【この記事では「監獄実験~プリズンラボ~」第5巻のネタバレ・あらすじをご紹介します。原作: 貫徹/作画:水瀬チホ】
激昂
津上奏太……勝又誠司の娘・幸を助け、救急に通報したと見せかけ……実は幸を強姦したグループの一員なのではないか。
「ブッ殺してやる……!!」
怒り狂った勝又誠司は、冷静さを失ったまま。、津上奏太の元に向かうつもりです。
が、原川と長峰に止められます。
「今の精神状態で、外で問題でも起こされたら、監禁ゲームが中止になる」
「ルール上、1日1時間は監禁室に居る必要がある」
一方の愛都。
まだ中学生の頃に、桐島彩が強姦されていた、という事実に驚きます。
そして、実の父を手に掛けていた……。
そして、さらに驚くべきは、桐島彩の罪が公になっていない事。
父の遺体は、監禁ゲーム主催者側の「組織」が処分したのでしょうが……。
だとしたら、その頃の桐島彩に、組織は接触している……何のために……?
明らかに動揺する藍都ですが、「自分の目的は、桐島彩に復讐すること」と自分に言い聞かせ、必死に冷静さを保とうとします。
勝又誠司の目的は、監禁ゲームの賞金1千万で、娘・幸を強姦した犯人を捜すこと。
すでに、限りなく「クロ」であろう人物・津上奏太の存在を知った勝又誠司は、監禁ゲームのことなど眼中にありません。
すぐにでも津上奏太を殺しに行こうという勢いの、勝又誠司。
「1日1時間は監禁室に居ないと、失格になってしまいます!」
勝又誠司を応援する、担当・長峰の必死の説得で、監禁室に向かいます。
「事情聴取」の解答用紙は、白紙のまま……。
「今こっそり解答を全部書き写せば……江山くんの勝ちだよ……?」
再び、原川の悪魔のささやきです。
勝又誠司の担当・長峰は、「優しい女性」という感じで、勝又誠司を勝たせるために、不器用ながらも一生懸命サポートする、と言う様子ですが…。
愛都の担当・原川は、藍都の応援と言うより……藍都の「狂気」を引き出そうとしている……。
そんな印象を受けますね。
倉梨エリカ
「ここで勝又さんを裏切ったら、次は僕が復讐される……あまり他人を、舐めちゃダメですよ……」
以外にも冷静な返しの愛都。
倉梨エリカの名前だけを記入し、残りは明日、勝又誠司と一緒に提出する、と。
そして、今現在まだ「事情聴取の最中」であることを利用し、勝又誠司の監禁室に向かいます。
「1日1時間は監禁室に居る必要がある」
逆に言えば、1時間いたらすぐに監禁室を出て、津上奏太を殺しに行く……。
そんな勢いの勝又誠司は、身バレしないための仮面を付けず、監禁室に入ってしまいます。
当然、倉梨エリカに正体がバレてしまうわけですが……。
それでも倉梨エリカは
「私は最後まで勝又君の味方だよ…」
そこに入ってくる愛都。
倉梨エリカに「自分の個人的な身の上話を聞いてほしい」と。
藍都は桐島彩との、出会いから、イジメを受け、監禁相手に選ぶまでを説明します。
自分が情けない、イジメられっ子で、女の子を監禁するような気持ち悪い奴……。
そういう話を倉梨エリカにしたら、どう思うのかが聞きたいと。
倉梨エリカは答えます。
「江山君が間違っているとは思いません。イジメを我慢し続けるのが、正解とも思えない。どんな選択をしても不幸になることもあるんだから、自分を責めないで…」
優しい倉梨エリカを体現するような、模範的な回答ですね。
しかしその後、愛都の口から出た言葉は、勝又も最も気になっていた「あの件」に関するもの。
「そんな優しい倉梨さんが、なぜ旦那や子供を裏切って浮気したの?倉梨さんが全てを許すのは、自分も許されたいからですか?」
それまでの優しい顔が打って変わって、倉梨エリカの表情に余裕がなくなります。
勝又誠司に促され、監禁室を出る愛都。
「『全部許す』あの人が、それでも『許せない』と言ってくれたら、何か変わったのかもしれません……」
愛都としては、「許さない」という言葉を期待していたのかもしれません。
勝又幸
ルールに則り、監禁室に1時間いた勝又誠司は、担当の長峰と共に外出します。
病院に到着した勝又誠司は、長峰に「娘と会話して元気付けてもらえないか」と頼みます。
長峰の贈った本を読んでいた幸。
感想を聞く長峰に対し、幸は「いい話だと思います」と。
「主人公の女の子……いろいろ大変だけど…お母さんの家に…無事に帰れてよかった……」
長峰も同調します。
「私もそこが好きで、母親と幸せになれたんだろうなって」
幸が表情が、シニカルな笑顔に変わります。
「でも…私はもう…母さんいないから……出て行ったから……。お父さんは…知らないです…。お母さんが…浮気して出て行ったこと……。その男の所に行ったから……もう帰らない……。私は……もうお母さんのところに帰れないから……羨ましい……」
泣き出してしまう幸。
元気づけるはずが、逆効果になってしまいます。
落ち込みながら病室を出ると、勝又誠司の姿がありません。
長峰の優しく、間抜けなところを突いて、勝又誠司は長峰を撒いたのです。
三崎由乃
すぐさま新村に報告する長峰。
勝又誠司が津上奏太を殺す前に見つけないと、厄介なことになる。
「死に物狂いで探して来い」と長峰に指示する新村。
電話を切った新村の目の前には、監禁ゲーム会場からの脱出に失敗し、大火傷を負った三崎由乃。
火傷が擦れて痛いからと、上半身は裸です。
両手は上に大きく広げる格好で、拘束されています。
胸が丸見えで、非常に大きいです。
「こんなことなら、アイトくんに初キスあげればよかった…」
と後悔する、三崎由乃。
本当かどうかはわかりませんが、三崎由乃は自称・処女。
どうせもう死ぬんだからと、自分がなぜ監禁ゲームの参加者に選ばれたかを尋ねる、三崎由乃。
「詳しくは知らない」としながらも、新村が見た三崎由乃に関する一番古い資料は、10年前。
まだ三崎由乃が、中学生の頃のものでした。
ちなみにその頃、勝又誠司の担当・長峰と、三崎由乃は同じ中学の同級生でした。
資料によると、ハトやカエルを自宅に持ち帰って解剖したり、学校の薬品を勝手に持ち帰り、親の食事に混ぜたり。
あとは放火して、家ごと両親を焼き殺したり……。
親に多額の借金があったおかげで、警察は「自殺」と判断しましたが、三崎由乃の異常性がもたらした、両親の死。
結局なぜ、監禁ゲームの参加者になったのかは新村も知らないところですが、三崎由乃の「異常性」が買われたということは、間違いなさそうです。
九字間
監禁ゲーム8日目も終わり。
愛都を自宅に送り届けた原川は、その足で九字間の元に向かいます。
原川には、九字間に確認したいことがあったのです。
「監禁ゲームの本当の目的」
理不尽な人生を救うための救済。
愛都の所に送られた招待状には、そのように書かれていました。
「救済」が目的であることは事実。
ですがそれは、「参加者たちの救済」ではなく「原川を救う」ためのゲーム。
それが九字間の答えでした。
「他の誰が死んだとしても、監禁ゲームが終わった時に、お前が救われていればそれでいいのだ。江山愛都…アレを選んで正解だったな。そっくりだよ、昔のお前に。江山藍都が桐島彩を殺す時、お前の魂は救われるのだ……。私とお前だけが知る、過去・罪・すべてをゼロにするゲームだ……」
以前新村が言っていた、「監禁ゲームと同じような実験が、過去に行われていた」という話。
これに原川が、絡んでいるのかもしれません。
監禁ゲーム9日目
未だ見つからない勝又誠司。
幸の見舞いには、必ず来るだろうと踏んだ長峰。
勝又誠司が現れたら、自分に連絡をよこすよう、看護師に依頼します。
勝又誠司の担当・長峰は、相当重い処分を食らう。
監禁ゲームが続けられなければ、新村・原川にも重い処分……最悪、3人とも九字間に殺されるかもしれない。
長峰・新村・原川は、私服に着替え、レンタカーを借り、勝又誠司を探します。
長峰は勝俣の自宅前で張り込み、原川と新村は、勝又誠司の行きそうな場所を車で捜索します。
新村の運転で、一緒に勝又誠司を探す原川ですが、パソコンを持ち込み愛都の様子を、常に監視します。
以前はよく二人で行動していたという、新村と原川。
九字間がよく同じ現場に振り分ける。
だから一緒に行動していたという2人に、今までどんな仕事をしてきたのかと、尋ねる長峰。
九字間は、簡単に言えば実業家。
その傘下には、色んな業種の企業が存在する。
人が集まれば揉め事も起こる。
表で解決できない問題が発生した時、交渉や脅しで解決するのが、自分たちの役目。
そしてたまに「汚れ役」も回ってくる。
具体的には「人を殺す仕事」
原川にはそれが、安心して任せられるから……。
そんな話をしているうちに、津上奏太の大学が見えてきます。
キャンパスを探し回りますが、津上奏太は見つかりません。
自宅にもおらず、バイト先にも現れない津上奏太。
ぬいぐるみ
長峰の方はずっと、勝又誠司の自宅を張っていますが、勝又誠司も現れず……。
そこに長峰の携帯が鳴ります。
病院の看護師からです。
勝又誠司が現れた、と。
津上奏太が幸の面会に来て、そのすぐ後ろから勝又誠司が現れ、「2人でどこかに行ってしまった」……。
勝又誠司は、津上奏太が病院に現れるのを待っていたようです。
長峰は病院に急行します。
長峰への電話を終えた看護師の前に現れたのは、幸。
「私のぬいぐるみ、空に飛んでいっちゃった……」
真相
原川は事実を知っていました。
津上奏太は勝又幸を暴行した犯人ではない、という事実を。
津上奏太は3年前、桐島彩を集団暴行した男であり、3ヶ月前に勝又幸を暴行したのも「同じグループ」でした。
しかし3ヶ月前の津上奏太は、勝又幸への暴行には参加していませんでした。
受験生だった勝又幸を、塾で教えていた講師が津上奏太だったのです。
津上奏太は暴行に参加せず、逆に通報して勝又幸を助けた……。
「津上は桐島を暴行した前科があった。勘違いされても仕方ない……自業自得だ」
と言う新村に対し、
「いや、俺のせいだ……。監禁ゲームのせいで…みんなが不幸になっていく……。何もかも、壊されていく……この理不尽に……」
原川は、監禁ゲームで起こることを「自分のせい」と捉えているようですね…。
告白
勝又誠司は、病院に現れた津上奏太を病院外のベンチに誘います。
単刀直入に、
「お前が幸を襲った犯人か?」
と問い詰める勝又誠司。
ナイフを突きつけられ、
「自分が知っていることを、全部話す」
という津上奏太。
3年前、桐島彩を暴行したのは、間違いなく自分たち。
そして3ヶ月前、勝又幸を暴行した犯人。
それも自分たちのグループだと。
グループのリーダー格「谷崎」から「また協力しろ」という連絡が、津上奏太の元に来た。
しかし、相手が勝又幸だと分かり、参加しなかった。
自分の教え子を、暴行なんてできない……。
「じゃあ何故、幸が狙われたのか」
勝又誠司に対し、言いにくい言葉を搾り出すように、津上奏太は答えます。
「谷崎は、勝又さんの奥さんと不倫をしていたから、娘の幸ちゃんも知っていて、狙ったはずです……」
ごめんなさい
その頃病院の屋上。
幸のぬいぐるみを、男の子がふざけて窓の部屋の窓から屋上に投げ飛ばした。
その言葉を聞き、幸を連れ屋上に向かう看護師。
「私が取りに行ってくるから、ちょっとここで待っててね」
幸を残して1人、ぬいぐるみを探しに行きます。
しかし、幸の言うあたりに、ぬいぐるみは見つかりません。
振り返ると幸は、柵の方に向かってスタスタ歩いて行きます。
ぐるぐるに巻かれた包帯を取り、素顔を曝け出す幸。
「屋上に行きたくて嘘ついたの。ぬいぐるみ、本当は部屋にあるんだ。ごめんなさい」
3ヶ月前、公園のトイレで3人の男に暴行された、勝又幸。
主犯格の男の顔に、幸は見覚えがありました。
自分の母親と一緒に、駅前を歩いていた男。
その男は、母の浮気相手でした。
「お前の母親、バカだよなぁ!ちょっと優しくしたら勘違いして、『家族を捨てて俺と一緒になる』とか言い出してさ!ヒヒっ…マジ笑える!」
その話を聞いた直後、暴行された幸。
母親が自分と父を裏切り、他の男に走ったこと。
その男に自分が襲われたこと。
全てが嫌になり、「死ねば全部終わる」という考えに辿り着いた幸。
初めから死ぬつもりで、看護師に屋上に連れてきてもらっていたのでした。
「3年前の桐島彩の時も、谷崎に誘われてやったことです。今回は谷崎が、勝又さんの奥さんと付き合いだして数日後、急に『娘を襲う』って連絡が来て……」
津上奏太は、知っていること全てを、勝又誠司に打ち明けます。
「何なんだよ……その谷崎って……狂ってる、何の恨みが……っ」
津上奏太は思い出しました。
「そういえば谷崎は言ってました。これは全部『復讐』なんだって」
屋上から聞こえる
「幸ちゃん!ダメ!!」
という声。
見上げるとそこには、宙に浮いた勝又幸…。
間もなく幸は、地面に叩きつけられます。
病院はおよそ8階建て。
その屋上から、真っ逆さまに落ちた幸。
助かるはずがありません。
ひと足遅れて病院に着いた長峰が見たものは、血だらけの娘の亡骸を抱いた、勝又誠司の慟哭でした……。
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