんでした。
何も持たずにこの島に来たけど、「今は持っている」と。
リョウからエリの話を聞いた夜、
「お前に会えて良かった」
リョウからそう言ってもらえたこと。
「ありがとう」と皆に言われ、頼りにされること。
それがセイの「大切なモノ」。
もしリョウが本当に「関係ない」というのなら、セイはリョウからの言葉を失う。
「リョウはあの航海で死んだと思うよ」
そう言い残し、リョウの許を去るセイ。
翌日、皆の反対を押して「漁に出よう」とするセイ。
「今日は弓を持っていくから」
「大切なモノ」は自分で守る覚悟です。
漁を始めようとする廃校グループを茶化す「諦めた者達」
そこに
「やらないのか?入れてもらおうと思ったのにな…。やっぱ…1人じゃあんまり獲れなくて…よ…」

少し恥ずかし気に、戻ってきたリョウ。
「お前らも手伝うんだろ!?来いよ!」
その声で「諦めた者達」を一掃するリョウ。
廃校グループにとって、リョウは必要不可欠な存在です…。















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