ひぐらしのなく頃に 解 ～皆殺し編～ 其の四「交渉」
圭一・魅音・詩音・レナ・梨花ちゃんが児童相談所を訪れ、沙都子の窮状を訴えるものの、袖にされ
「ここはしょぼくれるところじゃない、怒り狂う所だ！！」
と気合を入れ直した翌日の雛見沢分校。
圭一はじめ、部活メンバーは沙都子の現状を、クラスのみんなに訴えます。
沙都子を助けたい。
昨日児童相談所に行ったが、相談所は危機的状況を理解していない。
もっと仲間が必要なんだ。
皆で児童相談所に、沙都子の状況を理解してもらいに行こう。
皆の力を貸してくれ、と。
再び5人で行ったところで、相手の対応は変わらない。
ならば、もっと大人数で、と言う策です。
教室の騒ぎを聞きつけ、駆けつける知恵先生。
教室に入ろうとする知恵先生を、両手を広げて遮る梨花ちゃん。
「みんな、沙都子を助けるために頑張ろうとしているのです。
私は無力だから、みんなの力を借りないと何にもできない。
でも、その動きを止めようとする、知恵を止めることくらいはできる。」
梨花ちゃんの熱意は伝わり、知恵先生も一緒に行くことになります。
雛見沢分校全員で、児童相談所に。
相談所の職員は、「部屋が狭いので代表者のみでお願いします」と。
「部屋に人数を合わせるのでなく、こちらの人数に部屋を合わせるべきじゃないですか？」
レナの超ド正論。
ちょっとスカッとします。
「現在、慎重な対応を協議中です。
職員が直接、沙都子さんにお話を聞いています。
本人は虐待のようなことはないと…」
「沙都子は確実に虐待されているんです」
「そこは判断が難しいところなんです。
本人に虐待されている自覚がないと…
危機的状況にはないと判断せざるを…」
「危機的状況にない、だと…？」
圭一がキレかかります。
が、レナが圭一の肩を叩き、『キレちゃダメ』と言わんばかりに首を振ります。
北条鉄平のことを除けば、本当にこれまでにない、良い世界です。
誰かが暴走しそうになっても、ほかの誰かがちゃんと止めてくれる。
圭一しかり、詩音しかり、レナしかり。
相談所からの帰り道、「最初に行った時と変わらない」とぼやく圭一。
「そんなことない。
みんな、はじめてなんだよ。仲間のために戦うことが」
「ダム戦争みたいですね」
「1人に石を投げられたら、2人で投げ返せ
2人には4人で、1,000人には村すべてで」
「なにそれ？ことわざ？」
「ダム戦争の頃の村のスローガンみたいなものです
村全体で結束して戦おうって意味です。」
知恵先生も、その頃を知っているのでしょう。
「それだけではありませんよ。
一人の痛みを、村人全員が共有し、わが身と思って戦おう、と言う意味合いも含まれています」
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状況を変えるため、明日はもっと大勢で相談所に行く必要があります。
町会関係は北条家に関わることを恐れているため、他をあたる必要があります。
圭一が目を付けたのは…亀田君。
「厄醒し編」の「雛見沢ファイターズ vs 興宮タイタンズ」の草野球に出てきた、甲子園ピッチャーです。
肉好きを公言しているものの、実はスイーツ好きな亀田君。
彼を説得するため、詩音がバイトする「エンジェルモート」で待ち合わせます。
「いくら『Ｋ』の頼みでも…明日はデザートフェスタ、デザート食べ放題の日ですよ？」
（「厄醒し編」の出来事により、亀田君は圭一を『Ｋ』と呼びます）
デザートのために断る亀田君。
口八丁の圭一、亀田君に説教します。
「少女とケーキを天秤にかけるやつは外道だ！
この2つのあまあまスイーツに国境はない、壁もない！
切っても切り離せぬ、一心同体の存在！
よって、少女を救えないヤツに生クリームを愛でる資格はない！」
自分が間違っていたと、（簡単に）改心する亀田君。
「『Ｋ』…そのお話ですと、もっと人数が必要ですよね？
聞いたか！同志たち！！」
「エンジェルモート」の常連客（だいぶオタ寄りばかりですが）が一斉に立ち上がります。
沙都子を救う準備は、皆出来ていると。
鳴り響く『Ｋ』コール。
エンジェルモートの店員の協力も取り付けます。
「これが…運命を打ち破ろうとする力なの……」
入江診療所を訪れると、入江先生、鷹野さん、富竹さんも参加してくれると。
言い出しっぺは鷹野さんのようです。
梨花ちゃんの申し出に応えられず、申し訳ないと思っていた様子。
診療所を出る圭一に、大石さんが声を掛けます。
「ケンカは引き際が肝心ですよ。
『藪をつついて蛇を出す』って言葉があるでしょ？
どうやら、児童相談所が園崎家に接触ようです。
児童相談所としては、バックに園崎家がついているか確認したかったようです。
ここで問題なのが、園崎家が知ってしまった、と言う事なんですよ」
「北条家を嫌っている人を敵に回す、っていうことですか？」
「まぁ、そういうことになりますかなぁ」
「それは警告ですか？」
「いいえ、忠告ですよ」
「ありがとうございます。でも、諦めるわけにはいきません。それが仲間ってもんです！」
大石さんが、得にもならない話をわざわざ圭一にしてくれています。
おもちゃ屋でのチンチロリンの件と言い、相当大石さんが味方寄りであることは確かです。
翌日、沙都子が登校します。
昨日の陳情で、児童相談所が動いたようです。
「ご心配をおかけしました。
3日間熱が下がらなかったんですの。
3日間熱が下がらなかったのですの。本当ですのよ。」
誰も熱のことなんて聞いていないのに、表情も抑揚もなく、同じ言葉を繰り返す沙都子。
「おそらく、あの叔父が『そう言え』って強く言ったんだろうね」
「痛々しくて見てられないよ…」
「一人で外出させたってことは、余計なことをしゃべられる心配はないと判断したんだろうね…」
「そんな…っ、調教じゃあるまいし！」
圭一が沙都子に話しかけます。
「沙都子、辛くないか？」
「にーにーがいなくても、わたしくは一人で頑張れますわ」
優しく、沙都子の頭を撫でる圭一。
声を出さず、ポロポロと泣き出す沙都子。
皆で沙都子を救おうとしている、だから沙都子も手を伸ばせ。
この手を掴め。
後はおれたちが引っ張り上げてやる！
そんな話をしている最中、校長先生が。
ひどく怯える沙都子。
現れたのは校長先生で、叔父ではないのに「叔父が私を連れ戻しに来た」とパニックになる沙都子。
「沙都子は病気なのです。
壁に黒いシミがあって、それが圭一やレナには何に見えますですか？
ハエが嫌いな人ならハエに、
ゴキブリが嫌いな人ならゴキブリに見えてしまうことがあるのです。
それが沙都子の病気なのです。」
「そう思い込んだら、違うと言っても一度パニックを起こした沙都子には、もう分からないのですよ。」
「入院させることは、できないのか？」
「本人が嫌だと言うのです。
自分が家にいないと、悟史の部屋が無くなるのだそうです。
沙都子にとって、悟史の部屋は悟史が戻るまで、自分が守らなきゃならない場所なのです。」
翌日、予定通りの大人数で児童相談所に向かった一行。
入江先生、圭一、梨花ちゃんが代表で相談の席に着き、その他はカウンターの向こうから見ている状態。
争点は、沙都子が虐待を認めるかどうか、というところに絞られてきます。
『皆が救いの手を差し伸べている
なのに沙都子はそれを掴もうとしない
だれか、沙都子を説得できる人は…』
そんなことを考えながら、梨花ちゃんは気づきます。
『1人足りなければ奇跡が起きないのは当然
私が沙都子の心を開くカギを持っている
なのに、私は傍観者気取り
私が舞台に上がらなければ、奇跡は起きない』
梨花を案じ、羽入が口を（というか心を）挟みます。
『何度もそのような決意をして、その度に打ち砕かれてきたのです。それでも…なのですか？』
『二度とない幸運、二度とない結末、この世界でダメならもう諦める
これが最後のチャンスよ！
私は戦う、たとえ死ぬとしても。
自分の世界は、自分で幕を下ろしたい！
せいぜい祈って頂戴、私が昭和58年の運命に打ち勝てることを』
入江先生と圭一、相談所の職員の話を遮り、梨花が宣言します。
「虐待の事実を、沙都子が認めればいいのですね？
ボクが沙都子を説得して見せるのです」
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