【この記事には「ひぐらしのなく頃に業」のネタバレを含みます】
目覚め
「あと、5回……5回だけ頑張って…それでダメなら………もう、諦めよう…」
その5回目。
いつもの様にカケラの世界から目を覚ました梨花ちゃん。
6月12日、日曜日。
綿流しのお祭りの1週間前です。
夕方、もうひぐらしがないています。
うなされ、汗をかく梨花ちゃんが目を開けると…。
「あら、やっと目を覚ましましたの?」
顔を覗き込んだのは沙都子。
いつもの雛見沢です。
ここまでは……。
北条沙都子
「ずいぶんうなされてましたわよ、嫌な夢でもご覧になりましたの?私でよろしければ、梨花が落ち着くまでずっと側に居ますわよ」
「あと5回」と決めて頑張ったものの、赤坂・園崎茜・公由村長・圭一……次々「発症」し、惨劇が繰り返されます。
もう羽入もいない。
梨花ちゃんの苦しみを共有できる相手がいない。
孤独と絶望に打ちのめされそうな、梨花ちゃんの心。
「どうして?どうして私だけ、こんな目に遭うの?」
沙都子の優しい言葉に、泣き出す梨花ちゃん。
「どんな夢を見ていたのか存じませんけど、もう気付いているのではございませんの?夢には必ず何か意味がありますのよ?梨花にとって大切な意味が…」
沙都子の言葉が理解できない梨花ちゃん。
この惨劇の繰り返しという「悪夢」は、梨花ちゃん自身しか体験していない…それに、梨花ちゃん自身がそんな目に遭う理由が…?
「梨花がもし…恐ろしい夢に苛まれて……それでもなお、理由が分からないというのなら……梨花、それは祟りですのよ」
淡々と話す沙都子の側で、苦しみに悶える梨花ちゃん。
梨花ちゃんの汗、うなされは、悪夢のせいだけではありませんでした……。
沙都子が布団を捲ると……梨花ちゃんのお腹が割かれています。

「さぁ梨花、綿流しですわよ」
首を掻き毟り、沙都子が告げます。

この雛見沢は、始まりと同時に「終わり」を迎えていたのです……。
お告げ
「どうやら痛み止めが切れたようですわね。残りの痛み止めを、全部使って差し上げますわ」
慣れた手つきで痛み止めのアンプルの頭部を折り、梨花ちゃんに注射する沙都子。





この世界でも入江先生の命で雛見沢症候群の発症を止めるよう、沙都子は自分で注射を毎日打っているようですね。
この世界では沙都子が発症し、梨花ちゃんを「綿流し」するために、沙都子が腹を割いたようです。
オヤシロ様のお告げを聞いたという沙都子。
梨花ちゃんはもう、オヤシロ様の巫女にふさわしくないから、自分に巫女を変わるように告げたと。
奉納演舞の鍬を持ち出し、梨花ちゃんの割けた腹に振り下ろします。
「梨花……私の奉納演舞、見てくださいまし」
鍬で腸を掘り返される梨花ちゃん。
「もうやめて……祟りなんて……罰当たりなことなんて………私は何もしてない……」
「いいえ、梨花。あなたは巫女であるにもかかわらず、オヤシロ様の戒律を破っているんですわ…」
梨花ちゃんが「雛見沢から逃げたい」と思いながら、演舞を奉納してきたと指摘する沙都子。
100年、惨劇の繰り返しを経験してきた梨花ちゃんは、その終焉と共に「雛見沢を離れる」選択をし、ルチーアに進学していたのです。
後悔
梨花ちゃんを「綿流し」するにあたり、部活メンバーの皆を「生贄」にしたという沙都子。
「どうしてオヤシロ様の巫女でありながら……戒律に背くような夢を見たんですの……」
雛見沢症候群による妄言を散々聞いてきた梨花ちゃんにとって、「案外的を射ている」という沙都子の妄言。
自分がどうして雛見沢を嫌いになったのか、どうして離れたかったのか考える梨花ちゃん。
100年間、ずっと雛見沢に縛り付けられていたから。
でも、本当は雛見沢に不満なんてなかった。
もう惨劇が起こることもない。
やっと安心して一緒にいられるねって、雛見沢がほほ笑んだのに、梨花ちゃんは雛見沢を去った…。
そのことを悔やむ梨花ちゃん。
「私……こんな田舎臭い村……早く出たいって……何て……恩知らずな……」
沙都子に素手で腸を引きずり出され、痛みで気を失いそうに……。
「……ごめん……私が…間違ってた……」
梨花ちゃんが雛見沢を捨てたことを「間違い」と気づいてくれたことに、喜ぶ沙都子。
ボロボロになった(沙都子がボロボロにした…)梨花ちゃんを抱きしめ、
「私はこの雛見沢で梨花と一緒に暮らせるなら、他に何も必要ありませんのよ!」
沙都子に抱きしめられたまま、息絶える梨花ちゃん。
「……もう……間違え…ない……」
最後の向こう
「最後」と決めていた雛見沢の、次の雛見沢で目を覚ました梨花ちゃん。
目を覚ましたのは河原。
目の前には沙都子。
「あら、やっと目が覚めましたの?」
ついさっき、鍬や素手で自分の腸を引きずり出し、殺した沙都子…。





今回は至って「普通」に見えますが……。
魅音の発案で、部活メンバー+詩音で川遊び。
その様子を見て、ほっとする梨花ちゃんですが……そんな梨花ちゃんを見つめる沙都子の表情には……何となく「違和感」が。


目を覚ました梨花ちゃんも水着に着替え、ボール遊びに興じます。
夕方までさんざん遊び倒し、くたくたになりながら着替えたところで…梨花ちゃんが沙都子に話し始めます。
「沙都子にはきっと、何の話か分からないのです。それでも、最後まで聞いてほしいのです」
とてもとても長い夢を、2つ見ていた。
1つは、見ている時はとても辛かったけど、いっぱい輝きの詰まった、今にして思うと最高の夢。
もう1つは、その輝きに気付かず、恩知らずな夢を抱いた梨花ちゃんを罰する、長い長い悪夢。





1つ目が「ひぐらしのなく頃に」「ひぐらしのなく頃に解」に描かれた、梨花ちゃんたちの戦い。
2つ目が「ひぐらしのなく頃に業」で描かれた、梨花ちゃんに与えられた祟りと罰。
「でも、今だからボクはハッキリ言えるのです。ボクは、雛見沢が大好きなのですよ。こんなにも素敵な所なのに、こんなにも素敵な友達がいるのに、どうしてボクは、余計な夢を望んだのでしょう」
涙を流す梨花ちゃんに、沙都子も涙…。
梨花ちゃんに歩み寄り、抱きしめます。
「私はいつまでもずーっと梨花の親友ですのよ。そして雛見沢も、皆も、ずっとずっと梨花のことが大好きなんですのよ。きっともう、怖い夢を見ることはございませんわ」
抱きしめ合い、声を出して泣く梨花ちゃんと沙都子…。
解放
それからの雛見沢は本当に「オヤシロ様の祟り」から解放されたかのように穏やかでした。
圭一やレナが疑心暗鬼に囚われることもなく、北条家に鉄平が帰ってくることもなく、圭一と詩音が2人で奉納演舞を抜け出すこともない。
運命のサイコロを振る必要さえないような、理想的な世界。
もしかすると、本当にこのまま抜け出せるのかもしれない…、古手梨花を巡る「死の運命」から。
お祭りの終盤、梨花ちゃんが河原へ向かって石段を降りていく途中、富竹さんを見かけます。
石段の脇の山道を登る富竹さんを、呼び止める梨花ちゃん。
「富竹に、話しておきたいことがあるのです。ボクと鷹野の……」
「ちょうどよかったわ」
現れたのは鷹野さん。
「私も、梨花ちゃんと話がしたかったの」
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