この記事は「キングダム 第638話 水路」をご紹介するもので、ネタバレを含みます。
失敗
楊端和軍が占拠する、橑陽城。
壁の失態(兵糧を焼かれてしまった)をものともせず、「山の民」の力を見せつけ、占拠している趙の城・橑陽にも、鄴の様子が伝わってきます。
「王翦軍と桓騎軍が、鄴に入城した」と。
吉報と同時に、不穏な情報も知らされます。
「しかし、鄴には食糧がない」
今まさに、王翦軍・桓騎軍が置かれている状況ですね。
鄴が大変なことになっているなら、ここ橑陽から兵糧を送らねば、と提案する壁を、楊端和が止めます。
橑陽-鄴間は、趙軍が幾重にも構え、道を遮断している。
兵糧を抱えたまま、鄴に辿り着くことは不可能だ、と。
楊端和は続けます。
鄴を助けるには、「秦本国から」食料を送るしかない。
秦本国からの食糧輸送となると、自分たちが一度抜いた「列尾」を、再び抜く必要がある。
趙軍もそこは考え、軍が強化され、列尾を抜くのは難しい、という壁の反論に、
「鄴に兵糧を運ぶには、『水路』しかない!」

と答える楊端和。

さすが「山の王」ですね、楊端和。
奇麗なだけじゃなく、ちゃんと王翦や李牧と同じところまで、考えが至っています。
が---、囮として、列尾を突破しようという「フリ」をしていた介億。
早々に列尾を離れ、「水路」である黄河の様子を見に行くと…。
そこで見たものは、黄河の突破に失敗し、ボロボロになって引き返していく、補給船団の生き残りでした。
列尾を突破しようとする補給部隊は囮と知り、李牧の指示通り、黄河を渡る「本命」の補給船団を撃退した舜水樹。
「此度の秦国の目論み……鄴の攻略が失敗に終わったということだ!!」
勝利を確信します。
水路
鄴城内。
朱海平原での十五日に渡る激戦。
後半は兵糧もわずかしかなく、敵と共に、空腹とも戦い続けていた兵。
朱海平原の勝利も束の間、敗走する李牧を「十の二」で追うため、軍馬を食糧に変えて、何とか生き永らえてきた兵たちも、そろそろ限界です。
松左や去亥ら、たくさんの犠牲を払って得た勝利。
それが、最後に飢え死にとは…あまりにも悲し過ぎます。
松左に命を救ってもらった、飛信隊の新入り・干斗も、
『 松左さん…スンマセン…おれたち、もうここまでみたいっス……スンマセン』
王都・邯鄲に「連行」される途中の李牧。
あることに気付きます。
「と、止めてください!!」
李牧にしては、珍しいくらいの取り乱しよう。
「今すぐ鄴に戻ってください!!できなければ…カイネたちの元へ…伝令を!!」
李牧が気付いたその「策」こそ、鄴攻めの出発直前、王翦が傍にいた介億、昌文君を下がらせてまで、「昌平君のみ」に託した、「極秘の策」だったのです。
飢えも極限に近づいた、鄴城内。
そこへ、四方の城門が開きます。
見ると、「たくさんの食糧」。
誰一人、事態が呑み込めません。
鄴を監視していたカイネも、何が起こったのか、分かりません。
兵糧を運んできた兵の掲げる旗……「斉」の旗。

つまり、「秦国」とは真逆の「斉国」から、「倍額」で食糧を購入、黄河の「逆側」から、鄴に向かって運んだのでした…。
前の記事: 637話「鄴の命」
次の記事: 639話「吉報」
コメント