ウシロ(宇白 順・うしろ じゅん)編①
この記事には「ぼくらの」のネタバレを含みます。
自分の地球に戻ったウシロ。
自宅に戻り、父に「一緒に来てくれ。」と。
軍の施設に赴いた2人。
その一室には、カナの遺体が安置されています。
佐々見さんからは「はやまったまねはしないようにな。」と忠告されるウシロ。
父とカナの「対面」の間、廊下の長椅子に座って待つウシロ。
隣に多手さんが座ります。
「田中さんは…」
「あぁ……、今警察が来てて、もうすぐ検案になると思う。見ない方がいいと思うよ。」
検案…医師または獣医師が死体に対し、死亡を確認し、死因、死亡時刻、異状死との鑑別を総合的に判断することをいう。
「ジアースに回収された時に、見ました。」
見たんですね…「自分の母親」という事実を、直前に知らされた田中さんの遺体。
しかも、カナの戦闘の足手まといにならないよう、自身で頭を撃ち抜いた遺体を…。
「知ってたんですか?田中さんのこと。」
「宇白くんのことなら、もちろん。
佐々見さんは、田中さんが関わることに反対したけど、結局田中さんの熱意に負けた。
田中さんは、自分には見届ける義務があるからって」
「田中さんの戦闘機、見れますか?」
カナの戦闘時、「関さんもカンジも死んだ。田中さんだって契約している。その死が少し早まるだけ。」と言っていたウシロですが、田中さんが実の母と知って、その存在が自分の中で変わったのでしょうか。
軍の倉庫に置かれた、撃墜された戦闘機と、射出座席。
しばらく座席の傍でそれを眺めた後、倉庫の端で戦闘機を見ていたウシロ。
そこに現れたのは、田中さんの夫と、娘。
田中さんの娘ということは、ウシロの妹。
名前は「田中未来」。
未来は父親に支えられながら倉庫に現れ、田中さんの「遺品」となった射出座席に泣き崩れます。
その様子をずっと見ていたウシロ。
何かを「決めた」様子で、倉庫を出ます。
「コエムシ、おれを、契約させろ。」
佐々見さんに「はやまったまねはしないように」言われていたんですが…。
ジアースコックピット。
自然学校の最中、あの洞窟で、皆が契約した際に出現した板。
コエムシはウシロが契約した方が面白い、マチはそれに反対します。
「あんたが責任を感じて、無理に契約する必要はないよ。
あんたは生きていくことでだって、立派に責任を果たせるから。
契約しようと思った、それだけで充分だよ。
足りないパイロットは、佐々見さんが探してくれる。
あんたはカナちゃんや田中さんや、カンジのために生きるべきでしょ。」
ウシロは反論します。
「同じだろ。誰かが死ぬんだ。
カナや田中さんやカンジは、おれ達の知らない誰かからすれば、まったく知らない価値のない存在だろ。
そんなもののために、おれ達の知らない別の誰かが死んで、そして別の誰かが悲しむんだろ。
その人も、その親とか兄弟に、大切に想われてるんだろ。
おれがやる。」
迷いもなく、契約したウシロ。
「誰か」がやらなければならず、その「誰か」を大切に想う人がいる。
「誰か」が死んで、それを悲しむ人がいる。
ならば、最初から関わっていた自分が契約するのがスジだろう。
そういう考えなのでしょうか。
ジアースに残された戦いは、あと2戦。
自分たちの地球の、存続のための戦いがもう1戦。
「次の地球」での、チュートリアルが1戦。
ココペリがやってくれたやつですね。
パイロットはもう1人、必要です。
「さ~て、あと一人、どうすっかな~」
板の前に立つマチ。
契約を考えているようですが…洞窟でもマチは契約しています。
が、実際には契約扱いにはなりませんでした。
その理由を「てめーがこの地球の人間じゃねーから」というコエムシに対し、「それが理由じゃなかったら?」と板に手をつき、契約を試みるマチ。
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