【この記事には「死役所 第76条 『ニンジン』のネタバレを含みます】
生前の城戸さん。
入所していた特養で、同じ入所の友人男性と、TVで格闘技を見ています。
城戸さんの好きな選手は、「ヤマト」。
タトゥー&ラインの、ちょっとヤンチャな感じのお兄ちゃんですね。
友人男性には「ヤクザは好かん」とヤクザ扱いですが…。
後日、特養の若い男性職員が、側頭にラインを入れているのを見て、
「それ、かっこういいな。」
と城戸さん。
「これですか?ありがとうございます。」
後日、男性職員が城戸さんを部屋を訪れると、城戸さんのこめかみに傷が。
「どうしたんですか?その怪我。
血が出てますよ!どこかぶつけました?」
同室の男性が
「さっき、自分でカミソリ使って切ってたぞ。」
と。
そう、ヤマトや職員のように、側頭にラインを入れたかった城戸さん。
自分でカミソリで入れようとした結果の、怪我だったのです。
場面は変わり、死役所。
城戸さんのデータを見たハヤシくん。
怪我が治ったら、特養の職員が剃ってくれるはずだったことを知ります。
心残りな様子の城戸さんを見て、何とかしてあげたい、と思うハヤシくん。
髪と言えば…。
「ライン入れるってこと?無理。バリカンないし。」
生前美容師だったニシ川さんに頼みますが、ピシャっと断られます。
「ハサミじゃできないんすか?」
「やったことないもん。
多分傷がつくし、ガタガタになるよ。」
「痛いのは嫌だ。」
「大丈夫ですよ、城戸さん。
死んでいるので痛みは感じませんし、血が出ないので傷も目立ちません。」
そう言う問題なのでしょうか…。
「ガタガタにされるのイヤでしょ?」
「うん、嫌だ。」
「そこは元散髪屋の、腕の見せどころしょ?」
「散髪屋なのか?」
「ええ、元散髪屋です。」
「美容師、って言ってくれます?」
そんなやり取りをしている間に、
「あ!」
ニシ川さんが、何か思いつきます。
「編み込み」でした。
編み込みでラインっぽくしてくれたのです。
「かっこいいか?」
「滅茶苦茶かっこいいす!」
満足気な城戸さん。
ちょうど書類もでき、編み込んでもらった側頭を触りながら、成仏課に向かいます。
「あー、思い出した。ニンジンだ。」
ハヤシくん、ハシ本くんに逃げられた際に考えていた、地獄から天国に行く方法です。
「ある時悪人が死んで、地獄に落ちるんすけど、その人は生前、旅人にニンジンをあげる施しをしたことがあったんす。
それで天国から吊るされたニンジンを掴んで、地獄から脱出するんす。」
完全に「蜘蛛の糸」ですが。
「で、それが何?」
つっけんどんに返すニシ川さんに対し、
「地獄に行っても、生前の行いによって天から助けがあるかもしれない。
ちょっと希望湧いてきません?」
「……私達の罪が、ニンジンくらいでチャラになると思う?バカなの?」
相変わらず、きれいですが、口の悪いニシ川さん。
「善行を積むことが、天国行きの足掛かりとなる…そういうことでしょうか?」
シ村さんがフォローします。
「そう!ニシ川さん、天国から城戸さんが降りてきて、、引っ張り上げてくれるかもしれませんよ!」
「調子のいい話。」
ため息交じりのニシ川さんに、シ村さんが
「いえいえ、案外ありえる話かもしれませんよ。
私達は誰も『成仏の扉』の先に進んだことは、ありませんからね。」
当たり前と言えば当たり前ですが、ニシ川さんもシ村さんも、「成仏の扉」の先のことは分からないんですね…。
「ちなみに、『蜘蛛の糸』では最終的に、悪人は再び地獄に落ちます。」
「え…」
知らなかったんですね、ハヤシくん…。
カンダタは、自分に垂らされた蜘蛛の糸を辿って登る最中、下から大勢の者たちが登ってくるのを見て、「糸が切れる、降りろ!」と叫んだ途端、糸が切れて再び地獄へ…でしたね。
成仏課。
手続きを待つ最中、他の男性から「その頭、かっこええな」と言われた城戸さん。
「いいだろう」
見事に「ドヤ」って感じの城戸さんでした。
シラ神さんの生前のお話があって、次は何が来るんだろうと思っていたら、クッションのような通常回でしたね。
ただ、個人的には「なるほどなぁ」と思わされましたね。
歳を経る毎に、自分の「見てくれ」に、気を遣わなくなったなぁ…と。
もちろん、個人差あると思います。
さすがにラインは入れられませんが、もう少しくらいは気を付けよう、と思いました…。
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