「自殺島」第16巻 ネタバレ・あらすじ・感想




「自殺島」(作者:森恒二さん)第16巻あらすじをご紹介するもので、ネタバレを含みます。




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第百五十話 実る生命


サワダの死を、ナオに伝えるレイコ。

元々港側グループにいたナオは、皆の知らないサワダの一面を知っていました。

本性はとても「臆病」なサワダ…。

怯えるサワダを、何度か慰めたことがあるというナオ。


そんな話をしているところで……ナオが痛がり始めます……陣痛!?

タエを呼びに走るレイコ。


一方男性陣。

ミノルが最期まで案じた田んぼは、水抜きの作業に入ります。

後は稲が黄金色になるのを待つ……。

「一面黄金の波だよ!まるで実りを祝うようにね。早くみんなで見たいなぁ…」

生前のミノルの言葉を思い出し、涙ぐむボウシ。


そこへミキが血相変えて走ってきます。

「レイコが……来て……ハァハァ……ナオの…お産が近いかも…っ!」


実際は本陣痛前の前駆陣痛だったようですが、もうお産は近そう……。

不安がるナオの手を、「私がついてる、ずっと一緒だからね」ぎゅっと握るレイコ……。




第百五十一話 タエ


いざという時のために、廃病院の書庫を漁るタエ・ミキ・レイコの3人。

色々役に立ちそうな本を見つけ、「今度勉強会する?」と提案するタエ。


©「自殺島」森恒二/白泉社


そんなタエを、ミキとレイコは頼もしく見つめていました。

最初の頃と随分変わった、今では一番しっかりしてるんじゃないかと。


元看護士のタエ。

過酷なシフトと労働、ミスはすぐに重大な事故につながる、いつまでも続く緊張と疲労、死と向き合う現実……。

日勤・夜勤を繰り返すうち日常になった睡眠薬は、大量に飲まなければ眠れなくなっていました。

『起きたらまた…辛い現実が始まるんだ……起きたくない……永遠に………

大量の睡眠薬を服用する「未遂」で、島に送られたタエ。


私…もう逃げない!

その目は真っ直ぐ「未来」を見据えていました。


廃校の工作室、通称「ボウシ工房」ではボウシとセイが「脱穀機」を製作中。

脱穀、籾摺り、精米…苗づくりに始まったコメが口に入るまで、気の遠くなるような作業を経る必要があります。


そして精米できたコメは、一粒一粒が輝いて見えました。

「見せたかったね……ミノルにも……」

涙を流すセイとボウシ……。


第百五十二話 女子会


男性陣は稲刈りに精を出し、ナオのお腹も下がってきて……コメも命も、「実り」の時を迎えます。

「その時」に備え、タエとレイコが一緒に寝泊まりし始めます。

女三人寄らば…「恋バナ」ですね。


©「自殺島」森恒二/白泉社




「未遂」を起こして「島」に送られた女性が、まさかの「恋バナ」…。

「今度女子会やろうよ!男閉め出してさ!」

話は盛り上がります。


そんな中、ナオに異変が。

今度こそ、本陣痛のようです。


俄に慌ただしくなる廃校。

外では男性陣がお湯を沸かし、ナオの病室にはリヴとミキも手伝いに集まります。

「大丈夫かな…ナオさん…」


第百五十三話 女性達


陣痛の周期が短くなり、本格的にお産が始まりそうな雰囲気。

沸かしたお湯を病室に持って行ったセイとケンも、

ここにいても何もできないでしょ?それよりもっとお湯沸かしてきて!ハサミとか消毒したいから!」

使命感に燃えるタエの迫力には敵いません…。


タエの指示でレイコ、リヴ、ミキが動き、お産の準備。

破水し、ここからが本番です。


「少し前の時代まで、お産で亡くなるのも珍しい話でなかったんだ。それだけの覚悟が必要だってことなんだ!必死…いや、決死で臨まなければならないってことだ!」

「オレ達も皆、そうして生まれてきた。母親たちの…その決意があったから、オレ達は今ここにいる」

スギとリョウの重い言葉……「決死の覚悟」で生んでもらった命を、自分の手で消そうとした「未遂者」だからこそ、重みがあり、その言葉が仲間の心にも響くのでしょう。


長く苦しい戦いの末、やっと生まれた子供……。

しかし、息をしていません。

肺や気管に詰まった羊水を、口移しで吸い出すタエ。


©「自殺島」森恒二/白泉社




そして出産を終えたナオは、その様子を見ながら意識を失います……。


第百五十四話 探していた 答え


ナオが意識を失い、取り乱すレイコ。

レイコ!!落ち着いて!脈はちゃんとある。気を失ってるだけだよ」

リヴが珍しく大きな声を出し、レイコを落ち着かせます。


赤ん坊も、タエの処置で産声うぶごえを上げます。

その産声を聞き、外にいた男性たちが病室に入ってきます。


赤ん坊の顔を見るなり、

「ホラ!もういいでしょ!?男は帰る!」

ミキによってすぐさま外に出される男性陣…。

女性、強いです……。


「12時間……いや、もっとか……ナオの戦ってた時間……」

お湯を沸かし、外で待つことしかできなかった男性陣にとって、想像もできないとてつもない戦い…。

島のように電気や薬がないだけでなく、戦争や天災、飢餓……あらゆる困難があった時代から、繋がれてきた命。

だからこそ、今の自分たちがある。


「知りたくなったんだ…何故、生きるのか…

セイの疑問に答えが出ました。

何百年…遡れば何万年…何人もの人が苦しみ、喜び、繋いでくれた奇跡のバトン。

それを皆が持っている…そのバトンを、捨ててはいけなかった……。


©「自殺島」森恒二/白泉社




第百五十五話 繋がる命


ナオの出産も無事終わり、収穫したコメの脱穀~精米に精を出す廃校メンバー。

これでやっと、コメが食える……!


テンションが上がるケンら男性陣に、女性陣が待ったをかけます。


©「自殺島」森恒二/白泉社




セイとリヴ、ボウシとタエが付き合っていることは、周知の事実。

ならば「ちゃんとした方がいい」と言うのが、女性陣の意見。

「ちゃんと」と言うのは…「結婚式」


当人(セイとボウシ)にそのあたり「ちゃんと伝えたのか」確認すると…

「当然!というかさ、『愛』は毎日伝えるものだろ?」


©「自殺島」森恒二/白泉社




ドヤるボウシ。


旦那
旦那

「持たざる者」とか言ってた頃と、キャラ変わってますね。




「ちゃんと伝えていない」セイは、夕方の屋上でリヴにプロポーズ。

返事はもちろん「YES」ですが、それで終わりではありませんでした…。

「私も言うことあるんだ…バトン…もらったよ!…命の。私…ママになる…!


旦那
旦那

まさかの「デキ婚」……。




第百五十六話 最後の懸念


授乳中のナオの病室で、タエ・レイコに妊娠を打ち明けるリヴ。

「常に安全な出産ができるとは限らないよ…」

「これから」を見据えて、タエは医療の充実を考え始めます。


屋上ではリュウ・スギ・リョウが空を見上げていました。

報道機関と政府のヘリの、追いかけっこ

巡視艇の件といい、島に外部に人が入ってくるのは、そう遠くないことのようです。


リュウが心配するのは、島で行った「罪」

リュウの場合、人を殺めています。

無法の島に打ち捨てられた自分たちの立場を考慮し、

「責められるのは政府の方だろう!リュウにも誰にも科はない!!全員にないんだ!!」


©「自殺島」森恒二/白泉社




リョウも同意見でした。


そして残る懸念は……「カイ」

考えようによっては、サワダよりも恐ろしい男。

弱ったものを手に掛け、それがバレると校舎に火を放ち、サワダに取り入りトモを誘拐火炎瓶を使ったり、女性を刺客に使ったり…。

港側グループの話では、すべて「カイの発案」だったと。


更生は不可能であり「殺すしかない」と断じるリュウとスギ。

リョウだけが迷っています。

「少し…考えさせてくれ……」



第百五十七話 結婚式


女性陣から「ちゃんとしないと」と言われ、実現したセイとリヴ、ボウシとタエの結婚式。

ケンとリュウにとっては、待ちに待った「お米(ご飯)」の日でもあります。


服飾をやっていたという女性(女子会の際に話題に出たサユ。リョウ狙いで、ミキにとってはライバル)に衣装を作ってもらい、準備万端と思いきや…。

もう一つ「準備」が残っていました。


スギによる「司祭」と、「祝福の言葉」

「モノ書きだったんでしょ?4人のために何か考えて!」


©「自殺島」森恒二/白泉社




ミキにハッパをかけられ、祝福の言葉を書き始めるスギ。

以前は書くことが「苦しみ」だったスギですが、今は「書きたい気持ちに溢れている」


自分達の仲間、取り巻く自然、生き物、豊かな実り、血肉となる命、すべてに感謝する。

「君たちはお互いの存在・命に感謝し、この島の廻る命の輪の中で、家族ともいえる私たち仲間と我々を生かしてくれるすべての命の前で、互いの命を全うするまで、愛し合い共に生きると誓いますか?」

「はい、誓います!」

4人が声を揃えて応えます。


旦那
旦那

「神の前で…」とかではなく、この島らしい「祝福の言葉」です。




第百五十八話 宴の影に


結婚式の次は披露宴。

披露宴の挨拶もスギが担当しますが…「祝福の言葉」のように予め考えておらず、グダグダな挨拶に。

しかし、ミノルとみんなの努力の結晶であるお米は、おいしく炊きあがっていました。


「未遂者」である自分たちが楽しく笑い合う…。

「こんな日が本当に来るなんて……忘れちゃいけない、今日のことを」

セイとリヴは改めて未来を誓い合います。


宴席には生後間もない赤ん坊を抱いた、ナオも出席。

「赤ちゃんいいよなぁ」という話の流れから、ミキがリョウに告白を……が、それを察したリョウが

「酔ったから風に当たってくる」

ミキの気持ちを受け止められないリョウ。


「今ならミキのマークがないぞ。行って来いよ」

リュウは「レイコはリョウが好き」と思い込んでおり、フォローしたつもりでしたが…

「鈍いわね……好きよリュウ。気が向いたら口説いてね」


©「自殺島」森恒二/白泉社




大人しそうなレイコがどストレートな告白……。


一方リョウは、セイの席へ。

「オマエは本当に……オレの……自慢の弟だ!!」


©「自殺島」森恒二/白泉社




お互い、兄弟のように慕い合っていた2人。

「僕も…そう思ってるよ!」


酔いを醒ましに、1人で風に当たりに行ったリョウ。

何故オレだけが前を向けない……エリ……オレは……』

未だ忘れ得ぬ、恋人への想い……。




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