「自殺島」(作者:森恒二さん)第14巻あらすじをご紹介するもので、ネタバレを含みます。
第百三十一話 ミノルが残したモノ
セイとリヴが廃校を出て今の住居に辿り着いたとき、山道を歩いたため2日がかりの移動でした。
今回織田とノリオに教えてもらった道路を通ると、半日ほどで移動できる距離。
そして同時に、港側グループまでもそれほど遠くないことにも気付かされます。
いつ襲われるか分からないリスクを考えると、やはり2人にとって「戦わない」という選択肢はありませんでした。
廃校に戻り、ミノルの墓に手を合わせたいセイ。
他に亡くなった者たちの墓は、海の見える丘に建てられていました。
ミノルの墓は…最期までコメの出来を案じ、ソファに座りながら指示を出し、眠りについた場所に…。

初めてミノルの死を「実感」したセイ。
ミノルが残してくれた田畑、バナナや卵、羊…それらが今の自分たちを生かしてくれている。
感謝と悲しみで、大声を上げて泣くセイ。
その後、今回は「徹底的にやる」という話をリュウから聞かされます。
サワダ、カイはもちろん、戦いに参加する者、抵抗する者は「全員殺す」と……。
第百三十二話 ~もし闘わば~
ボウシが作ったスリングショットを練習する、廃校グループの面々。
ボウシもケンも、リュウもリョウもスギも、戦う覚悟はできているようです。
「助けを求めてきた女性に刺され、目の前でタツヤ、ケンジ、ミノルを失った」

とはいえ、やはり「港側グループの殆どを殺す」ということに納得しかねるセイ。
以前同様、トモ奪還作戦の際に港側グループの見張りをしていた男性に、再びヒアリング。
「オレ……殺されんのか?」
港側グループの女性が来て、こちらの3人が殺されたことを聞いていた男性。
「世話んなったケンジさん…とかミノル君とか…最近見かけねぇし…」
報復に自分が殺されるのではないかと、怯える男性。
以前は「こんなんじゃ共倒れになる」と、あくまで自分達(サワダ)の考えが正しいと思っていましたが…。
廃校グループにしばらくいて、サワダのマインドコントロールが解けているようで、
「向こうにいた時は普通に…正しいと思ってたんだよ!あの人が言うと、正しく聞こえるんだよ!!」
セイは確信します。
やはり敵はサワダとカイのみ。
ほとんどの人は操られているだけ。
「行ってくるよ…闇に潜んで……サワダを討つ!!」
第百三十三話 暗殺
夜明け前に港側グループの集落に到着するよう、夜のうちに廃校を出発したセイとリヴ。
狙うはサワダの首一つ、です。
途中から山に入り、仕掛けられた罠を取り外し、退路を確保しながら進む2人。
「当たっても外れても、一度しか射れないと思う。射ったらすぐ逃げよう、いいね?」
明け方、早くから作業に出かける女性たちに交じって、トモの姿も。
トモはいたって普通の様子。
ミノルたちが、トモの周りの女性たちに殺されたことを、知らされていないようです。
港側グループにも、当たり前に生活がある。
皆生きるために働き、暮らしている。
『その生活をいきなり卑怯な手で乱して良いのか…?』
セイの気持ちに乱れが生じます。
そして姿を現すサワダ。
「サワダを討つ!」
意気込んで乗り込んだセイですが……やはり人を射るとなると、迷いが生じます。

放った矢はサワダの肩口をかすっただけ。
「必ず捕まえろ!!殺せ……ブッ殺せぇ!!」
一転、追われる立場になったセイ。
第百三十四話 包囲
矢を射る直前まで迷いに迷ったセイ。
射た矢も、サワダに気配を悟られ、「そこか!」と気づかれ、反射的に射ただけ。
勇んで出てきた結果に、呆然とするセイ。
リヴが逃走を促し、やっとのことで走り出します。
逃走ルートは確保していたものの、地の利は向こうにあります。
先回りされ、包囲されるセイとリヴ。
道路に降りられず、山道を走り逃げる間に、リヴが足を挫きます。
このままではやられる。
走り寄ってくる港側グループの男性に、矢を一射。
「リヴを守る」という一念で集中するセイ。
矢は男性の肩に命中します。
しかし矢は一射一射の間に時間がかかります。
その間に間を詰められ、白兵戦に。

弓 vs 鉄パイプで分が悪いセイ……そこに、飛びかかってきたのはイキル!
第百三十五話 戦いへ~
イキルを連れてきたのはリュウ、ケン、ボウシでした。
イキルの突進に怯んだ男性は、背を見せ逃走…。
そこにボウシ作のスリングショットを打ち込むケン。
ナットを弾に一斗缶を貫通するスリングショットは、殺傷力が高く相手の男性に瀕死の重傷を負わせます…。
セイとリヴが出発してすぐ、吠え出して手に負えなくなったというイキル。
セイとリヴに向かって一目散に走るイキルを追って、リュウ・ケン・ボウシが援軍に来たのです。
今回のことで、完全に後には引けなくなった廃校グループ。
しかし肝心のセイは、完全に自信を喪失していました。
一方港側グループ。
「とうとうオレ達に選択肢は無くなった!ここにもう平和は無い!!」
サワダの演説が始まります。
足下には、ケンのスリングショットを頭に受けた「オカモト」。
亡くなったようです。

「奴らはただオレ達が、生きてることさえ許してくれない!皆!!教えてくれ!!どうすればいい!?」
港側グループのメンバーは口々に「戦おう!!」「戦うしかない!!」
女性を使って廃校グループ3人を殺し、そこに触れずに自分たちの被害を主張し、戦いに仕向ける……。
これがサワダの「マインドコントロール」です。
第百三十六話 決戦
セイがサワダの暗殺に失敗した翌日、廃校グループは総力戦に打って出ます。
リーダー・リュウの指示のもと、ミキら一部の女性もスリングショットで参戦。
「戦いはこれで最後だ!!いや、最後にしよう!!」
皆の士気を高めます。
セイとリヴは「昨日の今日」ということもあり、廃校で待機。
延縄の引き上げをして待つことに…。
作戦は山班・海班の二班に分かれた「挟撃」
港側グループの住居手前で待機、スギの笛を合図に一斉に住居に押し入りますが……。
中はもぬけの殻。

廃校グループの襲撃は予想されており、港側グループは山道を行軍中……。
「見えたぞ……さあ、引っ越しの準備だ」
サワダの先導で、全員で廃校を目指していました。
襲撃に参加しなかったセイ。
リヴ、織田と共に漁から戻ると、廃校の異変に気付きます……。
第百三十七話 侵攻
廃校の異変に気付いたセイ。
身を潜めて様子を伺うと、ちょうど山から出てきた港側グループが、廃校に侵攻していくところ…。
セイ、リヴ、織田の3人に対し、向こうはグループ全員。
まともに戦っても勝ち目はありません。
廃校の様子を見るため、山に向かうセイとリヴ。
織田は海岸通りから戻ってくるリュウたちに、状況を報せに走ります。
廃校に残っていた女性陣と一部の男性は、屋上で干物づくりの作業中。
港側グループの侵攻に気付いたものの、すぐに数人が取り押さえられます。
残った者はボウシの彼女・タエの指示のもと、投石などで応戦する準備を進めます。

一方港側グループは、廃校グループが守りに使おうとしていた武器を調達。
廃校グループ vs 港側グループの総力戦は、もう目の前に……。
第百三十八話 門の攻防
織田の報せを受け、廃校に戻ってきたリュウたち。
校門を突破しようとしますが、自分達が守りのために作った有刺鉄線、投石台をそのまま港側グループに使われ、苦戦します。
校舎内にタエを残しているボウシは、気が気でなく、無理に突っ込もうとします。
屋上前にバリケードを設置し、上がってくる港側グループを投石で撃退する廃校グループ。
指揮を執るのはタエ。
敵を威嚇し、仲間を鼓舞しながら戦います。
校門側の戦いは、ミキのスリングショットに活路を見出します。

盾を持っているものを前線に、後ろからのスリングショットで、校門を守る港側グループを押し返します。
いよいよ校門を突破しようという時、サワダが恐ろしいことを口にします。
廃校の校舎内に残っていた面々を前に、
「ここにいる方々にしっかり働いてもらおうぜ。何せ人質っていういうくらいのシロモンだ。どんな効果があるか、楽しみじゃねぇか」
第百三十九話 恫喝
校門側の戦いは、廃校グループが完全に巻き返します。
いよいよ校門を突破したところで……
「オラァアアア~~!!ちゅ~~も~~く!!」
校舎窓から叫ぶのはサワダ。
今校門から入ってきたリュウらに、3秒以内に門から出なければ人質を落す、と。
「いぃ~~ち、にぃ~~い、さんっ!!」
迷いなく人質の背中を刺し、そのまま窓から突き落とすサワダ。
後ろ手に手首を縛られた「ミヤノ」はそのまま落下、絶命します。
「ヨォ~~シ、次はこの女だ~」

サワダの言葉にブラフはないと知った廃校グループ。
すぐに校門の外に退散します。
「そこのデブ!オマエの女、この中にいんの?」「皆でカワイがってかるからな!」
校門を奪い返し、ボウシを煽る港側グループ。
何も言わず、スリングショットで矢を射るボウシ。
その矢は木の板に、深く突き刺さります。
「もし彼女に何かあったら、君らの目をえぐり身体を切り刻んで…その悲鳴を聞く為だけにこの命を使う」
怒り心頭のボウシ。
人質がいるため、強行突破できず、悩むリュウ。
つい先ほどサワダに突き落とされた、ミヤノの顔が頭から離れません。
そんなリュウのもとに現れたのは、港側グループに寝返ったカイ……。
第百四十話 ボウシの宣告
廃校グループにカイが持って来た話は、「人質交換」
「リュウ・リョウ・セイの3人と、人質全員を交換する」と言う条件に、「問題外」と返すスギ。
人質交換を断ったと知ったサワダが、人質に何をするか。
「心配にならないかい?ボウシ」
煽られたボウシですが、カイの挑発には乗りません。
「哀れな人だ、君は…」

自分を何も持たない「底辺の人間」だと思っていたボウシ。
しかし島に来て友達ができ、大切な人も出来た。
だからこそ見えた、「自分より低い、本当に何も持たない人間」、それがカイであると。
最初こそ、その知識で廃校グループの中心だったカイですが、自分で実践する体力も技術も気力も持たない。
自尊心の大きいカイは、グループ内で自分の位置が徐々に低くなっていくことに耐えられず、弱い人間を騙すことに夢中になった。
しかしそれもバレると、早々に逃げ出しサワダに取り入った。

この辺りはサワダにも言われてましたね。
「てめぇは口先だけで人を知らねぇ。実践が足りてねぇ。典型的な引きこもりのガキだ」
返す言葉もないカイは、ただ震える事しかできません。
しかし、カイを言い負かしたところで人質の危険は変わりません。
山の方から廃校の様子を見てきたセイが、皆に伝えます。
「屋上の人達、タエちゃんたちは捕まってないよ。助けに行こう」
矢じりに結んだロープで、直接屋上に登るという作戦。
「必ず屋上に矢を届かせるよ!!」
力強く宣言するセイ…。
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