【この記事では「監獄実験~プリズンラボ~」第9巻のネタバレ・あらすじをご紹介します。原作: 貫徹/作画:水瀬チホ】
監禁ゲーム13日目
監禁ゲーム13日目。
監禁ゲームも終わりに向かい、それぞれの思惑が交錯していきます。
昨日の夜、九字間が殺された。
監視カメラに映っていたのは原川。
つまり原川が犯人だと、長峰に伝える新村。
「勝又誠二も三崎由乃も、原川に殺された。おそらく奴は、誰も生きて返すつもりはない。死にたくなかったら、原川を殺す覚悟を決めておけ」
新村は「原川真犯人説」に誘導しようとしているようですが…。
九字間の養護施設で同期だった濱を、三崎由乃に殺された田島。
自分の手で三崎由乃を処分するつもりでしたが、新村から「三崎由乃は原川が処分した」と聞かされます。
三崎由乃はまだ生きている、処理する時は必ず田島に連絡する、と伝える原川。
「アンタが九字間を殺したって話も、本当か?」
「安心してよ……俺たちのボスは、まだ生きてる。でも結末は、絶対にやつの思い通りにはさせないけどな」
完全に新村が「三崎由乃と九字間を殺した」真犯人=原川という情報で、外堀を埋めようとしていますね。
ということは、真犯人(黒幕)=新村……?
九字間は確かに死んだものの、それはただ「九字間の役」を与えられていた男。
実際の黒幕はまだ生きています。
そいつの思い通りにはさせない。
原川の眼は、強い決意に満ちていました。
新村が「原川が処分した」と触れ回った三崎由乃。
藍都に「破滅のモデルケース」を説明した後、自室に戻り、そのまま眠り込んでしまっていました。
原川の用意していった「拳銃」と「注射器」。
どちらで死ぬか考えていたところ、注射器と一緒に入れられていたのが「鎮静剤」だと気づいた三崎由乃。
原川が三崎由乃に言いたかったのは、「鎮静剤をうち拳銃を武器にして、この施設から逃げ出せ」ということでした。
一度は生きることを諦めた三崎由乃ですが、その眼には再び、狂気を携えています。
嫌い
藍都の監禁室。
桐島彩は覚悟を決め、
「もういいよ……殺して、いいよ……」
桐島彩を立ち上がらせ、その首を絞め始める藍都。
覚悟を決めていたものの、その恐怖は想像以上でした。
「嫌だ……死にたくない……優も快も…まだ、守らなきゃ……」
しかし藍都は、桐島彩の首を絞める手の、その力を緩めるつもりはありません。
「人をイジメて…追い詰めて…そりゃ復讐されるだろう……。でも、桐島だけが俺を知ろうとしてくれた…俺を変えようとしてくれた…。ありがとう。オレも桐島が好きだ…」
しかし桐島彩が、最後に遺した言葉
「……大…嫌い……」
全身の力が抜け、そのまま息絶える桐島彩。
しかしその最期の言葉は、藍都にとって予想外のものでした。
桐島彩が「強くなれ」と言うから、強くなった。
その結果なのに。
原川の言葉を思い出します。
「強くなって欲しいってのは、江山くんに守ってもらいたいってことでしょう?」
しかし藍都の中の桐島彩は、監禁状態に置かれても強かった。
「それなのに…守ってほしいなんて……」
藍都の理解は追いつきません。
監禁ゲームに来て立場が変わり、イジメられる側からイジメる側になった藍都は、桐島彩の話を聞こうとしていませんでした。
桐島彩は
「自分は弱い」
と言っていたことを。
混乱が収まらない藍都。
自分が手に掛けたにも関わらず、
「桐島……ねぇ、死んだの…?起きてよ……ごめん…桐島……」
桐島彩の遺体に縋ります。
そして一目散に監禁室を出て、自室を飛び出し、廊下の隅に倒れ込みます。
目に入ったのは、腰にぶら下げたナイフ。
「ごめんね、桐島……。もう、僕も死ぬから……許して……」
そのナイフで自分の腹を刺し、自決します……。
元凶
桐島彩の絞殺と、藍都の自決をモニター越しに全て見ていた原川。
その原川の部屋に、新村が入ってきます。
「俺も映像を見てたよ。やっと終わったな。お前は救われたのか?」
という新村に対し、
「こんなものを見せられて、救われるわけがないだろう…」
と返す原川。
そして「九字間を殺したことになっている」原川に対し、新村がひとつ提案します。
「九字間の死はまだ公表していないから、ここにいる関係者全員殺せば、お前は助かる。あとは俺が情報操作をし、江山藍都がみんなを殺して自殺したことにする。10年前の『監獄実験』と同じことをすればいい!自分の中の怪物を解放しろ!」
しかし、「そんなことは必要ない」と返す原川。
自分たちが九字間だと思っていた老人は、「九字間の役」をやらされていた偽物だった。
「この組織の本当のボスは、お前だよな、新村?俺たちの理不尽、その元凶のお前に、全てを償わせる。それが俺の復讐だ」
新村に拳銃を向ける原川。
役
新村の合図で、長峰透が部屋に入ってきます。
長峰から見れば、新村に対し、原川が銃を構えている格好。
予め新村から、「原川は全員を殺そうとしている」と言われていた長峰は、目の前の光景とその言葉がリンクします。
そして新村の迫真の演技。
「長峰!早くて殺せ!!殺される!皆殺されるぞ!!こいつを早く!!長嶺!撃て!!」
その言葉に動かされるように、拳銃を発射する長峰。
銃弾は原川の左腿を貫きます。
「原川はゲームの首謀者だ!こいつのせいでみんな死んだんだ!!頭を撃って殺せ!勝又や園枝の仇を討ってやれ!!」
長峰に、原川を殺させようとする新村。
しかし原川は全てを理解していました。
長峰には、自分を殺させる「役」を与えたのかと。
新村は組織の本当のボスであり、人に「役」を与えて利用する。
「今までに言われたことはなかったかい?『原川は怪しい』『原川を殺せ』と」
実際、何度か新村に言われたことのある言葉でした。
そして原川は、決定的な証拠を突きつけます。
九字間が殺された夜。
原川が九字間の元を訪れた本当の理由。
それは「盗聴器を仕掛ける」ためでした。
タバコのフィルターの中に仕掛けた盗聴器。
九字間の部屋を訪れ、タバコを吸い、そのフィルターの中の盗聴器を残す。
そのために九字間の部屋を訪れていたのです。
原川が九字間の部屋を出た後、新村と米澤が部屋に入ってきます。
新村の指示で、米澤に九字間を殺させた会話の一部始終が、残されていました。
決定的な証拠を突きつけられた新村。
騙し続けるのは不可能と観念し、白状します。
「そうだよ…。俺がこの組織のボス。『監獄実験』を考えた張本人だ!」
そして長峰に指示します。
「長峰!原川を殺せ!これはボスからの命令だ!撃て!!」
新村渓
理解の追いつかない長峰は、なぜこんなゲームをしたのか、新村に問います。
新村は「九字間の愛人の子供」でした。
父親である九字間とは、滅多に会えることがありませんでしたが、母親と2人お金に不自由することはありませんでした。
しかし15年前、九字間が病気で死んだ時。
九字間の正妻と新村の母は、遺産相続で揉めました。
九字間の遺言や親族の協力もあり、新村と母親は遺産を相続しました。
養護施設もその中の一つ。
しかしそれからすぐ、新村の母は殺されました。
「遺産を奪った」と、九字間の正妻に妬まれ。
怒りと、それ以上の恐怖。
自分も殺されるかもしれない。
そう考えた新村は、身を守りつつ、正妻に復讐する組織が必要と考えます。
そして、施設の子供を怪物にする計画、『監獄実験』を考えました。
しかし途中から、復讐はどうでも良くなりました。
監獄実験をやるうちに、もっと魅了されるものに出会ってしまったのです。
原川愛途という名の、最高の怪物に。
入瀬都を殺した後、黒服を殺して回った原川愛途は、鬼神のようであり、新村が求め続けたものでした。
原川の虜になった新村ですが、それ以来、原川の中の怪物は二度と現れませんでした。
「もう一度あの怪物を見たい」
原川の中に眠る怪物を、再び呼び起こす。
これがこの監禁ゲームの目的でした。
迷い
「新村のせいで、みんな死んだ。自分が新村を殺し、監獄実験を終わらせる」
という原川。
長峰に、自分の邪魔をしないよう頼みます。
対する新村は組織のボスとして、長峰に原川を撃つよう命じます。
原川の味方をしたいし、新村が許せない。
でも、自分では撃てない。
自分の拳銃を原川に託す、長峰。
が、その拳銃はすぐに新村によってロックされます。
組織が支給した拳銃は、全部新村がすぐにロックできるようになっていたのです。
田島に電話をかけ、2人を殺すよう指示する新村。
一刃
その後ろに現れ、いきなり新村の脇腹を刺したのは……藍都。
痛みに呻き、もがき苦しむ新村を横目に、
「原川さん……僕…桐島…殺しちゃいました……。すいません…ごめんなさい……」
原川に謝罪する藍都。
自分で腹を刺し死のうとしたのですが、怖くて痛くて自分では死にきれず、原川に殺してもらおうと思い、ここに来たのだと。
原川と新村の会話も、少し聞いていました。
そのうえで、新村のことは元々警戒していたので、遠慮なく刺せたのです。
新村を警戒していた理由は、三崎由乃でした。
三崎由乃が「破滅のモデルケース」として藍都と話をした時、耳打ちした内容が
「新村は人を利用して生きるタイプ。ゲームを企んだのも新村かもしれない。油断しないで」
三崎由乃は相当ぶっ壊れてますけど、本当に「天才とバカは紙一重」を地で行くタイプですね。
こういう嗅覚は、本当に天才的です。
しかし新村も、反撃のネタを持っていました。
桐島彩が暴行されるきっかけになった、入瀬都の暴行の形跡。
それがなければ、桐島彩は暴行されずに済んでいました。
その入瀬都に暴行を加えたのが、監獄実験中の原川だったことを、新村が暴露します。
「それがなければ桐島彩は、3年前に暴行を受けることはなかった。本当に憎むべきは、原川なのだ!」
そんな新村の言葉に、藍都はキレます。
もちろん新村に対して。
「うるさいな…そうなるように追い込んだのは、お前だろ?原川さん…一番救われなきゃいけないのは、あなただ。一番叫びたいのは、あなたのはずだ。理不尽に巻き込まれて、もう十分苦しんだでしょ?あと僕がやります。今の会話でハッキリした。新村が、3年前に桐島を襲わせた男。次はもう、刺す程度じゃ終わらせない」
交錯
藍都の標的を、自分以外に変えることはできないと察した新村。
すぐさま逃げ出します。
「刺し傷はそう浅くないから。血痕で追える」
と、藍都は急ぐ様を見せません。
急ぎようにも、自分で刺した腹の傷が痛むのです。
そんな藍都の体を心配する長峰に、藍都が一つ頼みごとを。
「秋山奈美。あいつだけは、家に帰してあげてくれませんか?ゲームには無関係だし、何より桐島の大事な友達だから」
必ず自分が家に送り届ける、という長峰の言葉を聞き、新村を追う藍都。
(軟禁状態の)自室で、暇を持て余していた秋山奈美の許に、三崎由乃が現れます。
原川の思い通り、鎮静剤を打ち、拳銃を持って。
秋山奈美を人質として使えると思って、共に行動する三崎由乃ですが、廊下の血の跡を見て、一目散に走り出します。
「この血…藍都くんのかも…」
一方、新村から電話を受けた田島は、新村の許に向かっていました。
その途中、藍都に刺され、重傷を負った新村と遭遇します。
医務室で治療してくる、という新村ですが、監禁ゲームが終わりに近づいたこともあり、ほとんどのスタッフを会場から引き揚げさせていたのです。
もちろん医者(闇医者)も。
傷の痛みと出血、加えて医師の不在。
精神的に追い込まれ、余裕の無くなった新村は、
「とにかくお前は全員殺して来い!原川と長峰も!これは命令だぞ!!奴らの銃を使えなくしておいた。田島、お前は俺を失望させるなよ」
新村が本当のボスであるという事情を知らない田島に対し、威圧的な態度をとる新村に、違和感を感じる田島。
人質
そこに新村を追ってきた藍都が、姿を現します。
田島からの距離はまだ少しあります。
しかも田島は、拳銃を持っています。
しかし、藍都の迫力に気圧され、汗を噴き出し、柱の陰に隠れる田島。
が、よく見れば藍都の獲物はナイフだけ。
自分には拳銃がある。
『手始めに奴から殺す…。これは命令だ。悪く思うなよ…』
攻撃を仕掛けようとする田島ですが、反対方向から銃撃。
三崎由乃でした。
廊下の途中のドアを開け、その部屋の中に逃げ隠れる田島。
原川から「死んだ」と聞かされていた三崎由乃が生きていた…。
今度こそ自分の手で殺し、濱の仇を誓う田島。
一方、三崎由乃は藍都との再会を喜びます。
新村と決着をつけるという藍都に対し、自分が殺しに行くと言う三崎由乃。
「私はもっとアイトくんの役に立ちたいの…アイトくんに喜んでほしいから…だから……」
顔を赤らめる三崎由乃。
この23歳のサイコパスのイカれたお姉さんは、高校1年生の藍都に、本気で恋をしたようです。
ぶっ飛びすぎて、一周回って可愛いです。
三崎由乃。
そこに、三崎由乃に置いて行かれた、秋山奈美が現れます。
田島が隠れる部屋を通りがかった瞬間、田島が飛び出し、秋山奈美を人質にとります。
「秋山奈美はゲームの部外者。解放しろよ」
という藍都に対し、濱と園枝の仇を討ちたい田島。
三崎由乃に「一人で追いかけてこい」と指示します。
約束
「アイトくんは奈美ちゃんを助けたい?」
「僕は秋山にもイジメられていたんです。だけど復讐も終わり、あいつも僕に謝ってくれた。恨み事はもうありません。秋山が死んだら、桐島はきっと悲しむから。秋山を助けたいです」
「だったらこの三崎さんに任せなさい!奈美ちゃんは必ず私が助ける!」
火傷の跡が痛々しく、包帯ぐるぐるの三崎由乃ですが、ここに来ていきなり私の中で人気急上昇です。
「だけど一つだけ条件。アイトくんが死んだら、全部放り投げて帰っちゃうから!」
藍都は死ぬな、ということです。
秋山奈美を人質に取った田島に、追いついた三崎由乃。
三崎由乃に拳銃を放り投げさせ。
後ろ向きでエレベーターの前に立て、と指示します。
「濱もお前にエレベーター前で頭を撃たれて死んだ。同じように殺してやる」
三崎由乃に銃口を向ける田島。
しかし先に聞こえた銃声は、田島の銃ではなく長峰の銃。
三崎由乃と秋山奈美を助けるため、長峰が駆け付けたのです。
形勢逆転し、三崎由乃と長峰で、田島を挟むような格好になります。
しかし間一髪のところで逃げられ、田島は秋山奈美を人質に取ったまま、エレベーターで上の階に。
蘇生
田島を追う前に、三崎由乃は自分の武器に不安を覚えます。
何発撃っても銃が当たらない。
ならばと思い出したのは、戸宮清に復讐するため色々持ち込んだ拷問道具。
失格になった後、園枝に没収されましたが、原川の部屋に保管されていたのです。
その中から「チェーンソー」を持ち出す三崎由乃。
銃を持った長峰とともに、秋山奈美の救出に向かいます。
三崎由乃を待ち構える田島。
しかし、人質・秋山奈美がトイレに行きたいと。
「仕方ない、さっさと行け」
という田島ですが、そこに現れたのは米澤。
「人質をやすやすとトイレなんかに行かせるな!」
田島を一喝します。
監禁ゲームにおいて、勝又誠二と倉梨エリカを、そして「九字間役の男」を殺してきた米澤。
元々は暴力団員で、殺されそうになったため、組員全員を殺して生き延びた男。
踏んできた場数が違います。
一方、長峰に足を撃たれた原川。
撃たれた場所の止血中。
桐島彩が絞殺され、藍都が自分の腹を刺した映像を見ていたパソコンから、声が聞こえてきます。
開いた画面に映っていたのは、藍都の監禁室。
藍都に絞め殺されたはずの桐島彩が、咳き込んでいました。
死んだのではなく、首を絞められたことで気を失っていたようです。
すぐさま助けに向かう原川。
撃たれた左足を引きずりながら。
それでも走ります。
『待ってろ……今行くから…。絶対に助ける……俺が…。今度こそ……もう二度と…死なせない……!』
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