【この記事では「監獄実験~プリズンラボ~」第6巻のネタバレ・あらすじをご紹介します。原作: 貫徹/作画:水瀬チホ】
懺悔
勝又誠司の失踪後、長峰・新村・原川の3人は、勝又誠司を探しました。
勝又誠司は娘・幸を襲った犯人(と勝又誠司が思っていた)津上奏太を、追っていました。
幸の見舞いに現れた津上奏太。
それを病院で待っていた勝又誠司。
その2人の目の前で、幸は病院の屋上から飛び降り、自ら命を絶ちました……。
監禁ゲームとしては、大きな事件があったゲーム9日目、愛都はほぼ1日監禁室にいました。
桐島彩と対峙する愛都は、なぜ自分をイジメたのか、桐島彩に尋ねます。
「江山は弱いから…。だからイジメた……。」
愛都には理解できません。
何かが桐島彩を狂わせたのだとしたら、それは何だったのか…?
「3年前にレイプされたからか?」
桐島彩の顔には、驚きとも恐怖ともつかない表情が…。
暴行された八つ当たりで、理不尽な暴行を受け、自分の人生はズタボロになった。
イジメられ、ストーカー扱いされて、そんな場所にはもう戻りたくない。
「これからどうすればいい…?どう生きていけばいい?」
と問う愛都に対し、
「戻れる……。私は、帰りたい…。強くなった江山と一緒に……あの頃に戻りたい…」
「江山も強くなったよ。学校にいた頃とは違う」
しかし愛都は、気付いていました。
自分が強いのは「監禁ゲームの中」でだけ。
「与えられた役の中」でのみ。
九字間の言葉です。
「俺は戻らなくていい…。お前に復讐できるなら、それでいい。ここでお前を殺しておけば、もう二度と裏切られる心配をしなくて済むしな…」
「いいよ……。江山がそうしたいなら、それでいい…。私を殺すなら、それでいい……」
桐島彩の懺悔のような言葉を背に聞きながら、監禁室を出る愛都。
不退転
愛都の部屋では、勝又誠司を探すため1日不在にしていた原川が、お詫びとばかりに夕食を用意して待っていました。
「いつも桐島を殺すつもりで、監禁室に行く。けれども桐島の苦しんでる顔を見ると、それ以上手が出せない…。弱くて、情けない自分が嫌になる…」
弱音を吐露する愛都に対し
「それは桐島ちゃんも同じなんじゃないかな?自分で手を出すことができなかったらから、他人を利用して江山君をイジメてた。むしろ僕には、彼女が一番弱く見えるけどね」
「きっと僕自身…まだ、未練があるんです…中学時代に…。だって、しょうがないじゃないですか。僕は桐島彩が好きだったから……」

「それが江山くんの結論なら、戻ることを選択してもいいんだよ?」

これは原川の「悪魔の囁き」なのか、あるいは「天使の囁き」なのか…。
しかし愛都には、戻るつもりなどないようです。
秋山奈美が監禁ゲーム会場に連れて来られていることを、聞いていた愛都。
「情報聴取」の報酬として、秋山奈美を監禁室に呼べないか、原川に申し出ます。
監禁相手の追加とまでいかなくとも、その権利を使って秋山奈美を桐島彩に会わせる。
そうすることでゲームの存在は外に漏れ、愛都の戻る場所は本当になくなる…。
自ら戻る場所を無くし、退路を断つ。
不退転の覚悟で、監禁ゲームに臨む愛都。
一方、娘・幸を失った勝又誠司。
毎日1時間は監禁室にいないと失格になりますが、津上奏太を追っていたこの日は、まだ1分たりとも監禁室に入っていません。
「今ならまだ間に合います」
長峰に促されますが、自分の唯一の生きがいである娘・幸を失った勝又誠司に、その言葉は届きません。
『もう俺には……生きる理由がないんだよ……』
監禁ゲーム10日目
勝又誠司は担当・長峰から「失格」の知らせを受けます。
長峰が持ってきてくれた幸の荷物を整理していると、幸から勝又誠司に宛てた手紙が入っていました。
父への感謝、自ら死を選ぶことへの謝罪、更には母の浮気、そして浮気相手の男に乱暴されたこと。
誰にも話せず、1人で抱え込み、苦悩した様子が手紙には綴られていました。
最後に長峰から「鍵」が渡されます。
監禁相手の倉梨エリカの手錠を解く鍵です。
監禁ゲームは、倉梨エリカの勝利。
勝又誠司が会場を去った後、倉梨エリカは解放される予定です。
しかし勝又誠司が望むなら、今すぐ倉梨エリカを解放できる。
そのための鍵です。
鍵を受け取り、監禁室に入る勝又誠司。
丸一日、監禁室に入らなかったため、糞尿を垂れ流した倉梨エリカ。
監禁室内からはひどい悪臭がします。
今まで倉梨エリカに対し、紳士的に対応してきた勝又誠司。
娘を亡くし、妻の浮気を知った今、勝又誠司の心は、酷く荒んでいました。
そして、目の前の倉梨エリカも、浮気をしていた……。
「俺はもうこの部屋に入るつもりはない。ゲームは倉梨、お前の勝ちだ。そのうち助けが来る。しばらくそこで反省してろよ、浮気女。俺の妻も、お前みたいに浮気してたよ。俺が家庭を壊したわけじゃない。悪いのは不倫して、勝手に出て行った妻だからな!倉梨、お前は浮気して、家族を裏切って、楽しかったか?」


悔しさを精一杯言葉に込め、倉梨エリカにぶつけ、監禁室を出る勝又誠司。
自分の浮気を許して欲しい…自分が許されたい…その一心で、素直に監禁生活に応じ、愛都に対しても「許せばいいじゃないですか」と聖母のような対応をしていた倉梨エリカ。
勝俣政治に裏切られ、その表情は一変します。
「約束が違うだろぉ!お前も私を裏切って…ここまでしてやったのに…許さない…勝又。絶対、絶対に!」
倉梨エリカ
世間知らずの箱入り娘である倉梨エリカは、5年前に先祖代々医者の名家に嫁ぎました。
3年後には子供も授かり、今後も何不自由ない生活が送れるものだと信じ切っていました。
けれど幸せな生活は、すぐに終わりを迎えます。
子供嫌いで女好きの旦那は、子供が生まれると家に帰らなくなります。
しばらくし、旦那の母と祖母が家に来ます。
「子供は私たちが面倒を見る」
倉梨エリカは子供との接触を許されず、家に居場所をなくします。
そんな折、テニスのコーチをしていた、浮気相手の彼に出会います。
彼の優しさに、誘われるまま不倫をしてしまう倉梨エリカ。
が、その不倫相手は「旦那の友人」でした。
旦那からは口止めされていたのですが、彼は良心の呵責に耐えられず、旦那に頼まれ倉梨エリカと不倫関係になったことを、白状します。
旦那にしてみれば、「愛人と一緒になり、子供の親権を得る」ためには「妻が不倫した事実」を作るのが「1番好都合」です。
倉梨エリカは旦那の策略により、何もかも失いました。
そんな時、監禁ゲームに参加させられたのです。
家族に捨てられ、帰る場所もない。
けれども監禁室に入れば、面倒なことを考えずに済む。
この監禁は、不倫した自分への罰。
この状況を耐えることで、不倫した罪が許される。
そんな気分に酔っていたのです。
報酬
勝又誠司の失格は、原川によって愛都の耳にも入ります。
娘が自殺したこと。
その娘が、3ヶ月前に暴行されていたこと。
桐島彩ように…。
これで「情報聴取」は愛都の勝ち。
報酬を3つ、好きに使えます。
報酬3つを全部現金にすれば、ゲームの賞金と合わせて合計4,000万円を持ち帰ることができます。
しかし愛都、金には興味がありません。
「秋山奈美を…桐島の監禁室に招待したいんです!今日……いや……すぐにでも!」
愛都の要求通り、秋山奈美を桐島彩のいる監禁室に連れて行く原川。
もちろん愛都も同行。
再会
監禁室に入って、すぐに目に入ったのは……愛都による暴力で、ボロボロになった桐島彩。


「イジメられたから、その復讐をしただけだ」
と言う愛都に対し、
「元々は江山がストーカー行為をしたから…あんたの逆恨みでしょ!?」
と愛都を責める秋山奈美。
「桐島…俺がお前をストーカーしたこと、あったっけ?」
桐島彩の答えは
「…ない」
秋山奈美にとって、俄には信じがたい話です。
桐島彩は続けます。
「本当だよ…。私、嘘ついて奈美を利用した。弱い人間は奪われるだけだから…強くなって欲しかったから…。ごめんね?私、嘘ついたから…江山は悪くない…。仕方ないの、私のせいだから……」
桐島彩の嘘に踊らされ、無実の愛都をイジメ続けた。
「それを…どう落とし前つけるんだって話なんだよ…なぁ…?秋山奈美!」
愛都は秋山奈美にも暴力を振るおうとします。
それを必死に止める桐島彩。
「私が悪いの…全部…私が……。私だけに復讐して…奈美は…私が騙してきただけだから!」
理由
しかし、秋山奈美には納得がいかない点があります。
桐島彩が「何故」嘘をついたのか。
「彩は結局…江山のこと……どう思ってるの?江山に強くなって欲しかったって……それって何で…?」
顔を赤くし、答える桐島彩。
「…好きだから」


さすがの秋山奈美も、理解に苦しみます。



好きだからちょっかいを出す、というのは子供の頃よく見られることですが…。
好きだから「イジメる」にしては、ちょっと程度がひどすぎます。
桐島彩の場合、中学時代にレイプされたことが辛すぎて、「強くならなければ、奪われるだけだ」と思い知りました。
そしてその「強さ」を愛都にも求めたのです。
しかしそれは「間違い」だったということに気づいた、桐島彩。
桐島彩の話を聞き、秋山奈美も理解します。
「私もここで一緒に謝る…。江山が許してくれるまで」
しかしそれを、愛都は許しません。
愛都の目的はあくまで、桐島彩への復讐。
秋山奈美は監禁せず、元の部屋に戻ってもらう、と。
「最後になるかもしれないから、5分間だけ2人にしてやる」


どこぞの「3分間待ってやる」という大佐のようですね。
監禁室を出る愛都に、
「あんたの話が本当なら…悪かった。謝るよ…ごめん…」


素直に謝罪する秋山奈美。
監禁室に残された2人は、桐島彩の弟二人のため、絶対に生きて帰ろうと誓います。
おすそ分け
監禁室を出た原川と愛都。
秋山奈美に桐島彩の姿を見せることで、「元の生活に戻る」という退路を自ら断った愛都。
少し吹っ切れた様子です。
「秋山奈美が意外と冷静で、助かりました。話せばいい奴なのかもしれませんね。取り乱す桐島も見れたし…今は結構、気分がいいです」
「おすそ分け」とばかりに、情報聴取の報酬を失格になった勝又誠司のために使います。
監禁ゲーム会場を出ようとする勝又誠司に声をかけ、資料を渡します。
愛都の報酬、対戦相手である勝又誠司の情報を集めた、資料です。
その中には幸を襲った犯人の詳細まで、バッチリ書いてあります。
娘を、妻を、全てを失った勝又誠司でしたが、最後に愛都から「いいことのおすそ分け」を受け取ります。
「なら俺も……助けに行かなきゃダメだよな……倉梨を……」
連鎖
監禁室から倉梨エリカを助け出した、勝又誠司。
気を失った「フリ」をしていた倉梨エリカの攻撃を食らいます。
それまで「聖母」のような振る舞いで、勝俣の監禁相手として協力を惜しまなかった倉梨エリカですが、勝又誠司に裏切られたことでブチギレたようです。
一度は「浮気女」として倉梨エリカに愛想を尽かし、監禁室に置き去りにした勝又誠司ですが、誠意を込めて謝罪します。
しかし倉梨エリカの怒りは収まりません。
「お前の好きにしてくれて構わない……だけど…一つだけ頼みがある…。娘を暴行した犯人がわかったんだ…。俺は…そいつらに復讐がしたい。終わったら…必ずまた倉梨に会いに行くから…少しだけ…待ってくれ…」
そんなことを言っても、どうせまた裏切るだろうと勝又誠司を信じない、倉梨エリカ。
机の上に置いてあったナイフを見つけます。
津上奏太を脅すために、勝又誠司が使ったナイフです。
そのナイフを勝又誠司の腹に突き刺す、倉梨エリカ……。


しかしそのナイフは、刃物の部分が押すと凹む、子供のおもちゃでした。
津上奏太に会った際も、勝又誠司は彼を殺そうとは思っていませんでした。
娘を襲った犯人に復讐すると言っても、彼らを殺すわけではなく、警察に突き出し、法廷に立って裁判にかけるつもりでいたのです。
彼らを殺したいほど憎んではいるものの、本当に彼らを殺したら、次はその家族に同じ思いをさせてしまう。
連鎖する理不尽は、これ以上広がらないよう、法に裁いてもらうしかない。
勝又誠司の言葉に、倉梨エリカも冷静さを取り戻します。
自分は不倫をし、家族から捨てられた。
でも3歳になる子供。
自分の一番大事な宝物。
またあの子と一緒に暮らしたい。
子供を取り戻せるよう、自分も協力するという勝又誠司。
二人は和解し、監禁ゲーム会場を去ることにします。
罰則
迎えの長峰が運転する車を、建物の玄関口で待つ二人ですが、待てども車は現れません。
そんな二人を、離れたところから狙うライフル。
そして銃声。
弾は勝又誠司の左手の指2本を奪い、そのまま倉梨エリカの左肩に命中。
「監禁ゲームは…俺の失格で終わったんじゃ…!?」
という勝又政治の左耳を、銃弾がかすめます。
3発目は勝又誠司の右腕に命中。
続けて4発目は左足。
勝又誠司は思い出しました。
情報聴取の敗者への罰則。
小指・左耳・右腕・左足・右目・心臓
7つの質問に対し、勝又誠司は1問も回答していません。
となれば、7箇所全部持って行かれます。
4発目で撃たれたのが左足。
となれば……次は右目。


正面から右目を撃ち抜かれ、おそらく即死の勝又誠司。
しかしご丁寧に、その後2発の銃弾が発射さまれます。
1発は勝又政治の頭に。
そしてもう1発は……倉梨エリカの頭に……。
誤算
「男は罰を受け、女はその流れ弾に運悪く当たる……」
九字間からの命令を受けた新村が、米澤に頼んで狙撃させたのです。
勝又誠司に監禁ゲームに勝ってほしい。
そう心から願っていた担当の長峰。
勝又政治が失格になった挙句、その命までが奪われたことに、ひどく心を痛めます。
監禁ゲーム自体は九字間の指示の許で行われていましたが、ルールなど詳細を決め、実際に仕切っているのは原川。
その原川は、勝又誠司と倉梨エリカを生かして帰すつもりでした。
もちろん、情報聴取の罰則を決めたのも原川でしたが、それさえも自分が仕切っている以上、どうとでもなると考えていました。
しかし自分の考えを越えた、九字間の介入。
それが2人を死に追い遣ってしまったのです。
これ以上、自分の知らないところで九字間に介入させたくない。
九字間からの指示を直接受けるのは、新村新村の役目でした。
その役を原川自身が交代すると、新村に告げます。
新村も原川が勝又誠司を生かして返そうとしていることを知らず、
「お前に一言、言うべきだった」
と謝罪します。
元凶
その会話を聞いていた愛都。
「ルールに殺されるなんて……バカ正直な勝俣さんらしいけど……。いっそのこと、ここにいる全員を殺してから脱出すれば、死なずに済んだのに…。スジを通して生きたところで、理不尽ってのはそれとは関係なしに、全て奪っていく…。勝又さんの復讐はここで途切れた…何も成せずに死んで終わり…。暴行犯だけが、今後も平穏に生きていく…。理不尽なんて…なくなればいいのに…」
直前に勝又誠司に、娘・幸を暴行した犯人の資料を渡していた愛都。
その勝又誠司殺されたとあって、心中穏やかではありません。
「部屋に戻ろう」と原川に促される愛都ですが、
「僕が殺しに行っていいですか?その暴行犯。今日…今すぐに!暴行犯って3年前に桐島襲った奴らですよね。そいつらが桐島を襲わなければ…僕はイジメられることはなかった…。僕も桐島も…勝又さんも…全てを狂わされた理不尽の元凶…ぶっ殺してやる」
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