表紙は五女・五月。
五つ子の中では、最初に風太郎に出逢った(「五年前」を除く)のが五月でした。
風太郎の「100点」の答案を見て、「私に勉強を教えてください」と頼んだものの、その後の風太郎の対応が悪く、五月の印象はかなり悪いものとなりましたが…。
前巻では、「あなたは私たちに必要です」とまで言わしめるほど、好感度を上げた風太郎ですが…。
こういう恋愛ものって、物語の最初で「主人公とヒロインが出会う」という思い込みというか、刷り込みというか、そういうものがあったので、てっきり「五月×風太郎」だと思っていたのですが…。
どうなんでしょうね、この先。
第42話 七つのさよなら④
五年ぶりに会った、風太郎の運命の「あの子」は、「零奈」と名乗ります。
「今はまだ会えない」逃げようとする風太郎を捕まえ、「あの子」とのツーショット写真を忍ばせた生徒手帳を奪い、それを盾にボートに。
学年一位になっていること、家庭教師をしていることを「何故か」零奈は知っています。
「あの子」が五つ子の誰かだとしたら、目の前の「零奈」も、おそらく五つ子の誰かの変装でしょう。
「どんな生徒さんなの?」と聞かれた風太郎は、
長女は夢追い馬鹿、次女は身内馬鹿、三女は卑屈馬鹿、四女は脳筋馬鹿、五女は真面目馬鹿。
五人を悪く言いつつも、それぞれをよく理解し、思いやりを持った言葉で説明する風太郎に
「真剣に向き合ってるんだね。きっと君はもう、必要とされる人になれてるよ」
二乃から言われた「あんたなんか来なければよかった」という言葉が、頭を過ります。
「俺は何も変わってない」
「じゃあ、君を縛る私は消えなきゃね」
風太郎に生徒手帳を返し、それでも中の写真は「これは返せない」と。
代わりに、京都での「お守り」を風太郎に渡します。
「自分を認められるようになったら、それを開けて。」
立ち去ろうとする零奈を追おうと、ボートから立ち上がる風太郎…が、バランスを崩して池に。
「さよなら」
そのまま立ち去ってしまう「零奈」。
ビシャビシャの状態で公園を歩いていると、陸上部の練習でランニング中の四葉に会います。
そして、その足で、びしょ濡れのまま二乃のホテルに…。
ただならぬ風太郎の雰囲気を察知し、止むなく部屋に通す二乃。
第43話 七つのさよなら⑤
二乃によって、無理矢理風呂に入れられる風太郎。
風呂のドア越しに二乃と会話する風太郎は、
「サシでならスムーズに話せる。まだこいつのことを理解できていないのかも」
そして本題に。
「ねぇ、何があったの?」
びしょ濡れで現れて、何かがあったのは明白ですが、「何もねーよ」という風太郎に対し、
「嘘!あんたが落ち込んでるの、初めて見たわ」
改めて問い質す二乃。
五年前に出逢った少女の事、その少女と再会したこと、その子が自分の前から去ったことのあらましを話します。
気が付くと、ポロポロ大粒の涙を流す二乃。
ツンデレ素養強いけど、やっぱ根は良い子です、二乃。
実は風太郎の作った「問題集」に、真面目に取り組んでいた二乃。
破ったページも、テープで張り合わせています。
「一応は悪いとは思ってるわよ。ごめん」
その調子で五月にも謝ろう、と促すも
「それはいや、叩かれたこと根に持ってる。昔はあんなこと、する子じゃなかった。まるで知らない子になったみたい…」
二乃は、本音を語り始めます。
「昔は皆が同じ性格で、全員の思考が共有されているようで、居心地が良かった。でも、五年前から変わった。
まるで、五つ子から巣立っていくように。私だけがあの頃を忘れられないまま、髪の長ささえ変えられない。私も巣立たなきゃならない、置いていかれないように」
これが風太郎が汲み取れなかった、二乃の想いだったのです。
巣立つためのケジメとして、「キンタロー」に会わせてくれと頼む二乃。
第44話 七つのさよなら⑥
キンタロー(もちろんキンタローに扮した風太郎)が二乃の部屋を訪れます。
二乃は得意の料理(お菓子作り)で、キンタローをもてなそうと、シュークリームを作ります。
合間合間に
「キンタロー君、超優しいんだけど!」「『二乃』って呼び捨てされたんだけど!」
逐一、風太郎に電話で報告する、可愛い二乃…。
シュークリームを作り過ぎた二人に、「姉妹も呼んでみんなで食べようぜ」とキンタロー。
「キンタロー君さえいればいいから」
「素直な可愛らしい」二乃の、告白に近い言葉。
それを遮り、「自分は風太郎だ」と明かそうとするも…更にそれを遮り、風太郎に電話する二乃。
ホテルのカフェに風太郎を呼び出し、
「今日は会わせてくれて、ありがとう」
手を差し出し、握手をするかと思いきや…腕をまくられ「キンタロー」のミサンガを見られ、風太郎の変装であったことがバレます。
もともと「風太郎=キンタロー」と確信があった二乃。
「今度こそ許さない」
と怒り心頭。
風太郎の飲んだコーヒーには、前回同様睡眠薬が…。
風太郎が寝ている間に、ホテルをチェックアウトし、再び行方をくらました二乃…。
第45話 七つのさよなら⑦
二乃の居場所が分からず、「信じて待つ」ことしかできない風太郎。
次は「もう一人の問題児」、四葉の所へ。
四葉の方は、強引な陸上部の部長に引っ張られる感じで、練習に参加していました。
「大切な大会の前なのに、試験なんて気にしてられないよ」
試験より大会、そういう考えの部長さんです。
それでも「両方頑張りますから」という四葉。
が、部長さんの方は、試験直前だというのに「合宿をやろう」と言い出します。
半ば強引に「はい」と言わされる、「断れない女子」四葉。
四葉が悩んでいるのに気づいた一花が、
「お姉ちゃんを頼ってくれないかな」
と四葉の本音を聞こうとすると、
「私、部活辞めちゃダメかな…」
やはり、本心では辞めたがっていた四葉。
この会話、一花が風太郎と、電話を通話状態にしていました。
話を聞いた風太郎は、四葉を助けに向かいます。
一方、二乃のいるホテルを探し出し、得意の変装で二乃の部屋に入り込む三玖…。
第46話 七つのさよなら⑧
二乃を迎えに来た三玖に対し、風太郎への怒りを隠さない二乃。
「変装して私を騙していた」
と主張しますが、
「それは私たちが、いつもやっていること」
と、反応の薄い三玖。
変装がバレる前に「試験とか関係なしに、五人一緒に居て欲しい」と言われた話をする二乃。
本当は誰よりも姉妹皆のことが好きなのに、皆が変わっていって、自分だけが取り残されるという焦燥感から、
「居るだけででストレスが溜まるわ。昔と違って好き嫌いも変わっていって、すれ違いも増えたわ。バラバラの私たちが、そこまでして一緒に居なきゃいけない?一緒にいる意味って何よ?」
矢継ぎ早に不満をぶちまけます。
「家族だから。だけじゃ変?」
三玖の言い分は、「二乃も変わっていってる」と。
二乃が飲んでる紅茶も、二乃が居なければ知らなかった味。
自分が戦国武将好きなことも。
それぞれの個性が20点ずつ、それが集まって、初めて「100点」になる。みんな昔と同じままじゃ、いつまで経っても「20点」のままだと。
三玖の説得を受け、
「過去は忘れて今を受け入れるべき、いい加減覚悟を決めるべきなのかもね」
そう言って、切れ味のよさそうなハサミを持ち出す二乃……何するの??
第47話 七つのさよなら⑨
四葉に部活を辞めさせたいが、自分からは辞めると言い出せない。
風太郎の策は、合宿に向かう部員から四葉を離し、五月と入れ替わり、代わりに「辞めます」という入れ替わり作戦です。
が、髪の長さが違い、速攻でバレます。
「中野さんは五つ子って聞いたよ。あなたは姉妹の誰かなの?なんでこんなことを?」
陸上部の部長に問い詰められる五月を見かねて、自分が出て行こうとする四葉。
「みなさん、ご迷惑をおかけしました」
と現れた…四葉(?)
冗談だったんだね、と安堵する陸上部部長ですが、
「まぁ、私が辞めたいのは本当ですけど」
続けざまに
「調子の良いこと言って、私のこと全然考えてくれないじゃないですか。そもそも前日に合宿を決めるなんて、ありえません。……マジありえないから」
四葉と思えない凄みですが…もちろん四葉ではありません。
「五年前」と、そして「キンタロー」と決別するため、自分で髪を切った二乃が、四葉に変装していたのです。
激しいケンカの後に再会した二乃と五月。
謝ろうとする五月に、
「あんたは間違ってない。悪いのは私。ごめん。あんたが間違ってるとすれば…力加減だけだわ。すごく痛かった。」
めでたしめでたし…。
第48話 七つのさよなら⑩
紆余曲折ありながらも、再び五つ子が戻ってきた中野家。
期末試験に向け、勉強を始めます。
「紆余曲折」の間にも、風太郎作の「問題集」は全員終わらせていました。
残りは土日の二日間のみ…。
時間が足りない中、風太郎の用意した「秘策」は、「カンニングペーパー」でした。
「さすがにそれは…」と躊躇する五人に、
「こんなもの使わなくてもいいように、最後の二日間でみっちり叩き込む!覚悟しろ!」
今まで一番の難敵だった二乃も、素直に
「やるわよ、よろしく」
と。
五人が仲良く勉強する姿を見て、風太郎は「ある決意」を。
試験直前、五つ子の父親に「家庭教師の退任」を直訴したのです。
ただ勉強を教えるだけじゃダメだった、五人の気持ちを考えてやれる家庭教師の方がいい、自分にはそれができなかった、と。
そして、五人のことを他人に任せっきりの「父親」に対し、
「少しは父親らしいことしろよ!馬鹿野郎が!」
去り際に言いたいことを言った風太郎…。
第49話 七つのさよなら⑪
期末試験の結果は、
一花:赤点二つ
二乃:赤点三つ
三玖:赤点一つ
四葉:赤点三つ
五月:赤点二つ
散々な結果に、風太郎に怒られることを覚悟し、それでも再び風太郎に勉強を教わることが、楽しそうな五つ子でしたが…。
家庭教師の日、時間に現れたのは風太郎ではなく、父親の運転手の「江端さん」。
そこで「風太郎が家庭教師を辞めたこと」「風太郎が中野家に入ることを、父親が禁止した」と聞かされます。
一様にショックを受ける五人は、風太郎に直接真意を尋ねるべく、風太郎に会いに行こうとしますが、臨時とはいえ父親から家庭教師を任された江端さん、自分が作った問題が解けるまでは外に出しません、と。
ここを通りたくば、この私を倒してから行きなさい、的なアレですね。
それでも、優しい江端さんが「手心」を加えてくれた問題に、風太郎の家庭教師の成果で、次々問題を解き進める五人ですが…。
最後の一問が解けません。
期末試験前に風太郎にもらったカンニングペーパー、一番真面目な五月が
「有事です、なりふり構ってられません」
五つ子それぞれのカンペに書かれていたのは…
「安易に答えを得ようとは愚か者め」
「カンニングする生徒になんて教えられるか」
「これからは自分の手で掴み取れ」
「やっと地獄の激務から解放されてせいせいするぜ」
「だが、そこそこ楽しい地獄だった、じゃあな」
改めて、風太郎の存在の大きさを感じた五人。
長女・一花が、「ある提案」を持ち掛けます……。
第50話 七つのさよなら⑫
五つ子の家庭教師を辞め、ケーキ屋でクリスマスケーキを売る風太郎のもとに、五つ子がケーキを買いに来ます。
「家まで届けて」というワガママな注文に、ケーキ屋の店長が気を利かせて乗ってあげます。
新しい家庭教師が決まったと、風太郎に知らせると、「良かったじゃないか」と。
「それでいいの?」と突っかかる二乃。
「あんたはずっと身勝手だったわ。そのせいでしたくもない勉強させられて、必死に暗記して公式覚えて、でも問題解けたら嬉しくなっちゃって。
ここまでこれたのは全部あんたのせい。
最後まで身勝手でいなさいよ。謙虚なあんたなんて、気持ち悪いわ。」
風太郎をずっと嫌っていた二乃までが、風太郎に家庭教師を続けてもらうことを望んでいます。
それでも、風太郎が中野家に入ることは、五つ子の父親から禁じられています。
そこで…前話で一花が出した「ある提案」というのが、「マンションを出てアパートを借りること」
超高級マンション暮らしを捨て、二階建ての木造アパート暮らしを選んだのです。
「どこにいるかじゃないんです。大切なのは、五人でいることなんです!」
マンションのカードキーを、川に投げ込む四葉。
驚きの余り、足を滑らせて川に落ちる風太郎。
と、五人ともが風太郎を助けに、川に飛び込みます。
「これだから馬鹿は困る。なんだか…お前らに配慮するのも、馬鹿らしくなってきた。俺もやりたいようにやらせてもらう。俺の身勝手に付き合えよ、最後までな」
風太郎、家庭教師に復活です。
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