「ぼくらの」あらすじ紹介【ネタバレを含みます】(15.マチ①~契約~)


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マチ(町 洋子・まち ようこ)編①

この記事には「ぼくらの」のあらすじをご紹介するものであり、ネタバレを含みます。

10巻表紙がマチです。

カナとの「対面」を終えたウシロの父のもとに、「ウシロが見当たらない」という報せが。

「はやまったまねはしないように」と自分で言っておきながら、監視もつけずにウシロを一人にしてしまった佐々見さん。

「申し訳ないっ!!」

ウシロの父に深々と頭を下げます。

ジアースと契約したであろうことを、予見して。

一方、コックピット内では、コエムシの予想が正しいか、或いはマチが契約できているか、確認です。

ワクから始まり、カナまで。最初に洞窟で契約したメンバー(カナは洞窟ではウシロの止められ、契約しませんでしたが、ココペリの戦闘後に契約)分のマガジンが使い切られ、次のマガジンが装填されます。

次のマガジン=途中で契約した関さん、田中さんの分ですね。

ワクからカナまでのメンバーのイスが、頭より高い位置に移動し、関さん、田中さんの分のイスが現れます。

ぼくらの ©小学館/鬼頭莫宏

田中さんのイスは、ウシロのイスでした。

契約時にもウシロのことを考えていた、ウシロの母・田中さん。

思い描いた椅子は、ウシロのものだったようです。

2人のイスも高いところに移動し、ウシロとマチの番です。

2人のイスが現れれば、ジアースとの契約成立、となります。

まず現れたのは、ウシロのイス。

田中さんの座っていた、射出座席です。

「おれのイスだ。おれが望んだ。」

もう一つ、イスが現れます。

マチのイスです。

「この地球の人間ではない」マチが、この地球で、ジアースと契約したのです。

なんでだよっ!?こ…こんなこと、ありえねーだろ…

珍しく取り乱す、コエムシ。

他の地球では契約できない、いざとなれば自分たちの地球に戻せばいい。

そう思っていたようですが、今回マチは契約できました。

実際、洞窟ではワクに押されて板に触れ、それで契約したはずでした。

しかし、それはココペリの戦闘前。

まだ、ココペリとコエムシ、マチの地球の戦闘は、終わっていなかったのです。

そして、マチはその地球で契約済みだった。

人数オーバーで、マチに順番は回ってきませんでしたが。

「二重契約はできない」

だから、別の地球のジアースパイロットとして、契約できなかった。

けれど、その地球はもう勝ち残った。

その地球の戦闘は終わった。

その地球の契約は、解除された。

だから、今の地球で、新たに契約できたのです。

もちろん、マチもそのことを知っていたわけではありません。

あくまでも「可能性」として考えていただけで、確証はありませんでした。

しかし結果、マチの推測は当たっており、契約できました。

「やっとあたし、楽になれた。」

兄とココペリと一緒に、別の地球からやって来たマチ。

適当なメンバーを探し、契約させた。

自分の手引きで。

そして、そのメンバーの戦いを、コックピットでずっと見てきた。

謝罪と、自責の念。

自分も戦えること、戦って死ねることに、安堵したようです。

オ…オレは認めねー、認めねーぞ…

事態を受け止められない兄・コエムシに対し、

「あたしはこの星のために戦って、死ぬよ。」

マガジンが装填されたので、次のパイロットには「声」が聞こえるはずです。

「来たよ。次のパイロットは、あたしだ。」

コエムシがごねても、次のパイロットはマチ。

待ったなしです。

マチがこの地球の最終戦を戦い、ウシロは次の地球でのチュートリアル、ココペリ役をやることになります。

次の地球の勝敗も、自分の地球の運命に影響する。

コエムシにもはっきりしたことは分からないようですが、

時空の選定があまり進まなかった場合、また戦闘が回ってくる可能性があるんだと。

その時、次の地球をどれくらい勝たせたか、で戦闘の回ってくる確率が変わる。

勝ち数が多ければ回ってきにくい。

本当かどうかは知らねー、聞いた話だ。

それがいつなのかも、分からねー。

1年後か、10年後か、1万年後か、回ってこないのか。

あやふやな分、起きると思って行動するしかねー。

でも…

「あたしが死ぬことになったから、もうどうでもいいって?

この地球のサポートなんかしても、意味ないって?

でも次のパイロットは、あたしなんだから。

それにお兄ちゃん、次が最後の担当でしょ?

それが最愛の妹のサポートなんて、できすぎたシチュエーションでしょ。

手を抜いたら、恨んで死んでいってやる。

だからお兄ちゃん、最高のサポートをしてね。」

ウシロの父の待つ、軍施設に戻ったウシロとマチ。

ウシロとコエムシ、マチが一緒に現れたことで、佐々見さんとウシロの父は「契約したのだ」と悟ったようです。

その後、ウシロは父と、そしてカナと一緒に自宅に戻ります。

カナは車に乗せられる前に、棺に入れられました。

ウシロの希望で、ナカマの作ったパイロットのユニフォームのまま。

あらかじめ、用意されていた、小さなお棺に。

ぼくらの ©小学館/鬼頭莫宏

その葬儀も、ひっそりと関係者だけで行われました。

火葬場付きの公共斎場で。

カナは自然学校のリスト、ジアース関係者のリストに載っているので、その死が知られれば、世間の好奇の目は避けられません。

「パイロットはアンコ、コモ、そしてカタリくん」ということで、コックピット内から映像付きの放送を行ったのが、ムダになってしまいます。

そうならないよう、親戚にも、近所の人にも知らせず、ひっそりと行われた、カナの葬儀。

カンジの戦闘の後、佐々見さんも言ってましたね。

「本来なら国葬級の…」

地球を守るため、カナにとっては地球よりも、兄と父と、守れなかった兄の母・田中さんのために、という気持ちが強いかもしれませんが、それでも10歳の女の子が残した功績と、その葬儀には大きな乖離がありますね…。

大きな葬式を挙げたから、カナが喜ぶわけでもないんですが…。

カナの葬儀に参列したマチ。

「ウシロ、田中さんの方は行かないの?

田中さんの方は、普通にお葬式できるんでしょ?」

「行かなくていいだろ。行けるわけないだろ。」

田中さんの葬儀は、確かに普通に行えるのでしょうが…自然学校リストに入っているウシロ、そして「田中さんの実の息子」であるウシロは、さすがに「行けるわけない」です。

「こんなのは、残された人間のケジメのためにやるんだろ。

だったら、おれには必要ない。」

確かに、もうすぐ死を約束されているウシロにとって、そんなケジメは必要ありませんね。

「ねえ、まだケジメをつけられてない人たちが、いるよね。

この地球の、この宇宙のために戦うのもそうだけど、それ以外に、今のあたし達にしかできないことが、あると思わない?

あたし達で、まわらない?戦ったみんなの、残された人達のところ。」

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