「自殺島」(作者:森恒二さん)第13巻あらすじをご紹介するもので、ネタバレを含みます。
第百二十一話 始まりの予感
廃校グループではミノル、タツヤの他にケンジという男性も腹部を刺されていました。
ミノルは重傷、タツヤとケンジは助かりませんでした……。

2人の墓標を作る廃校グループ。
そして「この先どうするか」
「このままやられっ放しじゃ、タツヤとケンジが報われない」と、最初は報復意見に傾きます。
そのためには貴重な戦力である、セイを呼び戻さなければなりません。
「セイは自分達が追い出したようなもの。それを再び戦いのために2人の生活を壊したら、本当に奴らと同じになる」
ミノルが病室で言った言葉に、報復はせず終わりにしよう、という意見でまとまります。
しかし、スギだけは本質を見抜いていました。
リュウとリョウ、スギの3人だけになった際、本音を話します。
自分達未遂者は「辛い事から逃げる」、そういう弱いところがある。
本当に自分たちが引いたら、向こうは何もしないと思っているのか。
そう思い込んで、現実から、辛い事から逃げているだけなのではないかと。
「これは明らかに終わりじゃない…。始まったんだ!最後の…戦いが……」
第百二十二話 サワダの論理
港側グループの女性陣の異変に気付いたトモは、サワダを問い詰めます。
向こうの集落に、何かしたんじゃないかと。
女だけで何かできるか?とごまかすサワダは、話のついでに彼の価値観を話し始めます。
人は皆、生まれた瞬間から死に向かって生きている。
生きている間にやりたいことをやらずして、どうするのかと。
元々サワダは本土にいた頃、ヤクザでもチンピラでもないその下の下っ端でした。
ある時上から大量のクスリを捌くように言われ、商才があったのか売り切ったサワダ。
売人に格上げされた後も、クスリを売りまくるサワダですが、それも自分がクスリに手を出すまでの話。
やり始めたらあっという間、抱えてたブツにも手を付けたサワダは、ヤクザから追われる身に。

クスリのことしか考えられないが、そのクスリは手に入らない。
諦めたサワダは未遂を起こし、島に送られてきます。
飲み水を探すリョウやカイ、セイらと別行動したサワダは、一緒に食べ物を探していた男性が見つけたバナナを、奪い取ります。
その男性を刺し殺して。
それまでクスリの禁断症状で、だるさや頭痛を感じていたサワダでしたが、それらが消えていくのを感じます。
そして気付いたのが、「脳が刺激を求めている」ということ。
クスリによって分泌される脳内麻薬を、刺激によって大量分泌させる。
それがサワダの望みでした……。
第百二十三話 サメ
銛突き漁で獲物を仕留めるセイ。
日も傾いてきて、そろそろ終わろうかと思った矢先、大きめのハタを見つけ、それを最後の獲物にと考えるセイ。
銛は見事にハタに命中しますが、そのハタの周りに現れたのはサメ……。
比較的おとなしいのと、夜行性のため危険は少ないホワイトチップ(ネムリブカ)。
しかし、普段突き漁をしている隣の入江で見つけたのは、3メートルはあろうかというオオメジロザメ。

オオメジロザメを見かけて以降、そちらの入江には入らないようにしていたセイとリヴですが、オオメジロザメの方がセイ達の漁場に入ってきました。
延縄漁も出来ず、突き漁も出来ない深刻な状況に、セイも対抗策を考えます。
板バネで作った大きめの弓に、鹿の角で作った銛先。
得意の弓矢でサメを仕留めようとするセイは、重い弓を引く練習を始めます。
第百二十四話 サメ狩り
対オオメジロザメの準備は、シカ狩りから始まります。
シカの内臓、血でオオメジロザメをおびき寄せるのです。
細かい肉と血をコマセの様に辺りに撒き、浮きブイに内臓を巻き付け、海に放ちます。
あとはラインを岩に括り付け、先端の矢でサメを射るのみ…。
明るくなる前から準備をしていたセイとリヴですが、目的のオオメジロザメが現れたのは明るくなってから。
警戒せず、浮きブイに巻き付けたシカの内臓に、食らいつくオオメジロザメ。
セイの矢は見事にサメを射ますが、ラインを手繰り寄せるどころではない力強さ。
岩に擦れたラインが、「ギギギ…」と限界を知らせる音を出します。

少しずつラインを手繰り寄せ、近くに来たサメにもう一射。
入れ違いで最初に射たラインが切れます。
二射目は「浮き」付きの矢、刺さったサメは海中に潜ったり出たりを繰り返し、疲労していきます。
こうなると、セイとリヴ vs オオメジロザメの持久戦です。
第百二十五話 サメ狩りⅡ
残りの矢は2本。
その1本を尾びれ近くに射たセイ。
リヴがラインを引こうとしますが、オオメジロザメの力はまだまだ強く、危うく海中に引きずり込まれそうに。
浮き付きの矢のせいでオオメジロザメが疲労しているとはいえ、海中に引きずり込まれればひとたまりもありません。
残りの矢は1本。
お互い命を賭けた真剣勝負。
オオメジロザメも簡単にあきらめてはくれず、死力を尽くして暴れ、もがきます。
最後の1本でオオメジロザメの頭を射抜いたセイ。
ラインを引き、岸に引きつけた後は……鉄パイプでメッタ打ち。
最後は力技です。
サメの解体まで含め、1日がかりの大仕事を終えたセイ。
1日戦ったサメに抱くのは畏怖の念。
戦いの最中、一瞬サメの脅威とサワダの脅威とを重ねてしまったセイは、心の中でサメに謝罪します。

『強く獰猛でも、敬う気持ちを持てない相手もいる……そうだ、奴は違う』
第百二十六話 風邪と薬草
サメとの格闘から2日、大量のサメの肉を余すことなく干物にするセイとリヴ。
干物を作るには、大量の塩も必要になります。
塩を作り、サメの肉を干物にし…文字通り「働きづめ」だったリヴの体調に異変が。
作業中、目眩に襲われ倒れたリヴは、触ってすぐに分かるほどの熱がありました。
抗ウィルス薬、抗生物質の無い島の生活では、ケガや風邪が死に直結することもあります。
他に頼る相手がいないセイは、医者の家で育ったトモの言葉を思い出します。
熱によってウィルスを死滅させるため、発熱はすぐに下げてはダメ。
葛の根を煎じて飲むと効果がある。
いわゆる「葛根湯」です。
葛の花を探しながら、自分を責めるセイ。
自分のワガママから廃校グループを出た。
そんな自分に文句ひとつ言わず、ついてきてくれたリヴ。
きつかったはず、不安だったはず、怖かったはず。
なのにリヴはいつも、
「大丈夫?」
セイを心配してくれていました。
何とか葛を見つけ、葛根湯を作ってリヴに飲ませます。
翌日には熱も下がり、回復してきたリヴ。
相手の事、自分のことをもっと大切にしなくてはいけない、そう強く思わされる出来事でした…。
第百二十七話 黄金の波
第百二十話で、港側グループの女性に刺された、廃校グループの農業、畜産の主導・ミノル。
廃病院で元看護士のタエが看ていましたが、しばしば病院を抜け出しては田んぼや畑に向かいます。

稲も穂が出てきてもう大丈夫だろうから休めと、リーダー・リュウが諭しますが
「稲はこれからが大事だ」
と、誰の言葉にも聞く耳を持ちません。
米作りは自分が最後まで、責任を持って全うする。
そんな強い意志、執念すら感じるミノルの想いに、誰も止めることができません。
次第に食事も摂れなくなり、衰弱していくミノル。
リョウが見つけてきたソファを、田んぼが見渡せる場所に置き、ミノルを座らせます。
一日中そこに座り、作業を指示することが多くなったミノル。
「その時」が近いミノルの指示で、涙を堪えながら農作業する廃校グループメンバー。
そして「その時」は訪れます。
一足先に「黄金に染まった稲穂の波」を心に見ながら。

皆に看取られ、満足げな表情で逝ったミノル……。
第百二十八話 ボウシの決意
ミノルの死後、工作室に籠るようになったボウシ。
ボウシもまた、リュウやリョウと同じように戦いから「逃げて」いたのです。
「戦わなければ、戦いは起きない」
その楽観が、ミノルを死なせてしまったのです。
生まれて初めて、ミノルと言う「親友」を手に入れたボウシ。
そのミノルが「殺された」ことをきっかけに、真実に気付いたボウシ。
大切なモノを守るためには、戦わなければならない。
武器作りに没頭し、スリングショット(パチンコ)やボウガン、荷車を改造した「戦車」を作成。

「戦い」となると、セイの力が必要になります。
ミノルの死を知らせようと、ボウシが狼煙を上げたものの返信がなかった。
直接行ってみる方が早いが、戦力になる者は行かせられない。
女性が行くのも危険。
ルポライターの織田とノリオに、白羽の矢が立ちます。
第百二十九話 素晴らしいもの
セイに「戦い」の支援を頼みに行く、織田とノリオ。
山を登り対岸に出たものの、歩き通しで疲れた2人は小休止。
ルポライターの織田は、島に来て「もっとすごいものが見れる」と思っていたと。
グループ同士の争いなど、色々なことが起きているのですが、ルポライターとしての経験で「向こうでも充分過ぎるほど見ている」織田にとって、廃校グループと港側グループの争いも、彼の「見たかったもの」ではありませんでした。
「素晴らしいものが……見たかったんだよ」
小休止を終え、セイとリヴの居場所を探す2人。
海岸線を港側グループの集落と反対側に進むと、かなり歩いた後にやっとのことで、煙が立っているのを目にします。
サワダグループの仲間かもしれない。
慎重に煙の方向に近づくと、セイとリヴでした。
魚を突いてきたセイの身体を拭くリヴ。
魚をさばくというセイを、いいから火に当たって体を温めて、とリヴが止める。

互いが互いを想い合い、大事にしているのが自然と伝わってきます。
『声がかけられなかった…。まるで古い映画の一コマ…一枚の絵画のようで……』
おそらくこれが、織田の見たかった「素晴らしいもの」
ミノルの死、港側グループとの戦いのことを、セイとリヴに話した後
「戻るなよ…セイ。わざわざ戻って殺し合いなんてやることない。君らは…ここで完璧じゃんか!」
廃校に「戻らないよう」説得を始める織田…。
第百三十話 楽園
セイの所に一晩泊り、翌朝戻っていった織田とノリオ。
最後まで織田は、「戻らないこと」を勧めます。
しかし廃校グループが無くなれば、セイとリヴの居場所も襲われる可能性があります。
それにリョウやスギ、ケン達はセイにとって家族のようなもの。

彼らを見捨てる選択肢など、ありませんでした。
戻り支度の途中、今の生活を失う怖さ・寂しさから、子供の様に大声を上げて泣き出すリヴ。
今までリヴにとって「家」とは、不安と苦痛・恐怖の場所でしかありませんでした。
しかし今いる「家」は、セイと共に築き上げた「楽園」。
2人にとってはそれが全てでした。
『失いたくない!生きていたい!!』
強い想いを抱き、翌朝2人は廃校に向けて出発します。













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