ひぐらしのなく頃に 解 ~祭囃し編~ 其の伍「最後の駒」
今回も過去話。圭一が転校してくるあたり、までのお話ですね。
雛見沢に別荘を建てる。
そのための分譲地見学ツアーが催されていました。
オヤシロ様の祟りの4年目、悟史が叔母を殺し、失踪する年です。
そのツアーに参加したのが前原伊知郎。
前原圭一のお父さんです。
圭一が引っ越してくる前年、圭一のお父さんは引っ越し先の下見に来ていたのです。
そして、その土地で走り回って遊ぶ少女が2人。
梨花ちゃんと羽入です。
雛見沢分校。
4年目の祟りの前で、まだ悟史が学校に通っています。
もちろん叔母は健在なため、沙都子は叔母との衝突で精神的に疲れ切っています。
そんな沙都子を気にかけている魅音に、悟史が礼を言います。
「沙都子は学校にいる時間だけ、ほんの少しだけ、力を抜けるみたいなんだ。
それはきっと、沙都子にとってとても優しい時間になってる。」
自分一人では沙都子に笑顔を取り戻せない、力を貸してほしいという悟史に、「なら、放課後遊びに誘おうか」と魅音が提案。
しかし、「一度家に帰ると、叔母さんにいろいろ言われて、表に出られなくなってしまうかもしれない」と。
「なら、部活動に入ったことにすればいい。それで学校で遊んでから帰ればいい。服を汚すと怒られるなら、ゲームをやろう!」
これが「部活」の起源。
「沙都子が、叔母から解放される時間を長くするため」の時間。
それが「部活」だったのです。
悟史にはもう一つ、魅音に相談がありました。
「沙都子を元気づけるのに、誕生日に素敵なプレゼントをしたら喜ぶかなって…」
プレゼントを買うためにバイトがしたい。
バイト先を探してほしい、紹介してほしいというのが、相談でした。
「ひぐらし」でメインで語られるのは、悟史が失踪した翌年のことなので、あまり登場機会のない悟史ですが、非常に妹思いの子ですね…。
同じころ、まだ雛見沢に戻っていないレナ。
「再婚する」お母さんが、家を出ていくところです。
「いいのね?本当に一緒に来ないのね?」
母親を睨みつけ、コクリと頷(うなず)きます。
母親が出ていくと、苛立った様子で家の廊下を歩きます。
と、余計に聞こえる足音。
レナ本人が「オヤシロ様の祟りの前触れ」と言っていた、羽入の足音です。
風呂場では自傷行為。
リスカの跡がいくつもあります。
と、その跡からウジ虫が湧いて見えます。
同時に「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」と謝る声。
『オヤシロ様…?』
両親の離婚に伴うストレスから、雛見沢症候群を発症していたんでしょう。
ほどなく、雛見沢に引っ越したレナ。
小学校に上がる前は雛見沢に住んでおり、隣のおばさんはレナを覚えていました。
「竜宮……あぁ、もしかして礼奈ちゃんかい?」
本当は「礼奈」ですが、「私の名前、レナですよ」と訂正します。
「ごめんごめん、レナちゃんだったねぇ。お帰り。」
不倫の末に妊娠、相手と再婚することを選んだ実母を嫌悪していたレナ。
『私はもう礼奈じゃない。新しい名前で、新しい生活をやり直す。』
実母が呼んでいた「礼奈」を嫌い、「いやなことを忘れる」という願いも込めて、「レナ」としてやり直すことを選んだのです。
同時期、「足音が余計に」聞こえるようになった悟史。
叔父夫婦からの執拗なイジメ。
自分だけでなく沙都子のことも守らなければならない。
こちらも相当なストレスを抱え、雛見沢症候群を発症しているようです。
「足音が、ついて来るんだ……ひたひた…ペタペタ……」
「わたし、知ってる…その足音、知ってる…」
入江診療所。
雛見沢ファイターズの退部を、入江先生(雛見沢ファイターズの監督)に申し出る悟史。
「籍は残しておきますから」という入江先生に対し、「当分は戻ってこられないから、退部にしてほしい」と。
沙都子の誕生日プレゼントのために、アルバイトをするから。
それと、「バット、持ち帰ってもいいですか?その…一人で素振りの練習をするくらいの時間は取れると思うので…」
快諾する入江先生ですが、そのバットの使い道は……。
そして、4年目の「オヤシロ様の祟り」が発生します。
件のバットで、悟史が叔母を撲殺。
(麻薬常習犯が「雛見沢連続怪死事件になぞらえた」と、身代わりに逮捕され、そのまま留置場で亡くなるので、公には悟史は犯人ではないのですが…)
「仇は必ずとりますよ、おやっさん!」
1年目の「オヤシロ様の祟り」犠牲者、ダム工事の現場監督に世話になった大石さん。
事件の解決を誓います。
無事にアルバイト代で、沙都子の誕生日プレゼントに、大きな熊のぬいぐるみを買えた悟史。
自転車で運べるサイズではないので、入江先生に頼んで車で運んでもらいます。
帰りの車中、「叔母はもういないんですよね?もう沙都子をいじめる人は、いないんですよね?」
「そうです、もう沙都子ちゃんをいじめる人はいません」
おそらく悟史が犯人であろうことと思いつつも、冷静に応える入江先生。
「さっきから……叔母によく似た人がいるんですけど…本当に叔母は、もういないんですよね??」
「私も検視に立ち会いました。間違いなく、叔母さんは亡くなりました。」
悟史の様子がおかしいです。その異変に気付いている入江先生が、何とか悟史を落ち着けようとしますが…。
「あの人!叔母によく似てますけど…違うんですよね?あの人も!あの人も叔母に似ている!!
あれだけ殴ったのに……あんなに殺したのに……」
雛見沢症候群を発症したようです。
しかも、相当な進行具合のようです。
「ぬいぐるみを買う直前まで、そのお金で遠くへ逃げようとしていたんです。
それを、オヤシロ様は許さなかったんだ…。
僕の血にもウジ虫がいるのかな…?痒い!痒い!かゆいかゆいかゆい!!!」
「悟史君落ち着いて!喉を掻いてはいけない!」
「富竹さんの死」と同じ状態。
放っておけば「喉を掻き毟って死ぬ」やつ。
雛見沢症候群レベル5ですね。
そのまま入江診療所(入江機関)に運ばれる悟史君。
「騒がしいと思ったら…何が起きたんですか?」
「どうやら急性発症したようです。
普段の悟史君のストレス状態なら、いつ発症してもおかしくはなかった…。
おそらく、あのぬいぐるみを買うまで、自制心で押さえつけていたんでしょう。」
「それにしても……綿流しの時期になると、『生きた検体』が手に入りますわね。
これも、オヤシロ様の祟りなのかしら…クスクス」
悟史のことを、解剖する気満々の鷹野さん。
場面は再び、分譲地を訪れた前原伊知郎(圭一の父親)。
走り回っていた梨花ちゃんと羽入が、伊知郎に話しかけます。
「ここにないものを、きっと都会のあなたが持ってきてくれると思うのです。」
「そんなもの…私たちにあるのかな?」
「ありますのですよ、あうあう♪」
「僕たちは、この村でずっとこうしています。
何も起きないし、何も変えられない。」
「何も変わらないのが、この村のいいとこじゃないのかい?」
「『何かを変えたい』と思ったから、この村に来たのではないのですか?」
「…確かに」
おそらく、「罪滅し編」で明らかになった、圭一が起こした「事件」。
あれをきっかけに、引っ越しを考えたんでしょう。
「ボクたちも、新しい人を迎えたい。
それは例えるなら、水の流れ出ぬ沼の堤を破るようなもの。
水は出入りがあるからこそ、清水となる。
流れ出ぬ湖は、沼でしかない。
引っ越してくるの、待っていますのですよ。前原。」
魅音が自宅に帰ると、前原伊知郎を案内していた男性が、園崎家の入り口前で、お魎と話をしていました。
「おじさん久しぶり。不動産のお仕事?」
「そう。思ったより興味を持ってもらえたみたいでね!
別荘分譲だけど、引っ越しで検討されてるお宅があるんだよ。」
後の前原家、ですね。
「ねぇ、婆っちゃ。よそ者嫌いの婆っちゃが、何で分譲なんてする気になったの?」
「わたしゃはよそ者嫌いで、都会も嫌いだ。
だが必要なんよ、空気の入れ替えみたいなもんかね。
外から竜宮のレナちゃんが越してきて、同じ年くらいの友達ができて、嬉しい言うとったじゃろ。」
「予期せぬ友達ができるのは、良いね。」
「レナちゃんが来る前は魅音、学校が退屈だ退屈だ言うとったんね。
よう覚えとるわ。
どんな寒い冬場かて、たまには換気をせんとな。
囲炉裏の悪い空気が溜まって、窒息しちまうん。」
「外から人を迎え入れることが、村の換気になるっていう事?」
「ああ、そうしてきれいな空気を入れて、私らみたいな悪い空気は、とっとと追い出されるべきなんよ。」
「引っ越してくる人に…そこまでを期待するのは酷じゃない?」
「誰が引っ越してきても、きっと村は変わる。
願わくば、それが元気な若者で、わしら年寄り連中が安心して村を任せられるくらい、大暴れしてくれると嬉しいんじゃが。」
「おまえ、北条の悟史が消えた日、私に詰め寄ったろが。」
「ああ、そんなこともあったね……あはは…」
「わたしゃな、あれで目が覚めたんよ。
北条家がどうのこうのいう問題は、私ら年寄りが死ねば時間が解決してくれる。
けんどそんなの待たず、早よう解決せなならん。」
「自分にはそれが出来ないから、よそ者にそれを託すってこと?」
「それが私にできる精一杯だんね。」
「他力本願の極みだね。」
「新しい風はな、魅音、お前らの世代になる。
風を迎え入れたれな。
そしてお前は、内からの風となって交じり合い、淀みを吹き飛ばしてくれ。」
「それが次期当主の仕事だってんなら。」
「あたしゃもう老いたんね。憎まれ役しかでけん。」
確かに「他力本願の極み」でしたが、その願いは見事、圭一が叶えてくれました。
「皆殺し編」での大立ち回り。
ああいうのを期待していたんですね、お魎さん。
怒っているように見せて、心の内では嬉しかったのかもしれません。
レナにはそれが見えていたのかも。
そしてついに、圭一が転校してきます。
両親と、校長先生と知恵先生と分校に入っていきます。
その様子を校庭の端から見ていた、梨花ちゃんと羽入。
「ようやく引っ越してきたのです。
ボクらは待ちくたびれたのですよぉ。」
「これでまた変わってくるのです。
だって圭一は、ボクたちに運命の変え方を教えてくれる、『切り札』なのですから。」
「でも圭一が起こす奇跡は、肝心なところで良くコケやがります。」
「あうあう、それは圭一が悪いわけではありませんのです~。」
「そうです、羽入が悪いのです。羽入のせいなのです。圭一に謝るのです。」
「私たちは、ゲーム盤の上に、これまでと同じ駒しか揃えていない。
今まで足りなかった強い力を持ち、鷹野の意思を打ち砕いてくれる強い駒。
それは羽入、あなたなのよ。
さあ、始めましょう。
この日のために、100年もかけたのだから…。」
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