カニの生き方
3巻最初のお客様は「佐尾(さお)」。
「カニすべからく」という芸名の漫才コンビの片割れです。
相方の「高関(たかぜき)」とは同じ高校出身。
佐尾は背が高く、ヌボーッと無表情で、シュールなネタを作ります。
感情を表に出さないためか、芸人仲間からはあまりよく思われていない模様。
一方の高関は、ニコニコして人当たりが良く、芸人の仲間内でも好かれています。
結婚して、子供もいます。
佐尾と高関は、バイトしながら芸人している、まだ売れていない芸人でした。
そんな折、二人に「デッドオアコント」(以下「デドコン」)決勝の
切符が与えられます。
「M-1」みたいなものなんでしょうね。
張り切る高関に対し、佐尾はいつも通りの無表情。
寧(むし)ろ、体調が悪そうです。
無表情かつ、心配する高関には必ず「大丈夫」というので、
高関も深くは聞きません。
しかしこの時、佐尾の身体は不治の病魔に蝕まれていました。
学生の頃に父親が亡くなり、遺伝性の病気で佐尾自身も発症する可能性が50%あることを、
母親から告げられていました。
そして28歳になった佐尾は、悪い方の50%を引き、病気を発症します。
発症からの余命が10年程度という佐尾の病気、
「デドコン」決勝の頃には相当進行している模様です。
そして迎えた「デドコン」決勝当日。
会場に佐尾は現れません。
病状が悪化しており、入院していました。
そうとは知らず、佐尾が現れず、連絡も取れないため焦る高関。
「背の高い人にマスクを被って立ってもらい、自分一人でコントをやる」
(佐尾は190センチ)
等考え、芸人仲間も背の高い知り合いをあたりますが、変わりが見つからないうちに、
とうとう「カニすべからく」の出番となります。
棄権を申し出ようとする高関の前に、車いす姿の佐尾(表紙の佐尾ですね)が現れます。
佐尾は座っているのみ、高関が一人で喋るというシュールなネタ「男の感情」を披露し、
何とか「デドコン」は終了。
もちろん「カニすべからく」は優勝ならず。
その後、佐尾は亡くなり、それまでネタを作っていた佐尾に変わり、高関がネタを作り、
「カニすべからく高関」として、お笑いを続けます。
前を見て
亡くなったのは17歳の女子高生麻帆(まほ)。
なぜ自分が亡くなったのか分からず、亡くなったという自覚さえ乏しい彼女。
持っていたスマホの画面が点かないため、「充電器ありませんか」と聞くほど。
死後の世界の「死役所」に、さすがにスマホの充電器はないでしょう。。。
生前の麻帆は、親友の里奈といつも一緒でした。
割と流行り好きな麻帆と、流行りに流されないマイペースな里奈。
きっかけは、麻帆が携帯をスマホに変えたところだったのでしょう。
クラスのLINEグループに入ったのは良いものの、会話をスルーし続けたことで、
ハブられそうになる麻帆。
それ以来、何をしていてもスマホが気になります。
一時、よく情報番組で報道されていましたね。
LINEをはじめとしたSNSに疲れる中高生が多い、と。
最近は、学校での指導や家庭内でのルール決めで、ある程度緩和されたのでしょうか。
里奈と一緒に映画を見ていても、お茶してても、スマホを気にし続ける麻帆。
並んで歩いている最中も、スマホに夢中な麻帆。
里奈は、「もっと右に寄らないと危ないよ」と注意します。
画面に目をやりながら、右による麻帆。
先には階段。気が付いた時には階段から転げ落ちた後。
一緒にいても自分のことを見ない麻帆に対する、ちょっとした悪戯のつもりが、
親友の命を奪うことに。。。
その頃、クラスのLINEグループでは、麻帆の返答が的外れであることを
非難する意見に、皆が賛同。
LINEグループから、麻帆を削除します。
「ばいばーい 麻帆」
LINEグループからも、この世からもバイバイされた、女子高生のお話。
成仏しません
女子大生で二十歳になったばかりのミチルは、大学のサークル飲み会で、
急性アルコール中毒で亡くなります。
「生活事故死課」のハヤシくんが対応しますが、ミチルちゃん本人は「殺された!」
と言ってききません。
ハヤシくんの変な敬語「事故死す~」にも文句を唱える、
亡くなったのに元気な女子大生ミチルちゃん。
彼女の言い分はこうです。
サークルの飲み会に誘った綾さん、この人が犯人だと。
飲み会当日、サークル一のイケメン東条君の隣にダッシュするミチルちゃん。
東条君の隣には、すでに綾さんが。
綾さんの反対隣りに座ったミチルちゃんは、綾さんに敵対心を示す一方、
当日が二十歳の誕生日と言うことで、初めてのお酒を楽しみます。
勧められるがままに飲むミチルちゃん。
わたし自身も、大学時代に急性アルコール中毒で救急搬送されたことがありますが、
若いうちは酒の飲み方が分かってないんですよね、自分の体のアルコール許容量とか。
気が付けば隅で寝ているミチルちゃん。
そろそろお開き、ということで、ミチルちゃんを起こそうとする綾さん。
一向に起きる気配のないミチルちゃん。
この時すでに、ミチルちゃんは急性アルコール中毒で亡くなっていたのです。
普通に自業自得なお話なんですが、ミチルちゃんは
「綾さんが私の可愛さに嫉妬して、お酒を強要して殺した、
わたしは殺人事件の被害者だ!」
と主張します。
もちろんそんなはずもなく、死役所の資料にも「事故死」と書かれていました。
納得のいかないミチルちゃんですが、死役所の資料を書き換えるわけにもいかず。。。
シ村さんがお客さんを落ち着かせる業、「共感」を用い、
ミチルさんは可愛いので、相手の方が嫉妬にかられたのはまちがいなく、
こちらとしても殺人で扱いたい、今後は何らかの対応ができるよう、検討します、
と出まかせで、ミチルちゃんを落ち着かせます。
ここで余計なカットインのハヤシくん
「きっと綾さんも毎日泣いてますよ、彼氏と一緒に追憶して…」
ミチルちゃんが好きだった東条君が、綾さんの彼氏だったとバラしてしまいます。
書きかけの申請書を勢いよく破り捨てるミチルちゃん。
「殺人って認めてもらうまで、絶対に手続きしませんから!!!!」
「何が悪かったんすかね~…」
何もわかっていないハヤシくんでした。
ミチルちゃんのお話は、次巻4巻に続きます!
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