「ひき逃げ事件」捜査のため、コンビニなどで防犯カメラの映像を借り、署に戻って映像確認する豊田さんと松田さん。
映像チェックの途中で、ウトウトしてしまう松田さんを、豊田さんは厳しく咎めます。
「顔、洗ってこい!」
立ち上がった松田さんは、そのまま後ろ向きに倒れてしまいます。
机の角に後頭部をぶつけた松田さん。
上司の警官は、松田さんを病院に連れていくよう、豊田さんに指示します。
松田さんの診察を待つ間、上司に電話する豊田さん。
どうやら、前話に出てきた「交通死亡事故」以降、ほとんど寝れていなかったという松田さん。
およそ一か月、不眠が続いていたことになります。
「知っとるか?あいつ同期三人辞めとるんじゃ」
松田さんは少し休ませる必要があり、ますます人が足りなくなる、と嘆く上司。
「足らんのは人やない、努力じゃ」


「努力」「根性」という精神論で育てられた世代(私もそうですが)にとっては、割と普通に出てきそうな言葉ですが…。
「今はそういう時代じゃない」
そういう研修をたくさん受けされられ、私も少しは考えが変わってきたのか…豊田さんの言葉には、違和感を感じますね。
病院の小児病棟を訪れる豊田さん。
「ひき逃げ」に遭った、三歳の子供を見舞います。
本人は依然、意識が戻らず、付き添いの母親は疲れ果てたのか、子供の隣で眠っています。
『必ず捕まえて、謝らせるけんな。待っとってな』
ひき逃げ事件の聞き込みを進める豊田さんに、電話が入ります。
「お前の息子、飲酒運転と当て逃げで取調べ中だ」
すぐさま署に戻った豊田さん。
取調室から出てきた長男・翼さんに詰め寄ります。
「この……馬鹿がっ!夜中に出歩いて、何しよるかと思うたら!今まで何回やった!?」
「三回……くらい……」
続けざまに、
「一昨日の午後七時頃はどこにおった?」
その時間は、豊田さんが駆けつけた、「ひき逃げ事件」の時刻です。
まさか自分の息子が…と、疑って聞いたのです。
取調べを担当した警官が、車の色も違うし、友達の車でもないことを確認している、とフォローします。
「あの…このくらいで実名報道されんよね…?」
「全国には報道されんでも、地方ではされるじゃろうな」
「そんな…俺…大学受験あるのに…。どうすればいい?助けてよ、父さん!警察の力で何とか…」
翼さんを引っ叩いた豊田さん。
そのまま立ち去り、奥さんに電話します。
当たり前のことですが、動揺する奥さん。
「…お、お父さんはどうなるの?子供が飲酒運転なんて…警部補試験は受けられるの?」
「アホ、そんなこと考えられるか!」
おそらく奥さんに電話した時には、豊田さんの中で決心していたのでしょう。
「課長、辞めさせていただきます」

死亡事故を起こした訳でもないのだからと、慰留する課長に対し、
「交通課の息子が飲酒運転など、絶対許されません。親として責任取らせてください」
「ですが、ひき逃げ事件だけは、警察官として最後まで責任持って、追わせてください」
退職の件は課長預かりとなり、犯人検挙に向かう豊田さん……。

「他人に厳しい」豊田さんですが、「自分にはもっと厳しい」ようですね…。
上司に慰留されたら、「お言葉に甘えて…」となりそうなものですが、豊田さんにその意思はなさそうです。
が、「ひき逃げ事件」だけは解決したい、と。
さて、この登場人物の「どなたが亡くなるのか」という所が注目ポイントですね。
「ひき逃げ」に遭った、意識不明の三歳児か、机の角に後頭部を強打した、豊田さんの部下・松田さんか…。
亡くなった方が「死役所」を訪れた後の展開を考えると、「ひき逃げ犯本人が自害」という線も、無くはないかと。
「怖くなって逃げだした」ものの、罪の意識に耐えられず、自害。
死役所を訪れ、シ村さんに皮肉を言われ、松シゲさんに宥められる…的な?
豊田さんは「ひき逃げ事件」を解決できず、時効と同時に退職……とか。
豊田さん報われない展開ですがね。
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