「自殺島」(作者:森恒二さん)第15巻あらすじをご紹介するもので、ネタバレを含みます。
第百四十一話 救出作成
校舎の周りは見張りだらけで、屋上に矢を射れる場所は限られますが、木に登りながら何とか屋上に矢を放ちます。
セイの矢だと気づき、結んだリードを引くよう指示を出すのはタエ。
元看護士ということで、けが人・病人を看てきたタエ。
当初は人が亡くなる度に泣いていましたが…。
ミノルの最期をしっかりと看取り、今では女性陣の中でもミキ、レイコと並んで頼れるメンバーです。
屋上にロープを固定し、登れる準備が出来ました。
教室のある方は、ベランダや手すりがあるので登りやすいのですが、その分見つかる可能性も高まります。
残るは校舎側面…手すりも凹凸もなく、腕力だけが頼りです。
比較的細身 or 小柄なリョウ、セイ、ケンが名乗りを上げます。
「僕も……行く……!」
最後に名乗りを上げたのはボウシ。
お世辞にも細くはない体格で、登れるのか…。
皆の説得も「タエのために、タエを助けなきゃ」というボウシの強い気持ちは、変わりません。
第百四十二話 決死の壁登り
先に武器等を袋に入れて屋上にあげた後、いよいよ壁登り。
先頭はリョウです。
長身ながら細身で身軽、腕力もあるリョウですが、それでも屋上までは一苦労です。
その様子を下で見ていたケン。
自分には難しいと、涙ながらに諦めます。
次はセイ。
木に登ったり弓を引いたりして腕力があり、小柄で細身。
それでもかなりキツイ壁登り。
何とか屋上に到達します。
「ケンは…これないと思う…ボウシも…」
セイの言葉をよそに、ボウシが登り始めていました。
毎日ハンマーを振り、木を削って鉄を叩いて鍛え上げた腕。
そして屋上には大切なタエがいる…。
その一心で登り続けるも、腕の力は限界……。
「腕でも身体でも、どこでもいいからロープを巻け!引き上げる!!」
リョウの言葉で、自分の体にロープを巻き付けたボウシ。
屋上から引き上げてもらいます。
やっとのことで屋上に辿り着いたボウシは、タエときつく抱き合います…。
第百四十三話 突入
廃校グループの作戦は「陽動作戦」
リュウたち下に残ったメンバーが見張りを倒し、廃校内に突入。
そこへ屋上組が、上から攻撃するというもの。
首尾よく見張りを倒したリュウたちですが…その異変にいち早く気付いたサワダ。
廃校グループの人質も含め、女性を全員裸にし、「人間の壁」を準備します。
一方廃校グループは作戦通り、下から攻め込み相手の気を引き、屋上側が攻撃。
自分達が守りのために準備した武器を使われ苦戦するも、徐々に相手の戦力を削いでいきます。
女性陣を全員裸にしたサワダ。
「いいか、オマエら!こうなったらもう、楽しんだ方が勝ちだ!この異常で刺激的な状況を…徹底的に楽しむぞ!いいな!!」
求めていた「刺激」下におかれ、1人興奮するサワダ…。
第百四十四話 誰の為に…
ミキ・ケンのスリングショットで、校舎内の戦いを優勢に進める廃校グループ。
対する港側グループも、廃校グループが作っておいた盾を持ち出し、スリングショットを防ぎながら攻撃に出ます。
スギが避けたその攻撃を受けたのは、後方からスリングショットを撃っていたミキ。
「戦いに向いていない」性格を自負するスギですが、ミキが相手の攻撃を受けたことで完全にキレます。
ミキがリョウに想いを寄せている描写はいくつかありましたが、そんなミキにスギは好意を寄せていたのでしょうか…?
しかしそこはやはり「戦いに向かない男」スギ。
あっという間に劣勢に…倒れたところを槍で突かれそうになります。
「…ま…待って……っ……!」
刺される……内臓を刺されたら、ミノルの様に助からない…観念して目を閉じるスギですが、相手は刺すことを躊躇しています。
スギを刺そうとしている彼、九十四話でセイに逃がされた彼でした。
セイが廃校を出るきっかけになった出来事でしたね。
躊躇う彼を、港側グループの仲間は「早く刺せ!!」と。
そこに駆け付けたのは、屋上から降りてきたセイ。
「誰のために戦ってる…?誰の為に死ぬんだ…?僕は死にたくない、殺したくない!!君らはどうなんだ!!」
セイの問いに答えられない彼……槍を下ろし「行けよ……人質はこの奥だ……」
セイの問いに「応えた」彼のおかげで、人質のいる場所に辿り着いた廃校グループ。
その教室から出てきたのは、裸にされ、昔の罪人のように手首と腰を互いに縄で繋がれた人質女性。
その中にはトモの姿も……。
第百四十五話 ~挟撃~
「人間の壁」を前に、廃校グループを煽るサワダ。
親友トモを貶める行為に完全にキレたセイは、人質の隙間に見えた港側グループの男性の腕を射抜きます。
人質がいても外さない自信と、躊躇なく「敵」を射る覚悟を決めたセイ。
自分を守るため、隙間なく人質を並べようとするサワダですが、「それでも射れる!」とセイ。
「やれ!」
サワダの合図とともに、教室側にいた人質女性が槍で突かれ、腕にケガを。
教室内からカイが槍で突いたのです。
「持たざる者」以下になったカイ、堕ちたもんです。
武器を捨てるまで人質を突くのを止めない、というサワダ。
3階の窓からミヤノを落し、殺してますから…ブラフでなく本気なのでしょう。
その頃スギの指示で、ケンとボウシがサワダの背後に回っていました。
前後からの挟撃です。
ケンのスリングショットがサワダにヒットしたのを皮切りに、一斉に攻め込む廃校グループ。
せめてもの抵抗と、人質を槍で突こうとするカイですが、こちらはボウシのスリングショットで撃たれます。
「言ったろ?君は何もできない」
サワダを囲もうとする廃校グループと、それを阻止しようとする港側グループ。
サワダを倒すまで、あと一歩……!
第百四十六話 許す事 殺す事
ケンのスリングショットがサワダを狙いますが、彼の迫力に気圧されたケンが外します。
助けを求める港側グループの男性を鉄パイプで殴り、教室の窓からロープを伝って逃走を図るサワダ。
地上に降りたところで目に入ったのは、数人の女性。
彼女らを人質にしようと考えるサワダですが、その中にはイヴが。
背を向け逃走するサワダに、イヴは矢を放ちますが、肩口に刺さっただけ…。
サワダの逃走を許してしまいます。
サワダはケンのスリングショット、イヴの矢を受け、出血しての逃走。
「イキルなら匂いで追える」
セイとケン、リュウがサワダを追うことに。
港側グループの女性たちが口々に
「あの人を…サワダ様を殺さないで!」「あの人が死んだら…私たち、生きていけない!」
完全にカルト宗教の教祖ですね…。
「誰がサワダだけ殺すといった…?もちろん君たちも殺す!彼が死んだら生きていけないんだから、当然死ぬよな?」
港側グループの女性に、ミノルは殺された……親友を殺されたボウシの怒りは収まりません。
「サワダに言われ、仕方なくやった」と反論する港側グループ女性。
そうであろう事情は考慮するも、立場が逆なら廃校グループが皆殺しにされた可能性も否めない…。
それに、廃校グループは外の見張りを含め、誰一人殺めていません。
「発言には注意するんだな」
リュウが港側グループのメンバーを諫めます。
港側グループ女性と共に、保護されたトモ。
「あいつを殺すんだよね……?分かってる、そうするしかない…。でもあいつは…病気なんだよ……薬物依存の影響で、どこまでも刺激を欲するアドレナリン中毒……。あいつも苦しいんだ…同じ未遂者なんだ……」
アドレナリン中毒……「物理的、社会的、法的、財政的リスクを無視した、新規で強烈な経験の追求」で得られる感覚の追求に取り組んでいる人のことを指す。
ウィキペディア(Wikipedia)より
サワダに同情するトモ…。
第百四十七話 追跡
イキルの嗅覚を頼りに、逃走したサワダを追うセイ・リヴ・リュウ・ケンの4人。
前話の
「サワダは病気なんだ。あいつも同じ未遂者なんだ」
というトモの言葉に対し、
「ここには刑務所も更生施設もない。奴は生きている限り刺激を求め、凶行を繰り返すだろう」
というスギ。
「殺すしかない」という結論に至ります。
山を越え、自分達の集落に戻ったのかと思われたサワダ。
実際にはセイとリヴが暮らしていた家の近くで、彼を発見します。
鉄パイプで殴りかかるリュウ、槍で突くケン、弓を構えるセイは…暗殺のときのような躊躇はありません。
逃げ回るサワダの背に、矢を射ます。
逃げ場が無くなり海に飛び込んだサワダを、リュウが追おうとします。
「ダメだ!!もう日没だし、サワダは出血してる…。この時間が最も危険なんだ…」
この海の怖さを、セイは良く知っていました……。
第百四十八話 サワダの最期
サワダが飛び込んだ海の近くで漁をしていたセイ、日没近くの時間になると現れる生き物の存在を知っていました。
かつて死闘を繰り広げた「サメ」です。
体長2mほどのサメが人を襲うことはほとんどありませんが、血を流していれば話は別です。
「サワダ!!すぐに海から上がるんだ!!」
セイの警告を無視しするサワダに異変が…。
身体の至る所から出血し、そこにサメが噛み付くのです。
サワダの周りの海が、赤く染まっていきます。
「ハハハ……ハハ………ハハハハハハ!!!こりゃいい!!人食いが…っぐっ、食われる…なんてよ…っ!」
「食われる」ことに刺激されたのか、興奮するサワダ。
そんなサワダをオオメジロザメが一噛み、暗くなった海中に連れ去ります……。
廃校に戻った4人。
決めなければならないのは、港側グループメンバーの今後について。
「サワダはオレが殺した。やらなきゃあ終わらなかったからな。そしてオマエらを全員殺せば、今日ですべて終わることが出来るんだ」
いつ襲われるか分からない恐怖に震えながら、暮らしていくことなんてできない。
リュウの意見に「話を聞いてくれ」と出てきたのは、以前セイに助けられた、港側グループの「ヒロ」
第百四十九話 また いつか…
サワダの命令に従い、廃校グループの人間を殺そうとし、実際に殺してきたことを認めたうえで
「本当は皆…いい奴なんだ…殺さないでやってくれ!!」
自分の命と引き換えに、仲間を助けてくれと申し出るヒロ。
今までに殺されたミノルらの無念とばかりに、鉄パイプを振り上げるリュウですが……。
彼の頭に鉄パイプを振り下ろすことは出来ません。
「ダメだもう…オレには……許してくれ……皆……」
もう人を殺す事に、傷つけることに耐えられない、優しいリーダー・リュウ。
ヒロを中心に纏まりつつある港側グループを、解放することを決めます。
物資が困窮すれば、争いの原因になるかもしれない。
廃校で増えすぎたニワトリを渡し、
「また……いつか!」
ヒロと握手で別れるセイ。
お互いのエリアには近づかない。
連絡がある場合は1人の使者を送るなど、基本的な取り決めを交わして別れた両グループ。
そして残されたのは……港側グループが「処遇はそちらで決めてくれ」と引き渡されたカイ。
処遇が決まるまで、トイレに監禁されることに……。
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