「自殺島」(作者:森恒二さん)第2巻あらすじをご紹介するもので、ネタバレを含みます。
第十一話 英子先輩
セイが「社会」にいて、まだ高校生の頃。
逃避癖が酷くなり、図書館に入り浸っていたセイに声を掛けてきた人。
「英子先輩」でした。

弓道部部長で図書委員の英子先輩は、時々セイに話しかけては、「弓の歴史」について語りました。
英子先輩が想いを寄せる、新婚の弓道部顧問の受け売りを…。
部活中も顧問と2人の世界を作り、周りの部員から疎まれる英子先輩。
図書室で弓道部顧問と言い争う、英子先輩。
その後、泣きながら図書室を去る英子先輩。
そんな英子先輩が、文化祭で「弓の歴史」について展示をするという。
その手伝いをしたセイでしたが、それが英子先輩を見た「最後の姿」になりました。
数日後、屋上から飛び降りて、自分で人生の幕を下ろした英子先輩。
「妊娠していた」と、後に広まった噂。
季節が変わった頃、図書室の「弓具の歴史」と言う本を開くと、英子先輩からの「遺言」が。
「完全に満たされることが起きたから、幕を下ろそうと思います。話、聞いてくれてありがとう」
秋風の吹く屋上で、その「遺言」を読み、細かく千切って風に流すセイ……。
第十二話 ~名もなき墓標~
久し振りに漁で魚が取れ、保存食(干物)を作り始める。
食糧の他にも懸念点が……水温の低下。
バナナが成るような温かい土地ですが、沖縄に住んだことのあるトモ曰く「沖縄も10月から水温が下がって、春までは海に入らない」
常夏のような自殺島にも、確実に冬の足音は近づいていたのです。
第十話でケンカの末、ボコボコにされた男性。
廃病院のベッドに寝かされ、元看護士の「未遂者」女性が看ていました。
抗生剤や炎症止めもなく、根本的な治療ができない状況で、男性の容態は悪化していきます。

その男性にスープを持ってきたセイとトモ。
「漁で……あの…皆で……あんな歓喜は……オレの人生で一度もなかった…オレッ……は…!生きていたい…!死にたく…ないんだ……!」
息も絶え絶えに話す男性。
まだ名前を聞いていなかったことを思い出し、セイが男性に名前を聞こうとするも……返事はありません。
慌てて脈をとる、元看護士女性。
「脈が…何でッ!?……死んでる……!もう…見たくないからこんな……見たくないから看護…やめた……やめたのに……!!」
この元看護士女性、「看取る」ことが辛く、看護師を辞めていたようです。
加害男性に「あの人……亡くなりましたよ」怒りを顕に伝えるセイ。
激しく動揺する、加害男性。
亡くなった男性を埋葬し、『変わらなければ…僕らは…』決意を新たにするセイ。
第十三話 出発
男性は午前中山に入り、午後は漁を行う。
女性は塩田に海水を引き、磯で貝を取る。
そんな習慣ができ始めていた頃、「シイの実」がたくさん取れるようになります。
今が「秋」だと証明するように。
「早く……何とかしないと……」
夜中、いつものように倉庫に籠っていたセイの元を、リョウが訪ねます。
「リョウ君、しばらくグループを抜けたいんだ」
セイの目的は「狩り」、シカを追うために1人山に入るつもりだったのです。
英子先輩に教わった弓の知識で、独力で作った弓を持って。

「廊下に出してある保存食、少し持ってけ。朝…皆が起きだす前に出ろ。騒ぎになるからな。…驚いたぜ…オマエが……オマエ……生きて戻れよ」
早朝、支度をして廃校を出発するセイ。
出発してすぐ、小川で髪を洗っていたのはマリア…。
第十四話 鹿と島と僕ら
シカを取るために出ていくことを、マリアに伝えるセイ。
「……僕は知りたくなったんだ。何故、生きるのか。きっと戻るよ…シカを獲って。僕が食べるその肉を、君にも食べてほしい。純粋に、生きるために」

マリアに告げ、山に入るセイ。
『これから獲物を狩りに行く』
その高揚感から、自分の素直な思いをマリアにぶつけたセイ。
しかし実際に山に入ると、廃校の屋上から見た景色と実際に山に入った景色の違いに、戸惑います。
視界が開け過ぎず、風上を避け、弓をつがえるスペースのある物陰に潜み、シカが現れるのをただひたすらに待つ。
これは遊びではなく「狩り」。
獲る側と獲られる側の、真剣勝負なのです。
長い時間待っても現れないシカに、しびれを切らしたセイがポイントを変えようとすると……待ちに待ったシカが現れます。
第十五話 闇と光
セイの予想に反し、目の前の開けた稜線ではなく、背後の林に姿を現したシカ。
予想外の展開に動揺するセイですが、自分を落ち着かせ、音を立てぬよう背を向き、シカに向かって弓を構えます。
その瞬間、足下の小枝を踏み、小さな音が立ちます。
その音に反応し、セイの方を向くシカ。
シカと目が合った刹那、反射的にセイが射った矢は、シカの首元に命中……も、シカはそのまま走って逃げてしまいます。
野生生物は急所を貫かれなければ、即倒れることはありません。
すぐに跡を追ったセイですが、完全にシカを見失います。
そうこうしているうちに傾く陽。
「森の中で陽が落ちたらまずい」
と考え、峰に登って夜を明かすつもりでしたが、セイの目算は甘く、峰を登りきる前に陽が落ち、森の中で夜を明かすことに…。
完全に陽が落ちると、静寂と暗闇がセイを追い詰めます。
数十センチ先すら見えない暗闇に、セイは一歩も動けず、身体の震えも止まりません。

そんな中、木々の間から見えた廃校のたき火の灯りに、胸を締め付けられる思いのセイ…。
第十六話 野営とマント
恐怖と寒さでほとんど睡眠が取れなかったセイ。
薬の無い時代では、死因の多くはただの「風邪」だったと言われています。
薬の無いこの島で、風邪を引いたらきっと助からない。
もっと考えて行動しなくてはと、改めて思わされたセイ。
この日はひたすら峰の頂を目指します。
やっとの思いで到達した山頂には、山で作業をするために作られたと思しき小屋が。
小屋には毛布があり、たき火と毛布で暖を取り、体力回復に努めます。
必要に駆られてではあるが、考え、工夫し、諦めず行動することが身についたセイ。
ふと、
『ここに来る前からそうしていたら、全く違った人生になったんじゃないか…』
と言う考えが、頭を過ります。
しかし、「もしも」が起きるのは未来だけ…過去に「もしも」は起きないのです。
暖が取れたおかげでよく寝られたセイは、何とか毛布を持っていけないものかと考えます。
畳んでも、そのまま持っていくには荷物になる毛布……。
そこでセイが考えたのは、「マント」。
毛布を切ってマントを作り、それを着ることで「持ち運びやすく」したセイ。
再び狩りに出かけます。

第十七話 生きる事 殺す事
廃校を出る際に持ってきた保存食も少なくなり、食糧を調達しなければ、と焦るセイ。
シカよりも見かける機会の多い「鳥」を狙ってみますが、的の小さい鳥を射ることは、今のセイの実力では難しいようです。
山歩きの最中に調達した「シイの実」や「イナゴ」で、栄養補給するセイ。
そして再び考えます。
なぜ首元を射たシカを、仕留められなかったのか。
ふと思い出す、英子先輩との会話。
海外のハンティング競技で、動物の形をした的の、前足の付け根に円が描かれ、そこに近いほど得点が高い、と言う話。

それが意味するところは…そこが動物の急所、心臓であるということ。
その晩は山頂の小屋に戻らず、狩場近くで夜を明かすセイ。
匂いを警戒されないよう、火も起こさず。
『命を放棄したことのある自分が、あの美しく無垢な存在を殺す資格があるのか…』
そんなことを考えながら……。
第十八話 命を、奪う
予定通り、狩場でシカを待つセイ。
マントのせいで暑い。
残り少ないヘゴの芽で水分を補給するも、水が飲みたい。
今日は日差しが強く、目の前の丘より、林にいるんじゃ……逡巡するセイ。
その実、キツイ状況から逃げ出す口実を考えているだけ…もっともらしい理由で。
『そういうのが得意だったよな…いくらでも考えつく。しっかりしろ!言い訳は誰も聞かない、ここでは』
自分を立ち直らせたセイ。
すると、遠くの林にシカの姿を見つけます。
狩場となる丘に近づくにつれ、セイの緊張も増します。
自由で、美しい姿。

そのシカを命を奪う権利が、自分にあるのか。
再び逡巡。
と、シカと目が合う。
反射的に放った、右手の矢。
シカの前足の付け根に、吸い込まれるように刺さる。
永遠に感じられた、ほんの数秒間の出来事。
血の跡を追ったセイが見たものは、自分が「射った」シカが息絶えた姿でした…。
第十九話 その命の上に
シカを射止めたセイは、すぐさま血抜き・解体に入ります。
そこに、矢を射る時のような迷いはありませんでした。
僅かな知識を辿ることに、集中するセイ。
英子先輩が亡くなった後、英子先輩の遺した本を読んで過ごしたセイ。
弓に関する様々な本。
弓の歴史と、狩りについて書かれた本。
その記憶を辿ることで、シカの解体を進めていきます。
血を抜き、内臓を取り出し、何とか日没までに作業を終わらせたセイ。
夜には、翌日まで日持ちしないであろう内臓(レバー)を焼いて食します。
久し振りの脂、久しぶりの肉、「満ち足りた」食事を終えたセイは、シカの頭部を埋葬します。
ふと、口を突いて出た「ありがとう」という言葉。
命をくれたシカに、シカを育てた森に、島に対して湧いた、温かい気持ち。
それが「感謝」でした。
この島に、シカをいただき、魚をいただき、シイの実を、バナナを、ヘゴを、塩を、あらゆるものをいただき、「生かしてもらった」
奪ったのではなく、もらった。
自分の命は、幾星霜の命の上に立っている。

改めて「生きよう」と考えるセイ…。
第二十話 先住人
シカを仕留めたはいいものの、1人で持って帰るには重く、気温の高さで痛む可能性も高い…。
思案するセイの目に入ったのは、「煙」
廃校からだいぶ離れた地で、知り合いである可能性は低い。
殴られ、バナナを奪われたことを思い出し、慎重に煙の許に近づくセイ。
そこには家と畑、小屋には犬まで。
島に送られた「先住人」の家でした。
最初こそすごい剣幕で、攻撃も辞さない構えの先住人でしたが、セイがシカを獲った話をすると「なんだ、そんな事。燻しゃあいいだろう」

肉を少し分けることを条件に(結局1人で運ぶ量に限界があるため、半分あげたのですが)燻し方を教わり、シカを燻す2人。
先住人が飼っている犬も1匹、もらうことにします。
先住人にとっても「久しぶりの肉」となった夕食時、話はセイが島に来た時の事に。
5~60人が送られてきたと話すと、先住人の顔色が変わります。
そしてセイに向けられる恐怖の眼。
「いい、一体何人殺したんだ!!その若さで…ちょっとやそっとで送られてくるハズがねぇんだよ!!この……無法島に!!」













コメント