重いテーマですが、すごく考えさせられます
「あずみきし」先生作のマンガです。
ジャンルは・・・ちょっとカテゴライズしにくいですね。でも面白いですよ。
2019年2月時点でまだ連載中で、単行本は12巻まで発売中です。
まずはタイトルにご注目。
「市役所」ではなく「死役所」です。
亡くなった人間が成仏するために、色々な手続きを行うお役所なのです。
亡くなり方にもよるのですが、「成仏許可申請書」とか「人為災害死申請書」とか「挺身申請書」とか「自殺申請書」とか。。。
ホントに実際の役所みたいに面倒くさそうですね。
ただ、亡くなってから49日以内に手続きを済ませないと、成仏できず、ただ真っ暗な闇の中を永久に彷徨(さまよ)う「冥途の道」行きになってしまうんです。
死役所を訪れるのは、いじめを苦に自殺した中学生、介護疲れで実の母親と無理心中した中年女性、母親から虐待されて亡くなった幼稚園児、若くして病気で亡くなった動画配信者等々、、、
重いテーマが多いですし、「人の死」自体が重いテーマだと思いますので、なかなか敷居が高そうに感じますが、そうでもありません。
所々にジョークも散りばめられ、すんなり読めるマンガです。
そして、考えさせられることも多いマンガだと思います。
ここからだいぶネタバレになってしまうのですが、上に書いた「いじめを苦にした中学生」の場合。。。
この子は遺書を残さずに、飛び降り自殺で亡くなりました。
遺書の代わりに日記を残していたのですが、自殺の一因に両親のことも書いていたのです。
すると死役所職員のシ村(主人公)は
「ご両親は恥じてその日記を処分されてるかもしれませんね」
「遺書を残してなくても、僕をいじめてたやつは自分のせいだと気づきますよね。そしてそいつは殺人犯になりますよね。」
という中学生の問いに対し、シ村は
「いじめっていうのは、やった方は自覚がないものです。遺書がなければ裁けないでしょうし、皆すぐに忘れてしまうでしょう。」
自分に無関心だった両親と、自分をいじめたクラスメイトに気付いてほしかったのに。。。
自分が死んだことが無意味だと知った中学生は、手続きを途中でやめます。
死役所内の階段に座り込んでいると、上の階から降りてきたのは、自分をいじめた主犯の子でした。
いじめっ子が持っていたのは「他殺による死亡認可書」。
いじめっ子が自殺した子を、ボコボコに殴りながら言うには、
「てめーが、自殺なんかしやがるから、殺されたんだよ!てめーの親父に!!」
いじめっ子は、殺されていたのです。自殺した子の父親(母親の再婚で父になった義父)によって、です。
自分に関心がないと思っていた義父が、自分をいじめていた子を殺した。。。
中学生は成仏の手続きを済ませ、シ村に
「お義父さんが死んでここに来たら、伝えてください。お義父さんともっといろんな話がしたかった、って」
そう言って「成仏の扉」に向かう中学生は、心なしか清々しい顔つきでした。
ちなみに主人公のシ村さんは、こんな感じでいつも笑っていますが、慇懃無礼でシニカルな言い回しをします。
死役所に勤める職員は、全員元死刑囚なのですが、このシ村さんは冤罪で死刑になっているのです。
ただ、まだ細かい経緯などは描かれておらず、、、今後その辺りが明らかになっていくのを読むのが楽しみです!!
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