カンジ(吉川寛治・よしかわ かんじ)編①
8巻表紙がカンジです。
【本記事には「ぼくらの」のネタバレを含みます】
アンコの戦闘から1週間。
「ジアースパイロットからのメッセージ」の、世間での受け取られ方は様々。
賛否両論。
しかし、風向きは「同情」「支持」に傾いていました。
自然学校参加者がジアースに関わっている、という疑念も、カタリくんの登場で例外が発生したこともあり、追及は鳴りを潜めていました。
自宅にも戻れるようになったジアースパイロット。
そして、アンコは世界一有名な少女となりました。
アイドルに憧れ、アイドルよりも有名になったアンコ。
有名になったからと言って、その死が報われたわけではありませんが…。
ジアースパイロットに対する風当たりが強くなってきたところを、完全に風向きを変えましたからね。
アンコの功績は大きいです。
世界各国も日本の立場を理解するよう姿勢に。
「理解する」と言えば聞こえはいいですが、ジアースを恐れての反応かもしれません。
ただ一国、アメリカを除いては。
次のパイロットはカンジ。
「次の」と言っても、残りはカンジ・ウシロ・マチ(カナちゃんは未契約)だけです。
カンジの心配事はウシロのことでした。
自分がもうすぐ死ぬ、っていう状況下で友達の心配ができるとか…。
モジもそうでしたけど、できた子多すぎ。
お互いの自宅近くの、沖天楼の見える公園で話をするカンジとウシロ。
このまま戦闘が始まれば、沖天楼が被害を受ける可能性が高い。
「いいのか?お前のおふくろの墓だろ?」
「おれだぜ?うまくやるって。それに、それまでは近くにいたい」
確かにカンジは飄々として器用そうで、うまくやりそうな気がします。
それに自称「マザコン」ですから。
お母さんが亡くなった沖天楼への思い入れは強いのでしょう。
カンジにとっての気がかりは、沖天楼でなくウシロです。
「お前、ちゃんと戦うよな」
「前に同じことを言われたよ」
産まれてくる弟と、育ててくれた養父母のために戦い、亡くなったマキにも同じことを言われていたウシロ。
「お前だってカナちゃん、助けたいだろ?」
お前は、母親が死んだ原因をカナちゃんだと思っている。
だからカナちゃんにあたる。
でも、カナちゃんがいなかったら、感情の行き場がなかった。
カナちゃんに死んだ母親を重ね、カナちゃんを通して母親に文句を言ってる。
お前はカナちゃんに救われてきたんだ。
お前はカナちゃんというママに甘えてる、ただの駄々っ子だ。
散々な言われよう。
もちろんウシロも反論しますが、一番近くでウシロとカナちゃんを見てきたカンジ。
当たらずとも遠からず、なのでしょう。
「これで絶交とか言うなよ?もうすぐ死ぬんだから」
言われまくって激高したウシロですが、少し落ち着きを取り戻し、
「おれも、お前に言わなきゃいけないことがある。おれ、契約してない」
未契約者は…ウシロでした。
じゃあ、カナちゃんを契約させなかった理由は?
「カナが楽しそうに遊んでたらムカつくだろ」
…なかなかに子供な理由です。
じゃあ、なんで今までジアースに付き合ってたんだ?
…ワクか?
(ココペリを除く)最初のパイロットのワクが、戦闘後にジアースの外に出て「うおおおおぉぉぉぉ!」と叫んでいたのを「恥ずかしいんだよ」と小突いた拍子に、ワクは約500メートル落下…。
実際には、ワクはジアースでの戦闘後だったために死んだのですが、ウシロにはそれを気にするところがあったのかも…。
「お前にもそういう良心の呵責とかあるの?意外…」
今回のカンジはウシロに容赦ありませんね…。
おれは、ウシロとカナちゃんのために戦う。
堂々と宣言するカンジ。
そして、カンジにはもう一つ、ウシロに言うべきことが…。
ウシロがカナちゃんに暴力を振るう、一度も止めたことが無いカンジ。
ふつう止めるだろ?
カナちゃんがさ、言ったんだよ。
止めないでくれって。
セリフはありませんが、その理由がウシロに語られている模様。
何でそんなこと、カナは知ってんだよ!?
激しく狼狽するウシロ。
そんな折、敵、出現。
それともう一つ。
「マチには気を付けろ」
残り少なくなったパイロット。
次はカンジです。
飄々と、あまり自分を表に出さないカンジですが、今回はウシロに言いたい放題でしたね。
自分が死んだあとの、ウシロのことを心配したのでしょう。
友達というよりは兄貴みたいですね。
そして…「マチには気を付けろ」…気になりますね…。
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