初陣で上々の活躍を見せる信。
そこに響く、大きな地鳴り。
その正体は、魏軍の誇る「装甲戦車隊」でした。
2頭の馬で引く戦車には乗員が3人。
正面から行けば、馬に轢き殺されるか弓弩(いわゆるクロスボウです)の餌食。
斜めから行けば、戦車上から刀や矛の餌食、しかも失敗したら車輪についている刃の餌食。
歩兵には手の出しようのない代物です。
「策がある」と言ったのは「嫌いなことは話すこと」という、信の伍の羌瘣。
羌瘣の策は、「防壁を作る」こと。
何を使って防壁を…「死体を積んで」。
信や尾平は「何をバカなことを」と伍長・澤に詰め寄りますが、澤伍長の判断は「死体を積み上げて防壁を作ってください!!」
戦慣れしている連中は、「悪かねぇ思いつきだ」と防壁作りに協力します。
死体を積み上げた上に盾と槍で、防壁を作ります。
戦車隊も迂闊に突っ込めず、戦車の速度を落とします。
すかさず反撃に出る信。
一騎倒した戦車から馬を奪い、それに跨(またが)り単騎で戦車隊に特攻します。
羌瘣のアドバイスで「戦車そのもの」に的を絞った信。
槍を戦車の車輪に投げつけ、車輪を壊すことで戦車隊を倒していきます。
他の連中も戦車の通り際に盾を投げつけ、馬を転ばせて戦車を倒すなど、羌瘣の策が当たり、形勢を逆転します。
秦軍を束ねる将軍・麃公(ひょうこう)は、信達の軍が戦車隊を退けたことを聞き漏らさず、「そういうところには”何か”がある」と、援軍の騎馬隊を送ります。
援軍に助けられた信達ですが、到着した千人将の縛虎申は、「絶体絶命なる死地を乗り越えた貴様らならば、さらなる死地をも乗り越えられる!!」と。
残存する歩兵で丘頂上の魏軍副将・宮元の首を取ると宣言します。
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30巻の表紙、麃公将軍
戦車隊の攻撃に曝され、疲労困憊の歩兵隊。
必死に走りますが、騎馬隊に付いていくことができません。
岩につまずき、魏兵に囲まれる尾平。
もはやこれまで、と思ったその時…。
尾平を囲む魏兵6~7人を一瞬で斬り倒したのは、羌瘣でした。
信の伍で一番小柄で「まだ子供」と思われていた羌瘣。
相当の剣の達人のようです。
魏の副将・宮元が陣取る丘の麓に辿り着いたのは、歩兵と騎馬兵合わせて50人弱。
対して丘を守る守備軍は、その数二千。
全て斬る必要はない、突破できれば良いと、心臓近くに矢を受けながらも頂上を目指す縛虎申。
ほとんど目も見えないくらいの重傷を負いながら、宮元と刺し違える縛虎申。
宮元の陣取る丘を奪取しますが、丘の守備軍二千は、ほぼその数のまま、頂上の信と縛虎申、その配下たちを追います。
また、別の丘に本陣を魏の大将・呉慶(ごけい)が、本軍五万ごと信のいる丘を目指して進軍していました。
敵の副将を討ったものの、絶体絶命の信達。
その様子を、別の丘から見つめる将の姿が…。
王弟反乱の際、政と昌文君の王宮脱出を邪魔した、「王騎将軍」でした。
王騎将軍の意図とは…。
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