「死役所」あらすじ紹介 第75条 「白神靜佳③」[前半]



【この記事には「死役所 第75条 『白神靜佳③』のネタバレを含みます】

3回に渡った、シラ神さんの生前のお話、最終話です。

亡くなった父のことを思い出せない、シラ神さん。

お祖母さんの言っていた「人殺しの子」。

人殺し=父

ならば、父は刑務所に…?


山仕事に出たまま、帰りの遅い徹也くんを心配し、探しに山に入るシラ神さん。

お祖父さんが亡くなって、一人で仕事をしている徹也くん。

仕事中の事故で、どうやら足を負傷したようです。

作業車に乗って山を降りようとするも、その車も動かなくなった、と。

「ごめんなさい…」

咄嗟に謝るシラ神さん。

「何でお前が謝るんだよ」


父は刑務所にいるのではないか。

そう考えたシラ神さんは、刑務所を訪れ、父が収監されているか、確認していたのです。

「白神さん、すみません。

白神辰男さんという方は、収監されてません。


しかし、父が「人殺し」であると確信しているシラ神さん。

『神様が怒ってるんだ…。

私が悪いんだ。人殺しの子のくせに、結婚なんかして。

子供を作りたいと思っている。

天災も、お祖父さんが死んだのも、お祖母さんの具合が悪いのも、私のせい。

いっそのこと……みんな死んでしまえば、徹也くんとの子供が作れるのに……』


「靜佳、こっちの道から行こう。

そっちだとほら、お祖母さんに行くなって言われてる道だ。」

「どうしよう…私通ってきた…」

「そうか、大丈夫だったか?」

「うん…別に何も…」

「そっか、お祖母さんには黙っておこうな。」


『私さっき…何を考えた…?

徹也くんの怪我だって、私のせいなのに…。

頭疲れてるな、今日はゆっくり休もう。』


「あっ、カエルだ。靜佳、踏まないように気を付けろよ。

あれ?お前カエル苦手だっけ?」

「だ、大丈夫だ……」


『お父さん、カエル。』


古い記憶が呼び起こされたのか、明らかに「大丈夫ではない」様子のシラ神さん。

死役所 ©新潮社/あずみきし




「お祖母さん、食事です。」

病床のお祖母さんに、食事を運ぶシラ神さん。

が、お盆を持つ手が震えています。

案の定、お盆ごと食事を落してしまうシラ神さん。

「お前…」

お祖母さんが怒るより早く、食い気味に

「ごめんなさい、ごめんなさい」

と謝るシラ神さん。

「謝ればいいと思ったのか!

お前は今まで、何のためにお努めしてきたんだ。

意味ない、何の意味もなかった!」


所詮、人殺しの子だ


お祖母さんの発していない言葉が、シラ神さんだけに聞こえます。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

お祖母さんに、うるさいと注意されるまで、謝り続けるシラ神さん。


庭で草むしり中、近所のおばさんが話をしながら通りがかります。

他愛のない雑談です。

しかしその中に、『人殺しの子』という言葉。

もちろん、通りがかったおばさんたちは、一言もそんな言葉を発していません。

シラ神さんにだけ、聞こえる言葉。

幻聴。


人殺しの子

人殺しの子

人殺しの子

『やめてくれ……っ、ごめんなさい…』


心身の状態は、悪くなる一方。

「靜佳、眠れないのか?

最近元気ないけど、何かあったのか?」

「徹也くんの足が、もうすぐ治るって。ヒビだけで良かった…」

「そうしたら、仕事もまた始められるし。

大体、お前が気に病むことないんだって。」


『笑ってなきゃ…今まで通りにしなきゃ…知られてはいけないんだ…離れたくない…』



旦那
旦那

「知られてはいけない」
やはり、何かを思い出したようですね。



お祖母さんの寝床であり、仏間になっている部屋。

シラ神さんが、お祖父さんの遺影に手を合わせています。

「お祖母さん、ちょっといいか?

これ、作業着のポケットに入っててな。

もしかしてお祖父さんのかな?」

「そうだな…」

そうだな、人殺しの子

お祖母さんが言ったかのように、シラ神さんには聞こえます。


徹也くんには知られたくない。

「やめてください!!

徹也くんには、徹也くんにだけは!!

お願いです!!

もっとしっかりお努めします!

堪忍してくだ…」

人殺しの子

「あああーーーーー!!」


耳を塞ぎ、頭を抱え、

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」

「靜佳、落ち着け!どうした!?」





統合失調症に近い症状なのでしょうか。

『まさか…』

お祖母さんには、思い当たるところがあるようです。


徹也くんは足が治り、無事に仕事に復帰しました。

土間で一人佇むシラ神さんのもとに、お祖母さんが来ます。

「お祖母さん…起きて大丈夫なの?」

「ああ、靜佳お前…」

人殺しの子

幾度となく聞こえる幻聴。

「ごめんなさい」

反射的に謝るシラ神さん。


もしかして、思い出したのか!?


シラ神さんがまだ小さかったころ。

父が、まだ生きていた頃。

父親の背中を押し、驚かすことが好きだったシラ神少女。

「お父さん、お父さん、どーーーん!!」

「こら靜佳!お前はまた、お父さんに悪いことして!」

「わあー!」

はしゃぎながら、逃げ出すシラ神少女。

「謝れ!こら靜佳!

あなたが甘やかすから、悪戯するんですよ!」

「すみません。でも、靜佳には自由にのびのび育ってほしいので…」


優しく、大好きだったお父さん。

「お父さん、池だよ。ちょっと凍ってる。」

「今朝は冷えたからね。」

「お父さん、カエル。」

「冬眠中じゃないの?どこどこ?」

いつものように、父の背中を押すシラ神少女。


死役所 ©新潮社/あずみきし




「びっくりしたー?お父さん?」

池に落ちたっきり、ピクリとも動かない父。

「お父さん?」


「冷たい池に落ちて、心臓麻痺だって…」

「可哀想に…」


「靜佳、お前が押したのか?

いいか、よく聞きなさい!そんなこと、誰にも喋っちゃだめだ!!

お父さんは勝手に落ちただけだ!

忘れろ、靜佳!!お前は何もやってない!!


旦那
旦那

続きは明日…。



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