この記事は「キングダム 第634話 戦略の破綻」をご紹介するもので、ネタバレを含みます。
追撃
朱海平原の戦いに敗れ、敗走しながら「鄴」を目指す李牧。
王翦の策(「鄴」の周囲の城を落し、鄴に民衆を集めたうえで、鄴の食糧庫を焼き払い、食糧難に陥らせ、城内からの陥落を目論む)により、城内の民衆の不満は爆発寸前。
というより、すでに爆発しかかっています。
そんな「鄴」を目指す李牧に、少数精鋭で追走する秦軍は、ようやく李牧軍に追い付きます。
「王翦軍の数が極端に少ない」との報告に対し、即座に「追いつくために、数を絞った」と気づく李牧。
殿部隊が王翦軍に捕まりますが、李牧は鄴への進軍を止めません。
朱海平原の戦いが始まって「十七日目」。
603話「十五日目の異変」では、朱海平原の戦い「十五日目」の時点で、「猶予は二日」と言っていますから…十七日目である「今日」がタイムリミットです。
鄴の限界が近づいていることを考えれば、立ち止まって秦軍とやり合うことも敵いません。
事実、鄴の城内では民衆と趙兵の小競り合いが、至る所で勃発。
趙兵が槍を突いて民衆を黙らせようとすれば、民衆も負けじと趙兵の武器を取り上げ、反撃します。
李牧をして「賢人」と言わしめる、鄴の城主・李拍をもっても、鄴の陥落を止めるのは、難しい状況。
『まずい…邯鄲軍でも李牧軍でも、誰でもいい
早く来てくれ
このままでは、鄴は……』
鄴の周りを囲む桓騎軍。
城内から聞こえる喧噪。
無言で城を見つめる桓騎。
戦略の破綻
殿軍を犠牲に、鄴への進行を続けていた李牧軍ですが、王翦軍の主攻である倉央と糸凌により、殿の隙間を抜かれ、李牧軍の心臓部を脅かされます。
李牧軍はこれを返り討ちに出ます。
李牧の包囲戦にはまった、一部の王翦軍は、ひとたまりもなく討ち取られます。
しかし、それでも「王翦軍に大打撃」という所まではいかず。
被害を負った軍の将、王翦も「それでいい」と。
この戦い合いは何度も繰り返され、李牧軍は鄴に到着することなく、十七日目は夜を迎えます。
李牧軍は王翦軍に夜襲をかけ、王翦軍は一気に撤退します。
その隙に、李牧軍は反転、鄴に向かって夜通し走ります。
そして十八日目の朝、日の出とともに、ついに李牧軍は鄴に到着しました。
鄴は陥落しておらず、城門も閉じられたまま。
「今のうちに」と城に向かうも、待ち構えるのは桓騎軍。
李牧に「策」はなく、
「本軍を待つ猶予はありません!
力技で突破し、桓騎を討つ!
左右カイネと傅抵にも号令を!
後ろの紀彗軍にも、すぐ来るよう号令を!」
およそ、「あの」李牧の指示とは思えませんね。
「力技で突破」とか。
李牧軍の背後からは、王翦軍も追いつきます。
挟撃を進言する部下に対し、「もう、慌てずともよい」と返す王翦。
疲弊しきった李牧軍と、鄴を包囲していただけで、力の有り余っている桓騎軍とでは、勝負にならない、と。
ではなぜ、李牧は朱海平原で勝てなかったのか?
王翦の才覚が、李牧より勝っていたから?
それを王翦自ら否定します。
自身と李牧の軍略はほぼ互角、むしろ序盤で亜光と麻鉱を失った戦局を見ると、鋭さは李牧の方が一枚上手だったとも。
では、何が…?
「手駒の差だ」
王翦軍は麻鉱・亜光を相次いで失ったが、そこから若き三人の駒(もちろん信・王賁・蒙恬)が台頭し、軍の力は失墜するどころか、神がかった粘りと強さを見せた。
三人が李牧の描いた戦いの絵を、大きく狂わせたことは間違いない。
そしてそれがそのまま、鄴攻略戦そのものの、成否を分ける要因となった。
城門が開き、遂に鄴・陥落…。
長かった朱海平原の戦いも、これで一区切り…でしょうか。
李牧がこの後どうなるのか…ここでそのまま討たれる、ではあっけないですが、あれだけ強かった龐煖も討たれましたし。
邯鄲には、まだ相当の兵力を残していますから、一度邯鄲に逃げるのか…。
次週、そのあたりも何か展開あるでしょう。
期待して待ちましょう!
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