【この記事は死役所 ネタバレ 第86条 「準備」のあらすじをご紹介します】
第86条 準備
今回の客様は「勝又周子」さん。
年齢は…見た目はそんなにお年を召した感じではありませんが、「20年前から病を患い入退院を繰り返してきた」という経緯があるようなので、70前後なのでしょうか。
小学生の勝又稚衣名が帰宅すると、祖母の周子さんは何やら一生懸命書き物中。
小学生の稚衣名にも宿題があるように、「年寄りの宿題」という書き物は「エンディングノート」
エンディングノート…高齢者が人生の終末期に迎える死に備えて自身の希望を書き留めておくノート。
ウィキペディア(Wikipedia)より
「終活」と言う言葉が一般化した昨今、亡くなる前に身の周りの整理をされる方は増えているそうですね。
稚衣名の後に帰宅した、稚衣名の父で周子さんの息子さんは「縁起でもない」と怪訝な表情。
「今どき普通やし、アンタが知らんだけや」
夜、ノートを全て書き終えた周子さんは、夫の仏壇にノートを供えます。
「お父ちゃんこれ見て~、よう書いたやろ~」
仏壇に手を合わせ、にっこりと微笑む周子さん。
異変
翌朝、周子さんを起こしに来た息子さん。
「おはようオカーン!オカン…ちょ…おいオカン!」
何やら周子さんの身に、異変が起こったようですね。
「朝起こしに来たら…はい。そうです…はい…」
どこかに電話しているようです。
救急でしょうか……。
オカンのアホ
楽しそうに笑う周子さん……遺影です。
亡くなられたんですね……。
喪主は周子さんの息子さん
参列者に挨拶。
「母は本当に明るく、元気な人でした。私が悩んでいるとき、背中を押してくれたのはいつも母でした。母の笑い声には、何度も救われました」
飄々とエンディングノートを書く姿といい、遺影の笑顔といい…本当に「明るく、元気で、笑顔の素敵」な周子さん。
息子さんもさぞ、お母さんを慕っていたのでしょう。
「20年前から病を患い、入退院を繰り返してきましたが、持ち前の明るさで闘病を続け、頑張ってきました。ですが一昨日……」
息子さんが声を詰まらせます。
「急に容体が悪くなり、そのまま帰らぬ人となりました」
昨年亡くなった父と再会し、久しぶりに話せていると思う、と挨拶を締めた息子。
自宅に戻り、周子さんのエンディングノートを改めて見直します。
「葬儀はしなくてもいい」「宗教は任せる」「会場は特に考えていない」
普通のことしか書かれていないとボヤく息子。
「『ありがとうな、家族を大事にしいや』って、口で言ったらええやろ!いらんねんこんなの!何でや!何で勝手に死ぬねん!!オカンのアホ!!」
泣き崩れる父の姿に、娘の稚衣名も涙を流します……。
衝撃
死役所。
滞りなく申請書類を書き終えた周子さん。
「フゥー、お父ちゃん待っとってな、すぐ行くで~」
死役所でも明るく元気な周子さん。
書類を成仏課に提出する前に、シ村さんと雑談中です。
「うちの息子、うまく葬儀してくれたやろか?」
エンディングノートを書いていたのなら、大丈夫でしょうと返すシ村さん。
「あまりの衝撃で、読んでいない可能性もありますが」
周子さんが「成仏許可書」と一緒に持っていたのは、「自殺による死亡許可書」
そう、明るく元気な周子さんが選んだのは「自殺」だったのです……。
入退院を繰り返し、身体中は痛いし薬は大量に飲まなければならない。
「死んだら楽になれるやろな」「死んでまいたい」「もう死んでもええかな」
そんな弱音を、息子さんに吐き続けた周子さん。
その度に息子さんに叱られていました。
「頼むから簡単に死ぬとか言わんでくれ。オカンと同じ状況で、必死で生きてる人もおんねん」
辛さは他人と比較できるものではありませんから、とフォローするシ村さんに
「よそはよそ、ウチはウチやな!」
ケラケラと笑って返す周子さん。
選択死
最初は病院で友達もでき、仲間がいるから頑張れたという周子さん。
長い間頑張ったものの、昨年旦那さんが亡くなってから、「もうええかなーって思ってしもた」
「喪失感ですね。今頃勝又さんのご家族も、同じ気持ちを味わっているでしょう」
シニカルが通常営業なシ村さん。
それでも自分の死に後悔の無い周子さん。
自分の死が「自殺」という言葉と合致しない周子さん。
「これは自分で選んだ死、『選択死』や!」
その言葉をエンディングノートに書かなかったことを後悔する周子さん。
「絶対ウケてたわ~!」
どこまでも明るいですね。
「前向きって言うのは書いててんけど、息子はそう思ってくれへんやろか」
自死遺族には様々な思いや葛藤がつきもので、そう簡単には割り切れないでしょう、と答えるシ村さん。
「アンタも立派な葬儀、してもらってるとええなぁ…」
「そうですねぇ…、私も書いておけばよかったです。エンディングノート」
死刑囚のシ村さんは葬儀なんて無かったでしょうから…。
「前向きな死」とはいえ、やはり自殺は周りに与える衝撃が大きいですからね…。
昨年(2020年)はコロナ禍の影響なのか、有名な方の自死が多く報じされた印象があります。
同時にSNS上での誹謗中傷による自死も問題になりました。
誰もが納得する死なんてものは、理想論なのでしょうが…。
コロナ禍で疲弊し、荒んだ人々の心が早く救われることを願うばかりです…。
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