【この記事では「監獄実験~プリズンラボ~」第7巻のネタバレ・あらすじをご紹介します。原作: 貫徹/作画:水瀬チホ】
提案
桐島彩と、勝又誠司の娘・幸を暴行した犯人、「そいつらをぶっ殺す」と宣言する愛都。
もちろん原川はそれを止めます。
原川とは、九字間の養護施設で同期であり、同じ監禁ゲームの主催者側である新村は
「惚れた女を暴行した犯人、そりゃ殺したくなるだろうさ。俺は分かるよ、その気持ち」
愛都の気持ちを後押しします。
勝又誠司に資料を提供した際、その内容を細かく見ていた愛都は、犯人の名前や住所を覚えています。
そしてその資料の中には、犯人たちの名前をもちろん、暴行した時間や現場方法まで「どう調べたのか不思議なぐらい」事件の詳細な情報が載っていました。
愛都は原川に問い質します。
犯行現場の写真や動画、証拠が何かあるんじゃないのか、と。
そんな情報の提供は拒否する原川ですが、愛都は帰宅さえすれば自由に行動ができ、一人で勝手に行くことができる。
あわよくば原川から情報を得ようとしただけで、許可など最初からいらない。
そう新村に指摘された原川。
「別の方法での復讐」を提案します。
原川が個人的に使っている部屋。
以前、三崎由乃や勝又誠司の監禁室を見せてもらった時に、愛都も一度入ったことのある部屋。
そこには愛都が思った通りの「物的証拠」がありました。
3年前、桐島彩が暴行を受けた時の映像です。
3年前、まだ中学生の桐島彩。
愛都と好き合っていた頃の、明るく優しい桐島彩。
その桐島彩が、4人の男たちによって暴行される。
愛都にとって、見るに耐えない映像でした。
途中、愛都は1人の男に目を止めます。
「偉そうにしている主犯格、名前分かります?」
その男は谷崎竜二。
津上奏太を暴行に誘った、グループのリーダー格です。
そして原川の復讐の提案とは、
「この動画をネットに投稿するのはどうかな?動画が出回れば、犯人たちの将来は絶望的……。それが彼らへの復讐ってことで……」
そして同時に、桐島彩も晒し者になる。
彼女への復讐にもなり、一石二鳥だと提案する原川。
さすがに、桐島彩が暴行を受けている映像が出回ることには、躊躇する愛都。
「それが嫌なら、霧島ちゃんだと分からないように、編集することができるけど?」
「それなら……いいですけど……」
暴行を受けてるのが桐島彩と分からないよう、動画を編集した上で公開するという原川。
しかし愛都には一つ、腑に落ちないことがありました。
この動画は、谷崎が録画したものなのか。
だとしたらなぜ、原川がそんなものを持っているのか……。
谷崎竜二
谷崎竜二は現役の大学生。
しかも、医学部の優等生。
また実家も医者であり、周りには玉の輿を狙う女子学生もいます。
そんな女子学生に愛想よく対応する谷崎ですが、裏では彼女らを「ババア」と呼ぶほど、彼の性癖は年少者に偏っていました。
暴行当時の桐島彩や、勝又幸のような「中学生ぐらいが一番いい」と。
キャンパスを歩く谷崎竜二のもとに、津上奏太からLINEが届きます。
メッセージは動画サイトのURLのみ。
サイトにアクセスしたところ、流れてきた映像は件の暴行動画です。
すぐに津上奏太に電話する谷崎竜二。
津上奏太も「友達から連絡があって知った」と。
いろんなサイトに投稿されており、「なぜ動画が流出したのか」谷崎に聞こうとしていたのです。
谷崎は津上奏太を暴行に誘う際、「これは復讐だ」と言っていました。
「そもそも何の復讐なのか」と津上奏太が問います。
話は遡り、3年前。
夜遊び中に店の女と喧嘩になり、ケツ持ちのヤクザに絡まれた時、助けてくれたのが「シン」という男でした。
助けた代わりにシンが要求してきたのが、「桐島彩の暴行」。
場所も金もシンが用意し、谷崎竜二はヤるだけ。
シン
シンが言うには、「詳しくは言えないが、これは復讐なんだ」と…。
つまり「谷崎竜二の復讐」ではなく、この時のシンという男が「復讐」という言葉を使っており、谷崎はそれを使い回していただけでした。
「いいっすよ…安全に中学生を襲えるなんて最高だ……。その復讐…手伝いますよ」
そして4ヶ月前、再びシンから連絡が来ます。
内容は3年前と同じで「復讐の手伝い」
標的は勝又誠司という男。
「彼の家庭を壊してほしい」
再びその依頼に乗る、谷崎竜二。
まずは勝又誠司の嫁を誘惑し、堕とします。
次は娘の幸。
塾帰りに公園へ連れ込み、襲います。
幸の母(勝又誠司の妻)は娘の不幸に精神を病み、「全部を捨てて俺と暮らそう」という誘いに簡単に引っかかり、家族を捨て谷崎竜二の元にやってきました。
勝又誠司の妻は、シンが薬漬けにして借金を作らせ、風俗に沈められます。
それっきり、シンからの連絡は途絶えていました。
全てがシンの用意で行われていた暴行。
つまり動画も谷崎竜二ではなく、シンが録画したと考えるのが妥当です。
シンに連絡を取り、動画を削除させようと考える谷崎竜二ですが、津上奏太は
「もういい、諦めよう…。償うよ、俺は。俺たちはここで終わりだ……それだけのことをしたんだ……」
罪を償う覚悟を決める津上奏太。
しかし谷崎竜二は諦めません。
実家は医者で、自分は医学部の優等生。
「ゴミ一般人とは違う」
そこにシンから連絡が。
「動画にはもう気がついた?君としては一刻も早く、動画を消したいだろう。その方法を教えたいんだ。今ちょっと、話せるかな?」
欺瞞
その夜、いつものように愛都を自宅近くまで送り届ける、原川。
「もし外に出たら、強制的に会場に連れ戻すから。そこは理解してくれ」
監禁ゲーム会場の外で、勝手な真似はするな、という原川の念押しです。
自室に戻った愛都が窓の外を見ると、原川の車が停まっています。
朝までそこで、見張るようです。
そこに、「監禁ゲームの関係者」を名乗る人物から電話が。
「もし君が暴行犯に復讐したいと考えているなら、俺が犯人の居場所まで送り届けてあげようと思って」
当然その話に乗る愛都。
電話の主の言う通り、自室の電気を消します。
そして荒川に電話。
「母にいつも帰りが遅いことを怪しまれて、少し尋問されたんです。そしたら家の前に怪しい車が止まってるって言い出して、母が窓からスマホでそっちを録画しています。警察に通報するって騒いでいましたが…どうしたらいいですかね?」
すぐさまその場を走り去る原川。
もちろん愛都が、電話の主の指示通りにやったこと。
新村
うまく原川の監視の目をすり抜けた愛都は、外出して電話の主と落ち合います。
指定された場所にいたのは新村でした。
三崎由乃の担当である新村は、「江山くんの悔しさが分かるから復讐に協力したい、それだけだ」と説明します。
嘘くさいけど本当に犯人に会えるなら、自分にとっては好都合だと新村の話に乗る愛都。
谷崎竜二だけは自分の手で殺したい。
頼まれた新村は、すぐに谷崎竜二の居場所を突き止めます。
「九字間の情報網があれば、この程度容易いことだ」
という新村。
話がトントン拍子に進みすぎて、不安になる愛都。
このまま新村について行って、本当に大丈夫なのか……。
谷崎の元に向かう車中、新村は愛都に確認します。
「実際に谷崎と会ったとして、本当に復讐できるの?学校のイジメもやられ続けていたんでしょ?そんなキミに、いったい何ができるの?」
愛都はイジメを受け始めた頃の、話をします。
親にイジメを相談したこともあった。
けれども父親は自分を殴り、情けないと怒鳴り散らした。
母は自分の交友関係には無関心だった。
味方がいないと気付き、やられたことを隠すようになった。
学校にバレたらイメージが悪く、進路にも関わってくる。
耐えることが強さだとそう思っていた、と。
しかし監禁ゲームが始まり強い立場になり、初めて気がついた。
強くなれば馬鹿にされることもなく、欲しいものが手に入る。
過去の自分を振り返り、なぜあんなに我慢をしていたんだろう。
弱者のまま生きる人生なら、捨てたってよかった。
今ならきっと、刺し違えてでもやり返すことを選ぶ。
そして桐島彩の言っていた言葉。
「強くなって欲しかったから、イジメた」
「弱い僕は桐島にとって、価値がないみたいです。このままゲームを終わらせたら、桐島の中で僕はずっと弱いまま。だから証明しに行くんです。自分がゲームの外でも強くなれたことを。谷崎竜二のせいで桐島彩の自分の人生が狂ったのなら、その相手としてはちょうど良い」
対峙
谷崎竜二との待ち合わせに指定された場所は、橋のたもと。
「10分ほどで谷崎が現れるから」
車を降りた愛都は、ひとり橋脚に向かって土手を下ります。
その後ろ姿を見つめながら、
『すまないな…。なぜ君が参加者に選ばれたのか分からないが、俺はさっさとゲーム終わらせ、原川を救いたい。変われたのなら、早くそれを見せてくれ。でなければ、これ以上続ける価値はない。恨むなよ…江山藍都』
一方、谷崎竜二来るのを橋の下で待つ愛都。
『自分は変われた……谷崎竜二を殺せる……』
そう考えていた愛都ですが、実際に谷崎竜二が来ると身を隠し、手足も震えています。
『ナイフで刺すだけ…それだけなのに……』
思いとは裏腹に、体の震えは止まりません。
物音をたて、谷崎竜二に気づかれた愛都。
「悪いな、ここで待ち合わせしてんだよ。ウロウロされると邪魔なんだわ、消えろ」
「はい……すみません」
恐れをなし、スゴスゴと引き下がる愛都。
…しかし再び、谷崎竜二の元に走り戻り、ナイフで一突き……。
が、寸でのところでかわされ、そのまま反撃を受けます。
「なぜ俺を襲おうとした?」
という谷崎竜二の問いに、
「お前が桐島彩を暴行したから」
「桐島彩?誰だ?襲った女の多くて分からね~。てかもしかして、動画の女のことか?あの動画が出かけた日に、お前が現れた…どうもタイミングが良すぎる……。あの動画をネットにあげたのはテメェか」
蹴られ殴られ、川に突き落とされる愛都。
憤怒
「……ああ…思い出したよ。あの子のせいで、無理やり襲うのにハマっちゃってさ。苦労したよ……こんな性癖持っちまうと……。桐島彩ちゃん……元気にしてる?またヤリてぇわ…紹介してよ?」
キレた愛都は反撃に出ます。
谷崎竜二を川に倒し、馬乗りになり、顔を何発も殴り続けます。
しかし愛都の持っていたナイフを取り上げられ、そのナイフで逆に脇腹を切りつけられます。
すぐに形勢は逆転。
「否定しないところを見ると、動画はやっぱりお前の仕業か……。俺のエリート人生がこんなガキのせいで……」
ボロボロになるまで、何発も顔を足蹴にされる愛都。
抵抗できなくなった愛都に対し、
「弱いくせに。バカな奴。さて…問題はあの動画だ。お前がネットにあげたのなら消せるよな?今区すぐ消せ…そうすりゃ助けてやる」
「………死ね……」
吐き捨てる愛都。
捨てる
「殺してやる」としながらも、実際に殺しては動画の消し方が分からなくなる、谷崎竜二。
愛都の左の掌をナイフで刺し、そのまま抉ります。
その時、土手の方に人の気配が。
「見つかったらまずい」
谷崎竜二は、土手の方に向かって歩きます。
ナイフで手を抉られ、半分気を失っていた愛都。
何故、谷崎竜二が土手の方に歩いて行ったのか……。
『そうか……見られたら、捕まったら…人生が終わる…。そりゃ、誰だって逃げる。なんだ……強くなるって簡単だ』
谷崎竜二の背に、
「待ってください……消しますから……教えます…動画の消し方。だから…助けてください…」
谷崎竜二に肩を借り、川辺ののり面を土手に向かって歩く愛都。
「ひとつ…聞いていいですか?暴行した桐島彩に、何か言いたいことありますか…?」
「別に……何もねえよ。一度会っただけの女だし……」
「…ですよね。ありがとうございます…。これで迷いなくあなたを殺せる」
そう言って、谷崎竜二の背中を刺す愛都。
愛都が気づいたのは、
『捨てられないから弱い。捨てれば良かったんだ。何もかも。そうすれば強くなれる』
ということ。
「理不尽を壊すには…オレがさらに理不尽になるしかない…。あんたは捨てられなかった、自分の人生を。だからあんたは弱い。あんたはオレを殺すべきだったんだ。そうすればせめて死なずに済んだのにね…」
破滅
谷崎竜二にトドメを刺そうとする愛都の腕を、原川が掴みます。
いつの間にか、駆けつけていたようです。
監禁ゲーム用に愛都に渡していた携帯は電源を切っていましたが、新村の携帯で居場所を特定されたようです。
「谷崎はちゃんと始末しておく。それだけは約束する。だから早く病院へ行ってくれ」
新村に連れられ、病院に向かう愛都。
自分が誘ったことで怪我を負わせてしまったことを謝罪する新村に対し、愛都は感謝していると。
おかげで谷崎に一矢報いた。
勝又誠司も少しは報われるといい、と。
人生や将来がどうなってもいい。
本気で思った。
そうしたら楽になれた。
谷崎は人生を捨てられず、躊躇した。
だから簡単に刺せた。
切り捨てるだけで行動できる、この強さ。
自分はこれが欲しかった。
それしか強くなる方法がなかった。
「破滅的な思考だ」とする新村に対し、「秋山奈美に監禁がバレ、戻る場所はなく覚悟を決めるしかなかった」と返す愛都。
「全てを捨てたのなら、復讐もどうでも良くならないか?矛盾して聞こえるけど」
「桐島はオレに強さを望んだ……強くなれば好きでいてくれるから……。その事実だけが支えでいい…後は全部捨てていい……。どうせお互いに破滅なら…オレのことを好きなまま桐島に死んでほしい……」
「シン」=新村
のり面を登り土手に上がると、監禁ゲーム主催者側の米澤と田島が。
谷崎竜二が察した人の気配は、この二人だったのです。
原川と米澤・田島の3人が谷崎竜二の元へ。
「谷崎君はなぜ、この今日この場所にいたんだ?」
原川の問いに対し谷崎は、「シンに待ち合わせで呼ばれた」と。
原川は、その名前に聞き覚えがあるようです。
「あいつもそんな昔からゲームに関わっていたのか…」
刺された背中が痛く、早く救急車を呼べという谷崎に銃口を向ける原川。
「分かった…今楽にする。色々と世話になったね、谷崎くん…ありがとう…さようなら…」
愛都を勝手に連れ出したことを、原川に謝罪する新村。
新村としては、監禁ゲームを早く終わらせたかった、と。
原川のために。
原川は知っていました。
新村が外で動く時に「シン」という偽名を使っていたことを。
3年前から谷崎に接触していた「シン」は、新村のことでした。
九字間の命令で、谷崎に接触したと。
そこに九字間から原川に電話が。
ゲームは順調かという確認です。
「順調です」と答える原川に対し、「そう見えない」と返す九字間。
「ゲームに関する細かいルールはお前に任せてきたが、10年前の『監獄実験』を再現するよう命じたはず。そして『監獄実験』の時は決着まで7日間。それに比べ今回はもう10日目。江山藍都はまだ桐島彩を殺していない。参加者を家に帰れることが、その一因ではないか?」
「スタンフォードの監獄実験」を例に挙げ、権力を得た看守側は予想以上に凶暴になり、実験は6日で中止になった。
「監獄実験」とは人為的にその環境を用意し、人間の凶暴性を引き出すプログラム。
自分たちが望んでいるのは「江山藍都の覚醒」
彼を凶暴なモンスターに導くためのゲーム。
必要なのは極限まで彼を追い詰める環境であり、帰宅できるルールは邪魔だ。
以降、愛都は帰宅できなくなるわけですが、そんな環境を用意しなくとも「愛都はもう変わった」と感じている原川。
「おそらくもうすぐ、江山藍都は桐島彩を殺してしまうでしょう」
最後
桐島彩のいる監禁室。
うわ言のように
「帰りたいよ…お母さん…快…優………お姉ちゃん……助けて……」
桐島彩に姉がいると知らなかった愛都。
桐島彩に聞くと、「昔どこかに家出して、それっきり」だと。
食事を持ってきた愛都。
桐島彩の好きなサンドイッチを。
「それで…いつ殺してほしい……?」
「……死にたくない」
と答える桐島彩。
「分かった。じゃあ、これが最後の食事だ。明日から何もしない……食事も与えずトイレにも行かせない……お前が『死にたい』と言った時…オレが望みを叶えてやる…それで全部終わりにしよう」
監禁ゲーム11日目
大やけどを負ったものの、未だ生かされている三崎由乃。
その世話をしているのは長峰でした。
新村から、長峰透が中学時代の同級生だったと聞かされていた三崎由乃。
本人を見て中学のクラスメイト「とぉるん」だったことを思い出します。
「家が火事になって夏休み前に転校した子、覚えてない?」
そう言われ、長峰も思い出します。
「もしかして由乃ちゃん?」
子供の時に両親が死に、九字間が経営する施設で育った長峰。
九字間が決めた学校に行き、九字間が経営する企業に就職し、九字間の命令で仕事をする。
2か月前まで普通の保険会社で受付をしていた長峰は、ある日突然九字間から通知が来て、監禁ゲームの担当に選ばれます。
「『参加者を救うゲーム』だと聞かされていたのに、どんどん人が死んで……もう正直ついていけない……」
三崎由乃に愚痴る長峰。
「逃げちゃえば?人生のやり直し!」
そんな簡単なことじゃないと言う長峰に対して、
「自分はやり直した。両親に虐待されていたけど、家ごと焼いて殺したの…クソな環境から逃げるために…。自分を幸せにできるのは、自分だけだから」
しかし長峰は、自分の人生を九字間に任せて生きてきたから、こういう時自分がどうすればいいか分からない、と。
三崎由乃は中学の頃、長峰が自分の似顔絵を書いてくれたことを思い出します。
「あれば誰かの命令で書いたわけじゃないでしょ?それと同じ…自分が望むことは、自分で動かなきゃ。待ってても誰も叶えてくれないよ」
その一言で、長峰の心境に少し変化が現れます。
「由乃ちゃん、このゲームが終わったら、いつかまた由乃ちゃんの絵を描いて良い?」
生きて帰れないことを覚悟している三崎由乃。
「無理でしょ…」
と答えますが、
「もう誰も殺させない。だから……由乃ちゃんもあきらめないで」
「もしも本当に生きて帰れたら、好きに描けばいいけどさ…」
「うん…約束ね!」
長峰透
自分で動き出そうとした長峰。
まず、監禁ゲームの実質的な管理者である原川のパソコンを盗み見ようとします。
九字間の監禁ゲームの目的が分かれば、それを止める手段も分かるかもしれない、と思っての行動でした。
しかし新村に止められます。
「少し前まで普通の仕事していた長峰に、こんなことを言ってもピンとこないと思うが…お前殺されるぞ?」
しかし、勝又誠司と倉梨エリカを救えず、2人が撃たれるところを隠れて見ていただけ、ただの「傍観者」だった自分は、三崎由乃が死ぬことは止めたい。
そう考えていました。
そこで新村が提案した、「ゲームを止めるたった1つの方法」
「原川を殺す」
監禁ゲーム会場は山の中にあり、九字間と連絡が取れるのは原川と自分だけ。
つまり原川を殺し、事故が起こったと嘘をつけば、管理人を失った監禁ゲームは続行不可能。
全員解放される。
ゲームを止める方法はそれしかない、と長峰を説得する新村。
「そんなことできません」という長峰に対し、
「そう言ってくれて良かった。俺だってそんな結末はゴメンだからな。ただ九字間が『全員殺せ』と命令したら、原川は俺たちを殺そうとするだろう。俺はきっと原川を殺せない。だけど長峰はためらわずに銃を撃て。自分自身と大事なものを守るためにな」
その様子を監視カメラ越しに見つめる原川。
「相変わらず長峰ちゃんはバカだなあ…」
この時点で原川は、かなりの確率で「新村が怪しい」と睨んでいるようですね。
その新村に簡単に騙される長峰に対しての「バカだなぁ」ということなのでしょう。
お願い
気持ちを切り替え、三崎由乃が監禁されている部屋に入る原川。
そして三崎由乃に「交換条件」を持ちかけます。
三崎由乃はゲームに負けたため、1,000万の罰金を払ってもらう予定だが、自分のお願いを聞いてもらえたら借金をチャラにし、今すぐ帰すというもの。
三崎由乃はすぐに気づきます。
「そのお願いをしたいから、私を生かしておいたんでしょ?」
原川の申し出に対し、三崎由乃も条件を1つ。
「終わったら解放じゃなくて、私を殺して。この姿では生きていても惨めだし、苦しい。なるべく楽に死にたい」
「お望みならば準備します」
「原川のお願い」を聞いた三崎由乃は、
「そんなことなら喜んでやるけど……」
拍子抜けして答えます。
どうやらかなり簡単で、しかも三崎由乃本人が望むことのようです。
その後すぐ、愛都に電話をかける原川。
「少し僕に付き合ってくれないかな?今しかタイミングがないと思うから、全部話しておきたいんだ。なぜ監禁ゲームが行われ、なぜ君が参加者として選ばれたのか。監禁ゲームの本当の目的。君たちの人生を壊した理不尽の元凶は、本当は俺なんだ……って話しさ」
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