
表紙は二周目の五女・五月。
風太郎との間に、最初の頃のような「険悪さ」はないものの、他の四人と違って、風太郎に対しての明らかな「好意」は見せていない五月。
マンガの中では、五つ子の中で「最初」に風太郎に会ったのが五月なので、セオリー通りなら「風太郎×五月」になるだろうと思っていたのですが…。
風太郎争奪戦に「最後」に名乗りを上げ、結ばれるのもまた、おもしろい展開だと思いますね。
87話 私と姉妹①
五つ子がまだ子供の頃、風太郎に会う前のお話です。
母親の病気が治ったお祝いに、プレゼントを買いに行く途中、サッカーの試合の助っ人を頼まれる五つ子。
息の合ったコンビネーションで、チームを勝利に導きます。
中でも四葉が大活躍。
監督から「四つ葉を手本にして、しっかり練習するんだぞ」と。
試合が終わり、母親のプレゼントを買いに行く予定が…財布を持っていた四葉が、財布を無くしてしまいます。
懸命に探すも、見つからない財布。
「誰が持ってても、無くしてたんだよ、きっと。誰かの失敗も五等分だからね」
と励ます他の姉妹。
「代わりってわけじゃないんだけど、そこできれいなお花を見つけたんだ。これ…どうかな?」
と差し出す四葉。
他の姉妹も皆、同じ花を見つけていました。
母親が帰宅し、皆で集めた花を花束にして送る五つ子。
(美しい母親は)表情を変えないまま、五人をギュッと抱きしめ、
「私にとっては、あなた達五人が健康に過ごしてくれるのが、何よりもの幸せです。こちらこそありがとう」
修学旅行に出かける五つ子を、母親が見送ります。
まだヤンチャだった風太郎と会うことになる、修学旅行ですね。
少し離れたところに、母親の「彼氏」と思しき人。
「私のファンらしいです」と言う母。
母親の「照れた表情」を初めて見た五つ子は、「あの人がお父さんになるのかな」と、先の話に花を咲かせます。
修学旅行先は混んでおり、迷子にならないように手をつなぐ五つ子……が、四葉、はぐれる…。
そこで出会ったのが風太郎。
痛いオバサンに「盗撮」と言いがかりをつけられていた風太郎を、
「その人は無罪だよ」
と助けます。これが四葉と風太郎の出会いでした…。
88話 私とある男子①
迷子同士の四葉と風太郎は、二人で京都を回ります。
気がつけば夜、二人ともお金も携帯も持ち合わせていません。
お互い、家庭が金銭的に恵まれていない二人は「お金がなくて辛くないか」という話になります。
「たまに思うんだ、自分がいなきゃ。もっとお母さんは楽だったのにって。だからこれからたくさん勉強して、うんと賢くなって、とびっきりお給料のもらえる会社に入って、お母さんを楽させてあげる。そしたらきっと、私がいることに意味ができると思うんだ。」
この四葉の言葉が、後の風太郎を変える一言になります。
「自分が子供だからと、諦めていた。今の環境とか、立場とか。自分が変わりゃいいんだ」
そう気づいた風太郎。
「俺もめっちゃ勉強して、めっちゃ頭良くなって、めっちゃ稼げるようになったら、妹に不自由ない暮らしをさせてやれるかもしんねー!必要ある人間になれるのかもな!」
「がんばろう、二人で。私はお母さんのために。風太郎くんは妹さんのために。一生懸命勉強しよう」
その後、二人は後に「五つ子の父」となる、当時の五つ子の母の「彼氏」に迎えに来てもらいます。
四葉がいなくなったという話を、五つ子の母から聞き、わざわざ京都まで探しに来てくれたようです。
五つ子が修学旅行から帰って以降、体調を崩し続けている母親。
この時初めて、四葉が他の姉妹と違う格好をします。
風太郎がいう所の「悪目立ち」のリボンです。
母親にリボンが似合うと褒められた四葉。

「みんなより勉強して、この前なんてテストで一番になった。勝ってるんだよ!?私はもう、皆と同じ場所にいない。そっくりなんかじゃない」
そこに五月が、今と同じように星の髪飾りを付けて現れます。
四葉の真似をして、自分も頭につけてみたようです。
母親は四葉に言います。
「あなたの努力は素晴らしく、何も間違っていません。ですが、一番にならずとも、あなたたちは一人一人特別です。親として、あなた達に一緒にいて欲しいと願います。例えどんなことがあったとしても、大切なのはどこにいるかではなく、五人でいることです」
その言葉を残し、間もなく亡くなってしまった母親。
一番ショックを受けたのは五月。
「これからは私がお母さんに…お母さんになります。」
母親の敬語をそのまま真似て、自分が母親の代わりになることを、心に決めます。
そして大事なのは、「自分達はこれからどうなるか」
バラバラに引き取られてしまうのかも…そう心配をしている時に、母親の「彼氏」であり、五つ子の父になる人が現れます。
「君達を、僕が責任を持って引き受ける」
89話 私と姉妹②
母親が亡くなり、今の父親に引き取られた五つ子。
中学に入り、徐々にそれぞれ個性が出てきます。
その中でも四つ葉。
助っ人していたサッカーチームの監督から言われた、「四葉をお手本に」。
その頃から変わり始めた四葉は、勉強にも姉妹で一番熱心に取り組みます。
風太郎と交わした約束、
「たくさん勉強して、うんと賢くなって、とびきりお給料のもらえる会社に入って」
しかしその努力も虚しく、学力は向上しません。
高校生になった五つ子。
四葉は誘われるがままに、部活を重複入部します。
陸上部、ソフト部、バスケ部。
それぞれの部で、目覚ましい活躍を遂げる四葉。
四葉の勉強を心配する三玖に対しても、
「私はもうみんなと違う。一緒にしないで」
と返します。
必要とされる自分、皆に褒められる自分、姉妹の誰でもなく、自分だから。

その「特別な存在」感を味わう四葉ですが、それは「学力で最低限の点数」を取ってこそのもの。
追々試で不合格となった四葉は、落第=退学が決まりました。
父親と学園の理事長が内々でつけた話は、「転校」という形で済ませること。
その「転校」は、落第した四葉だけが受けることになります。
他の姉妹四人が、「四葉が転校するなら、私たちもついていく」と。

試験を通過したのは、「カンニング」をしたお陰だということにして。
四葉にひどいことを言われた三玖。
「四葉、どんなことも私たちみんなで五等分だから。困難も五人でなら、乗り越えられるよ」
お母さんの言っていた「大切なのは五人でいること」。
その言葉の意味を理解した四葉。
「もう誰が一番だなんて、考えるのはやめよう。私はみんなのために生きるんだ」
そう決めたのでした…。
90話 私とある男子②
落第からの退学を避けるために転校した先の高校には、五年前京都で出会った少年、「上杉風太郎」がいました。
五年前に風太郎に会った本人の四葉は、もちろん風太郎のこと覚えていました。
風太郎と交わした約束のことも。
そして風太郎は約束を守り、懸命に勉強して100点を取り続けています。
対して自分は「落第」、とても自分が「五年前に会った少女 」 だとは言い出せません。
また、姉妹が次々と風太郎を好きになっていきます。
「上杉さんの凄さを分かってくれた」
と喜ぶ四葉。
風太郎が「がり勉」するきっかけが、五年前の自分であったと知っても、それが自分だとは言い出すことができません。
二乃と喧嘩をした五月が家を出た後、「零奈」として風太郎の前に現れてくれと、頼んだのも四葉でした。
自分だけが「特別」であってはいけない。
風太郎が誰を好きになったとしても、その時自分が「全力で応援」できるように、自分の心を押し殺すため、思い出を消すために。
その考えに納得がいかないのは、五月です。
「誰だって、自分の幸せを願う権利はあるはず」
その考えから修学旅行の時、五月は一生懸命六年前のことを、風太郎思い出させようとしていたのです。
六年前に会ったのは「四葉」だと思い出させるために。
「落ち込んだ時に行く」公園で、ブランコを漕ぐ四葉。
「上杉さん、風太郎くん、好きだったよ、ずっと」


この四葉は……可愛すぎる……反則です…。
91話 偶然のない夏休み
一花、二乃、三玖、四葉。
五月を除いた四人が「風太郎が好き」と判明した五つ子。
その五つ子のもとには、半年前に引っ越したばかりのアパートの「解約申入書」が届いていました。
アパートの取り壊しに伴うものです。
一方風太郎の妹・らいはは、中学生になり少しませて「五つ子の誰かと兄の進展」を、積極的に後押しします。
夏休みの宿題だけ出して、家庭教師を休みにしたため、五つ子と会う機会のない風太郎。
バイト先でなら二乃と会えますが、風太郎のバイト先のケーキ屋の店長が、バイクで事故りしばらく店を休みにするため、二乃とも会えず…。
何の進展もないことを心配し、兄を連れて海に出かけるらいは。
あらかじめ五月と連絡を取り、当日海に来る予定だった五つ子ですが…。
アパートの取り壊しに伴う退去要請で、その当日に引越しを予定していました。
再びあの「高級マンション」に戻った五つ子。
「風太郎も久々に呼んであげよう」
という三玖の申し出に対し、五月はそれを阻止しようと…。
一花・二乃・三玖・四葉の四人が「風太郎を好き」という状況に、五月はできるだけ四人が、風太郎に会うことを避けようとしているのです。
修学旅行のような修羅場、再び…という事態を避けるため。


海に行くという日に、引っ越しの予定を入れたのも「わざと」かもしれませんね。
その頃風太郎は、海で偶然出会ったクラスメイト達と、海水浴を満喫します。
しかし帰り際に思ったことは、
『あいつらもいたら、もっと楽しかったんだろうな』
風太郎は珍しく五つ子に、
「プールでも行くか」
という提案を。五月の気苦労も知らずに…。
92話 秘密の痕
風太郎から誘ったプールですが、風太郎と他の四姉妹が会えば、また修学旅行の時のような「険悪な雰囲気」になる。
どうにかしてそれを避けたい五月。
しかし、実際六人揃ってみると、五月の心配は杞憂に終わります。
二乃はともかく、三玖のアプローチの勢いは、今までとは比べ物になりませんが…。
引っ込み思案な三玖が、
「オイル塗って」
とか言ってますし…。





鼻の下を最大限に伸ばしたおじさんが、ここに居ますよ。
風太郎は風太郎で、「高校生のための恋愛ガイド」を買い、
「本を読んで、早急に自分の気持ちを見つけ出さなければ」
そんな話を聞いた五月は、
「真面目に考えてくれているようで、一安心です。しかし、自分も姉妹の気持ちを知ろうと、色々調べていたから分かりました。この世は教科書だけでは、分からないことだらけだと。あれこれ考えるより、やってみて分かることもあると思いますよ」
そう風太郎にアドバイスする五月。
93話 ツンデレツン
風太郎と二乃のバイト先のケーキ屋、その店長はバイク事故で入院中…。
風太郎と二乃は、店長の見舞いに行きます。
二乃が来るのを待つ間、例の「高校生のための恋愛ガイド」を読み込む風太郎。
開いたページには「押してダメなら引いてみろ」。
遅れてきた二乃は「押してダメなら引いてみろ」を地で行く「ツン状態」
呼び方もいつもの「フー君」ではなく「上杉」に変わっています。
それにしても引き方が尋常ではなく、風太郎も「本当に嫌われたのでは?」と不安になります。
その時の二乃の、心の叫び…
『やりすぎたー!!どうしよう!?嫌われちゃったかしら!?』
加減が分からず、自分でも「やりすぎ」と気づくくらいの「ツン」だった二乃。
帰り際に、二乃に花束を渡す風太郎。
「お花でご機嫌取り」ではなく、翌日「命日」を迎える五つ子の母親のためのお花。
「俺はいない方がいいだろう」
という風太郎に対し、
「フー君はいなくならないで。お母さんも、きっといつかみんなも、離れ離れになってしまう。それでも、フー君だけはずっとそばにいてくれる?」
「俺のことが嫌いになったんじゃなかったのか?」
という風太郎に対し、やはり「押してダメなら引いてみろ」を実践していた二乃。
「ビビらせやがって」
という風太郎の一言に、「自分の態度ひとつでビビってくれた」ことを、とても嬉しがる二乃。


翌日は五つ子全員で、母の墓参り。
そこで一花は、
「みんなには言っておかないとね。私二学期からは、学校行かないから。学校辞めるんだ。」
94話 分枝の時①
夏休み明けの九月から、長期ロケで撮影される映画。
その映画への出演を決めた一花。
学校との両立は難しい、そう考えた結果の「学校を辞める」という決断でした。
四葉と五月は、そんな一花を応援すると。
二乃と三玖は、最後まで引き止めようとしました。
しかし、自分たちでは引き止められない。
引き止められるとしたら……そう、風太郎です。
「退学ではなく休学しろ。出席日数と一定の学力を示せれば、また復学できるし、卒業までできる。この手段を選べ!五人で卒業したい、という気持ちがあるなら」
「ただでさえおバカなのに、授業も出ないでそれは無理だよ」
そう返す一花に、
「俺がいれば話は別だ。またお前が、個人的に俺を雇うんだ。お前の時間に合わせて、おれが一対一で教える。お前の学力は落とさない」
と説得します。
しかし一花の思いは固く、
「女優一本で行くって、決めたんだ。そのビジネスには乗れないよ」
学校のことに区切りをつけた一花ですが、もう一つやり残したことがありました。
四葉がよく行く公園で、二人ブランコに乗りながら一花は尋ねます。
「四葉は覚えてる?フータロー君のこと」
95話 分枝の時②
「六年前」の風太郎のことを、もちろん覚えている四葉。
四葉に対し、謝罪する一花。
温泉で四葉が慰めてくれた時、
「四葉がどんな気持ちで慰めてくれたか、私には分からなかった。お姉さん失格だね」
四葉が落第しかけた時、自分と一緒に来てくれた、自分を独りにしないでくれたのは、一花たちでした。
「本当に辞めちゃうの?一花が辞めるなら私も!」
やはり四葉も、一花を引き止めたいのです。
三玖とともに、一花の所属する芸能プロダクション訪れる、風太郎。
しつこくも再び、一花に退学を思い止まらせ、五人揃って卒業させたい、という風太郎。
「それができなきゃ、俺が納得いかねぇ」
と言う風太郎ですが、本音は違っていました。
三玖の口から語られたのは、一花への感謝。
高級マンションを出て、経済的に父親を頼れなくなった五つ子が、風太郎を雇い直せたのは、一花が仕事をしてくれたおかげ。
「その恩返しがしたい」
それが風太郎の本音でした。
「そこまでして学校に行く理由って、何だろう?」
一花に問われた風太郎は、クラスメイトと海に行った時のことを思い出します。
「自分が今まで不必要だと、切り捨ててきたもの。でもそんなことができるのは、今しかない。今しかできないことを、お前達としたいと思った。その中には当然、お前も含まれている」


風太郎の説得に、考え直した一花。
退学ではなく、「休学」という選択をします。
九月に入り、映画のロケに出かけた一花。
日中のロケでクタクタな中、夜は風太郎とマンツーマンで勉強。
それでも「みんなで卒業」するために、頑張る一花……。
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