【この記事は死役所 ネタバレ 第92条 「死後の世界へようこそ」のあらすじをご紹介します】
第92条 死後の世界へようこそ

パタヤビーチへようこそ!
……何人分かってくれるでしょうか……。
今回のお客様は「森田椋」さんです。
が、どちらかと言うとハシ本くん回ですね。
会話
「ハロー宇宙人」の回で、厭世的になった中学生・中島詩が、友達の海野智柚美と心中した際、一緒に亡くなったはずの智柚美が死役所に来ず、不安に駆られる詩を松シゲさんが慰める、ってことがありました。
今回も同じように、
「死ぬってことは空っぽになづってことだど?空っぽの容器には何でも入づ。生まで変わって何でもできづって事だよ。人は必ず死ぬんだ。受け入ででただ楽になづぞ」
「加護の会」で聞いたような話を死者にし、慰める松シゲさん。
「ハシ本さんもお客様との会話を楽しまれると、いいかもしれませんね」
シ村さんからアドバイスを受けるハシ本くん。
『会話…会話…人と人とが話したりきいたりすること…』
心の中で暗唱するハシ本くんは、生前からコミュ障だったのかもしれませんね。
ハヤシくんと「お客様」が談笑しているのを見て、
『あれは会話』
説教
しかし、ハシ本くんの中ではモヤモヤした思いが。
『あの人の場合は…会話と言うより…寺で説教を聞いているような……』
言う事はいつも似通っており、「死を受け入れる」「生に執着しない」
不思議と説得力があり、合点がいくと感じていたハシ本くん。
しかしその言葉は、生前のハシ本くんがどこかで聞いたこともあるものでした。
そんなことを考えながら死役所内を歩いているハシ本くんに、
「すみません。紙とペンを貸していただけませんか?」
声を掛けてきたのは、今回のお客様・森田椋さんです。
ハシ本くんから借りた紙とペンに、死役所のことを書き記す森田さん。
「死後の世界」への興味が深まり、自分の目で見たくなって自殺された方です。

森田さんの興味の向くまま、死役所内を案内するハシ本くん。
「お客様、手続きはお済みでしょうか?」
シ村さんに促され、ニシ川さんの「自殺課」に案内される森田さん。
「何でアンタがいんのよ」
流れで付いてきて、ニシ川さんに突っ込まれるハシ本くん。
死への興味
「自殺課」で成仏の手続きをしながら、森田さんの人生史を振り返る一同。
森田さんが最初に「死」を意識したのは6歳の時。
95歳で亡くなった曾祖母が動かない、喋らない姿が不思議でたまりませんでした。
次いで曾祖父、祖母が亡くなります。
そして小学5年の時、同じ学年の女子児童が亡くなります。
年を取った順に死が訪れると思っていた森田少年にとって、同級生の死がその興味に拍車をかけます。
死に関する文献を読み漁る森田少年。
なぜ人は死ぬのか。
死ぬとどうなるのか。
死とは無なのか。
魂の概念は。
天国と地獄。
自殺は罪なのか。
それらはいずれも「生者」が書いたもの。
満足のいく答えは見つかりません。
それでも唯一森田さんが信じていたもの。
「死後の世界」
相対的
その根拠になったのが
「この世はすべて”相対的”だ」
宗教の本に書かれた言葉でした。
生前の世界があるなら、”相対的”な死後の世界もある。
「椋がまたキモい本読んでる」
「死ぬことより生きる事を考えて」
「つまんないこと言ってないで勉強しなさい」
「椋ってちょっと変だよね」
「死後の世界、死後の世界ってうるさい…死んだら分かるんじゃねーの?」
周囲の声に耳を傾けず、ひたすら自分の興味に邁進した森田さん。
「死んだ甲斐がありました」
その真っ直ぐな瞳に、意見できないシ村さん・ハシ本くん・ニシ川さん。
「あなたは思春期で、今の時期が一番大切だったという事ね」
西川さんが口を開きます。
自分の本心に従った結果なら、それが正解だとしたうえで
「好奇心が満たされた後の覚悟はできているの?」
聞かれた森田さんは、ピンと来ていない様子。

覚悟
再び、好奇心の対象だった「死後の世界」を見て回る森田さん。
ニシ川さんに命じられ、ハシ本くんが案内です。
死役所に来たときは、念願の「死後の世界」にテンションの高かった森田さん。
手続き後、正確には「ニシ川さんの一言」の後、その様子が一変します。
「僕の好奇心が満たされたら、僕はどうなってしまうのでしょうか」
死ぬということ、死後の世界に興味を持ち、自ら命を絶った森田さん。
しかし今はもう、死役所に来たときの「新鮮な驚き」を無くしてしまったのです。
生きていてもずっと、死後の世界のことばかり考えいた。
その知的好奇心が満たされて、喜びでいっぱいのはずなのに。
空っぽ
ニシ川さんの一言で気づいてしまった真実。
「好奇心が満たされた後の覚悟」
死後の世界への憧れ、好奇心、自分の存在。
「何も……無くなってしまうんでしょうか……」
松シゲさんの受け売りで、ハシ本くんが答えます。
「空っぽなのは、良い事です」
空っぽの容器には何でも入る。
それは可能性であり、死ぬということは空っぽになるという事。
受け入れてしまえば、楽になる。
死に関するいろいろな本を読んでいた森田さんも、聞いたことのある言葉でした。
そしてその言葉で少し落ち着いた森田さん。
「お兄さんも良く本を読んでいたんですか?同じ本、読んでるかもしれませんね」
『…なるほど…これ会話が会話を楽しむ……か……』
ふとハシ本くんが思い出したのは、「空っぽ」の話。
「加護の会…です」
空っぽの話は生前、ハシ本くんが読んだ「加護の会」の本に載っていたもの。
その話をしていたということは、やはり松シゲさんは「加護の会信者」……?
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