ひぐらしのなく頃に 解 ~祭囃し編~ 其の四「謀略」
今回も雛見沢の過去話になります。
主に鷹野さん、入江先生、梨花ちゃんのお話ですね。
「ボクは何もできなかった…。
そう悩み、葛藤しながら、ボクはゆるゆると悲劇を受け入れていく…。」
羽入が思い出していたのは、2年目の「オヤシロ様の祟り」。
沙都子の両親が、旅行先で転落事故に遭った、というものですが…。
転落は「事故」でなく「沙都子が突き落とした」ものでした。
悟史に背負われて入江診療所に運ばれ、そのまま入院が続いている沙都子。
検査の結果「レベル5」の雛見沢症候群と確認されます。
『精神は不安定になり、いつ錯乱して凶行に走るとも…或いはすでに…』
沙都子の身を案じる入江先生に、鷹野さんが紙を差し出します。
「これに決裁を」
それは、沙都子の解剖スケジュールでした。
「まさか、今更良心の呵責を感じていらっしゃるの?
既に一人、解剖なさっているというのに。
サンプルの解剖は必要不可欠。
研究とは、目に見える結果が伴わなければ認知されない。
所長もそれを、十二分に味わったはずでしょう?」
沙都子を解剖なんてできるわけがない。
入江先生は、雛見沢症候群の「女王感染者」である、梨花ちゃんに協力を仰ぎます。
この時はまだ、梨花ちゃんの両親は健在なので、梨花ちゃんの父親(古手神社の神主)にお願いします。

依頼された梨花ちゃんの父は、梨花ちゃんの母親と梨花ちゃん本人に、雛見沢症候群の説明をします。
村にいる限りは発病しないが、村を離れると発病すること。
この村を離れると祟りがあるという村の決まりは、ご先祖様たちが風土病を恐れての決めたものだろう、と。

「それはオヤシロ様に対する冒とくよ!
入江先生でしょ?あの人がそんなでたらめを…」
梨花ちゃんのお母さんは、若干ヒステリックな性格ですね。
梨花ちゃんとお父さんは、穏やかな性格ですが…。
「入江診療所は、政府が作った研究機関なんだ。
私も今日、色々見せてもらった。
雛見沢症候群は、ある種の寄生虫が原因で、目に見えないくらいの小さいもの。
その寄生虫の親分格、女王と呼ぶべき寄生虫。
それは、古手家の直系だけに受け継がれるものなんだ。
治療のためには、女王感染者の研究が不可欠だそうだ。」
「私は反対よ」
即座に反対する梨花ちゃんのお母さん。
「ボクは良いのですよ。ボクが生贄になって沙都子が助かるなら、全然いいのです。」
梨花ちゃん本人の承諾を得て、研究への協力が始まります。
診察室で写真を眺める、入江先生。
自身の家族写真でした。
「これが入江所長のお父様?
理不尽な暴力を繰り返し、ついには家庭を崩壊させたという…」
「違う!父は事故で頭を打ち、それが原因で精神的な障害を…」
「しかし、誰も信じなかった」
「精神医学は発展途上の分野。だからこそ私は…」
「父の汚名を晴らすために研究を続けている…クスクス」
「何がおかしいんですか?」
温厚な入江先生にしては、鷹野さんに対する「怒り」を顕にします。
まぁ、鷹野さんが煽りますからね…。
「そんな崇高な目的があるのに、未だ罪の意識を感じている。」
「罪の意識は必要です。犠牲を無駄にしないために、私は最大限の努力を…」
「詭弁ね。古手親子に事前承諾を取るなんていうのも詭弁。いえ偽善ね。
医学は常に、その時代の倫理や価値観と戦って進歩を遂げるもの。
強い信念と、ゆるぎない鉄の意志だけが、結果を紡ぎだすのよ。
どんなに自分の手を、血で染めようとも…。」
倫理観とか、そういうものを抜きにすれば、「ある側面においては」という前提条件付きで、鷹野さんの言っていることも、正しいように思います。
「人の命を扱う以上、最低限の誠意は持ち続けたい…医者として…」
「フンッ」
今度はあからさまに、入江先生のセリフを鼻で笑う鷹野さん。
梨花ちゃんの協力のおかげで、雛見沢症候群の研究は進み、その成果が認めらます。
高野一二三おじいちゃんの親友・小泉さんからも、鷹野さんに祝福の電話が。
「三四ちゃんの研究が、大金星を挙げたと聞いてな」
「おかげさまで、雛見沢症候群の病原体特定に成功しました。」
「そうかそうか…天国で高野くんも、きっと大喜びしているだろうな!」
入江診療所。
雛見沢症候群研究のため、梨花ちゃんの協力は続きます。
「沙都子はどうなのですか?
悟史から、まだよくないと聞いているのです。
入江はボクの身体をたくさん調べて、たくさんのことが分かったのではないのですか?」
「梨花ちゃんのおかげで症状を抑える試薬も、次々開発していますよ。」
「それを沙都子に与えることは、できないのですか?」
「まだ試験段階ですから…」
梨花ちゃんの口調が変わります。大人梨花です。
「医学に100%はない。
でも、このまま放置すれば、沙都子を待ち受ける運命は、100%の絶対の死でしかない。
どちらに賭けるかは明白なはず。」
「最悪の場合…彼女は人としての心を失って、一生を過ごすかもしれません…。」
「入江が作った薬なら信用できる。
本来、人の生き死になど人がどうにかしようというのが、おこがましいこと。
その重圧は、背負ったものにしか分からない。」
「梨花…ちゃん…?」
大人梨花に威圧される入江先生。
「人の命はとても重い。
その重みに耐えかねているのは、あなたに人の命を大切にしたい心があるから。
そして薬は、人の心から生み出されるもの。
私は自分の身体を、他の誰でもない、沙都子のために差し出した。
私の身体から抜き出された物はすべて、私から沙都子に捧げる心の雫。
その雫から、命の本当の重さを知り、日々後悔と自責を忘れないあなたが、『何か』を抽出してくれたなら…
それが沙都子に効かないわけがない。」

圧倒的な説得力と信頼感です。
鷹野さんは「東京」への、雛見沢症候群に関する説明を。
資料は鷹野さんのおじいちゃん・高野一二三先生のものです。
「女王感染者に何かあってから、一般感染者が急性発症するまでの猶予は48時間…短すぎる…」
高野先生の論文内容にざわつく「東京」の面々。
『かつて嘲笑され、踏みにじられた資料。
読むがいい。
そして、書かれた真実の重みに震えるがいい。
天国のおじいちゃん、見てますか。
三四は、三四はついにやりましたよ!』
梨花ちゃんの助言(?)を受け、試薬を沙都子に投与し始め、容態がだいぶ安定してきます。
不満げな鷹野さんに、入江先生がチクり。
「解剖が中止になったことが、そんなに不満ですか?」
「いえ。ただ、気の長い作業ですこと。
投薬とカウンセリングを繰り返すだけ、なんて。」
「それで沙都子ちゃんを救えるなら、十分ですよ。」
「それよりもあの方、またいらしてますわよ。」
大石さんでした。
沙都子への面会を求め、入江先生に拒まれ続けているのです。
沙都子の両親の、転落事故の件で。
「沙都子さんが嘘をついている可能性があるんですよ。
沙都子さんは車で眠っていた、と言っていました。
ここまではいいんです。
沙都子は目を覚まし、両親がいないことに気付いた。
そして車を降りて泣いていたところを、近くにいた公園作業員が事情を聴いて、通報したわけです。
その通報した公園作業員によれば、沙都子さんは真っ先に『両親が崖下に落ちた』と言ったそうなんです。
寝ている間のできごとなら、両親が落ちたことなど知らないはずです。
起きていたなら…話は別ですがね。」
『沙都子ちゃんがその時、既にレベル5状態だったなら…。
両親と不和で、かなりのストレス状態にあったはず。
両親が自分を殺そうとしているという、疑心暗鬼に捕らわれていたら…。
殺される前に殺す、という行動をとったかもしれない…。』
雛見沢症候群の研究に協力していた梨花ちゃんが、38度6分の熱を出します。
入江診療所に入院。
「そうそう、例の『転落事件』。
山狗に『事故』として処理させましたから。」
警察が真実を突き止める前に、入江先生が鷹野さんに「もみ消し」を依頼していました。
「梨花ちゃんの急変はともかく…沙都子ちゃんの回復には驚きましたわ。」
「自宅療養に移れるとは、思いませんでした。」
沙都子は症状が落ち着き、退院したようです。
そこへ梨花のお母さんが現れます。
梨花ちゃんの高熱は、研究に協力したせいだ。
すぐに連れて帰る、と言い出します。
雛見沢症候群の研究は、まだ梨花ちゃんの協力が必要なフェーズを脱していません。
入江先生と鷹野さんは、引き続きの協力を乞うべく、古手神社を訪れます。
「長くとも3か月以内に、梨花に対する研究を終わらせてください。」
「検討します」という入江先生に対し、「検討の余地などない」と一蹴する鷹野さん。
『こんなくだらないことで、つまずいてたまるものか…。
打開策はあるはず…』
考えついた答えが、「オヤシロ様の祟り」を利用する、というもの。
梨花ちゃんの父親を、病死に見せかけて殺す。
梨花ちゃんの母親を、入水自殺(死体は見つからない)に見せかけて、消す。
3年目の「オヤシロ様の祟り」は、鷹野さんが仕組んだものだったのです。
雛見沢症候群の研究に邪魔な、梨花ちゃんの両親を殺す。
それが3年目の「オヤシロ様の祟り」の真相でした。
診療所で「うまく行った」と高笑いする鷹野さんのもとに電話が。
「小泉先生の急逝」を知らせる電話でした。
葬儀の帰り道、「東京」の会合に連れられる鷹野さん。
「今後のことについて相談」があると。
「小泉先生亡き今、プロジェクトも見直しが必要だ。」
「入江機関の研究目的は二つ。
雛見沢症候群と呼ばれる奇病の研究と、治療法の確立。
そしてその軍事的運用の模索。」
「後者は即時中止。
生物兵器の研究など許されない。」
「雛見沢症候群の治療についても目処が立ち、入江機関はその役目を終えた。」
雛見沢症候群の研究は、終息期に入る、という内容の話です。
「雛見沢症候群は、ただの病気ではありません!
人類の定義をも覆す、可能性を秘めた存在なのです!」
「病原体の特定も完了し、試薬の成果も上々。
もう十分だろう。」
「君が提出したレポートな、『読み物』としてはなかなか面白かったよ」
「『高野一二三』という第一発見者が、この病気を少々脚色しすぎたようですな!」
「死ぬまで信じていた小泉先生も、気の毒ですなぁ。」
幼いあの日、祖父の論文が踏みにじられた時のことを思い出す鷹野さん。
「入江機関は、あと三年ですべての研究を終え、解散。これは決定だ。」
そう告げられ、雨の降る中を、傘もささず、憔悴した様子で歩く鷹野さん。
そんな鷹野さんに、一台の車が近づきます。
「お乗りください」
野村と名乗る女性が、声を掛けます。
「私たちは、あなたの味方。
私たちは、あなたをお救いしたい。
あなたは、小泉先生の後釜を狙う、派閥争いに巻き込まれただけ。
彼らの目的は、あくまでもプロジェクトにおける、権益の独占と保身。
雛見沢症候群の研究は、そのためのスケープゴートにされたにすぎません。
だから、まだ終わっていません。
鷹野さんの、雛見沢症候群の研究の、本当の目的は?
亡き高野先生の研究を認めさせること。
そして、あなたの祖父が心を込めて書き上げた論文を、踏みにじった連中への『復讐』ではないのですか?
もしそうなら、私たちは力を貸し合える関係になれると思います。」
『これは…天の助けか?いや、悪魔の囁きに違いない…。
そうか神め、また私を試そうというのだな。
この女がどのような目的であるかなど、どうでもいい!』
野村の差し出す手を、しっかりと握り返す鷹野さん…。

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