マチ(町 洋子・まち ようこ)編⑤
一通りジアースパイロットの「残された人達」をまわってきたウシロとマチ。
最後にもう1人、まわることにします。
「勝手に仲間になってきたと言えないこともない」カタリくんです。
「カタリくん」=「狩田淳二くん」
アンコとコモをジアースパイロットとして公表する、というシナリオで、テレビ番組を放送する予定だったその直前、他局で「自分がジアースのパイロットだ」と名乗り出、結果、被災者遺族に撃ち殺されたカタリくん。
ウシロとマチは、カタリくんはジアースパイロットでないこと、それどころか自分たちと何の関わりもないことを、正直に話します。
カタリくんは両親と、小学一年の弟の4人家族でしたが、その両親は離婚しようとしていました。
両親にとって、より大きな問題を起こすことで、それを止めようとしていたのです。
カタリくんの両親は、真実を知ったうえで「弟にはぜひ、淳二がジアースに関わっていたということに、してあげてください」と。
カタリくんの弟に会いに行く、ウシロとマチ。
弟の惣二くんは、公園で1人、遊んでいました。
顔には絆創膏。
兄のせいで、学校でいじめられているようです。
「お兄ちゃんはうそつきだ。お父さんもお母さんも。だから僕が学校でいじめられる。」
マチが話しかけます。
「お兄ちゃんは嘘つきなんかじゃないよ。テレビ、見てた?あたしがロボットに乗ってたの、見てた?」
「テレビ」とは、アンコの戦闘ですね。
カタリくん射殺後、「パイロットはコモ、アンコ、カタリくんの3人だった」ということにして、その信憑性を高めるために、ジアースコックピット内から、アンコの父・徃住明が戦闘を生中継したテレビのことです。
その際、マチは「コモ役」として、変装したうえで戦闘に参加していました。
戦闘中、相手ロボットがジアースに刺した針からの溶解液で、アンコは足を負傷します。
同時に、溶解液の一部がコモ(役のマチ)の顔にも、かかっていたのです。
マチは頬の絆創膏を取り、その傷を惣二に見せたのです。
「お兄ちゃんは…嘘つきじゃないの…?」
これ以上ない「物証」を目にし、惣二もマチの言葉を信じたようです。
1人遊ぶ惣二を見守りながら、マチが勇気を出します。
「ね、ウシロ。告白していい?」
「初めて見た時からさ、気にはなってたんだ。
集団から浮いてるところが、お兄ちゃんみたいで、何か人ごとに思えなくて。
お兄ちゃんには『深情け』なんて言われたりしたけど。
でも、特にここんところね、あんた結構ちゃんとした奴なんだって分かって、
ウシロ、あんたのこと好き。」
「ぼくらの」作中の好いた惚れたは、チズと畑飼くらいでしたからね。
純粋な中学生の告白。鳥肌が立ちました。
チズやアンコ、コモのような「女子」らしい子じゃなくて、マチの告白っていうのが、逆にいいですね。
照れながら「ありがとう」と答えるウシロ。
「あーーー!!ドキドキした!!あたし人生初告白だよ。契約するときよりドキドキしたかも。
ついでだ、もう一つ言っとくか」
と切り出したマチ。
「今日の夜、一緒に寝よう。」
サラリとすごいことを言うマチに、さすがにウシロも狼狽します。
「動揺してる、かわいーー。」
からかわれてキャラ崩壊するウシロ。
「夜が、怖いんだ」
ナニかがしたいとかじゃなく、もうすぐ確実に訪れる死を前に、1人寝る夜は不安に押しつぶされそうなんですね…。
答えを返せないウシロに、
「考えといて、あたしは待ってるから」
ここのマチ、本当可愛いですよ。
砂場の方から、惣二の泣く声が聞こえます。
さっきまでブランコで遊んでいた少年が、惣二のおもちゃを取り上げています。
すかさず駆け寄るマチ。
「こら~~!!あんた小さい子相手に、何考えてんの!?」
少年を叱るマチ。
次の瞬間、小さめの、おもちゃの拳銃を取り出した少年。
「パパパン」
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