コエムシ編①
ウシロの戦闘が終わり、戦い、死んでいったみんなが守りたかった地球の戦闘も、終わりです……というわけにはいかず、「次の地球」への引継ぎをしなければなりません。
ココペリがやってくれたやつですね。
「次の地球」の最初の戦闘は、「前の地球」のパイロットがチュートリアル的に行うわけです。
こう闘うんだ、そして最後は相手ロボットから急所を取り出し、それを破壊するんだ、と。
ちなみに、引継ぎ戦、チュートリアルで負けると、「前の地球」つまりウシロたちが戦ってきた地球は「ポン」です。
なので、厳密には「引継ぎ戦」が最終戦ですね。
すでにパイロット契約者がいない状態のジアース。
コックピットには、コエムシ……ですが、何やら見慣れた髪型…。
佐々見さんです。
「次の地球」でのコエムシ役を、佐々見さんが行うようです。
そして、引継ぎ戦のパイロットは、「元コエムシ」。
マチの兄であり、元コエムシの少年が、コエムシ役を解かれ、人間の姿に戻っていました。
そして、引継ぎ戦のパイロットを買って出たのです。
やはりマチの兄ですね。
どこか面影があります。
そして、額から左頬に渡っては、大きな向こう傷が。
マチや元コエムシの地球では、パイロット(正確には、戦うことが確定しているパイロットと、そうでなく「余計に」契約されたパイロット)同士での争いがあったそうですから、その争いに巻き込まれた際の傷かも知れませんね。
ココペリの頬にも、そういう傷ありました。
新コエムシの佐々見さんが、一つ質問します。
「引継ぎ戦で君が負け、私の地球が無くなった場合、私はどうなるのかね?」
「あーーー、すまねぇ。俺は知らねえ。
戦闘が終わって、コエムシ役が解かれた時どうなるかは、おれには伝わってきてねぇんだ。
心配すんな、俺は普通の倍、戦闘を見てきてんだ。
負けねぇよ。」
説得力ありますね。
自分たちの地球と、ウシロたちが戦った地球、勝ち抜いた2つの地球の戦いを、ずっと見てきたわけですから。
「んじゃとっとと、契約するか。」
元コエムシが、ジアースと契約します。
皆の戦い、マチの死、ウシロの戦いを通じて、確実に考え方が変わった元コエムシ。
自分の地球のためでなく、自分が勝たせた地球のために、最終戦のパイロットとして、契約します。
もちろん、最終戦のパイロットも、戦闘の後は「死」が約束されています。
国防軍にもパイロットを志願する者がいると、佐々見さんが告げますが、元コエムシは断ります。
「洋子の償いとやらを肩代わりできるのは、俺しかいねーだろ。
俺だって怖くないわけじゃないんだぜ。
ゴチャゴチャ言うんじゃねえ。」
契約してすぐ、次の地球に移動します。
「もうちょっと余韻が欲しいよな。
こんなとんでもねーことなのに、感慨も何もあったもんじゃねー。」
「11人…11人って言われたが。」
「じゃあ、ここのやつらはちょっとだけ運がいいぜ。」
ウシロたちの地球では、13戦(引継ぎ戦を入れると14戦)しています。
それに比べれば、少し少なめですね。
「私は君を、何て呼べばいいのかね?」
「今さら本当の名前なんてどうでもいいだろ、コエムシでいいぜ」
最終的に「元コエムシ」は、名前が明らかにされませんでした…。
自分がコエムシになったのに、チュートリアルのパイロットが同じ名前では、混同すると、元コエムシに言ったところ、
「仕方がねーなーーー、じゃあ俺がココペリで、てめーがコエムシだ。
これでいいだろ?コエムシ。」
「様、をつけてもらいたいところだがね。」
佐々見さんと元コエムシの初対面時、
「君がコエムシ君か。」
「君とかつけんな。」
「じゃあコエムシ。」
「コエムシ様だよ。大人の癖に礼儀がねー。」
というやり取りがありました。
佐々見さん、何気に根に持ってたんですね。
11人の少年少女と契約を済ませ、その初戦=チュートリアル戦。
元コエムシである新ココペリと、新コエムシ(佐々見さん)は、契約者をコックピットに案内します。
そして、前のココペリが説明しなかった、重大な話を、はじめに説明します。
「重要なことを言っとくのを忘れてたから言うが、これはゲームなんかじゃねぇ。
全長500メートルのロボットを使っての、殺し合いだ。
街も壊れるし、人も死ぬ。
当たり前の話だがよ。
てめーらには一戦ずつ順番に、パイロットをやってもらう。
申し訳ねぇが、一回パイロットをやったやつは、戦闘後必ず死ぬ。
復活の呪文も教会もねぇ。
でも、敵を倒せるのはてめーらだけだ。
気合入れて行けよ。」
少年少女はもちろん、元コエムシが言ったある一点が気になります。
「必ず死ぬ」
「ああ、最初に謝らなかったっけ?
すまねぇって。
てめーらは全員、まもなく死ぬ。
ま、そんな顔するな。
と言っても無理か。
てめーらは命と引き換えに、絶大な力を自由にできて、仲間を救えるんだ。
うれしいだろ?」
「じゃ…じゃあ、あんたは?」
「ああ、死ぬよ。この戦闘が終わったらな。
まぁ、見てな。
戦えるんだよ。
てめーらにも間もなくわかる。」
宙に浮く、これまでのパイロットたちのイスを見上げる、元コエムシ。
『これじゃ宇白みてーじゃねーか。
洋子の野郎の勝ち誇った顔がちらつくぜ、くそ。』
珍しく、こんな時だからこそ、感傷に浸る元コエムシ。
「どうしたかね?」
「いろいろな、思い出してたんだよ。
似合わねー、とか思ってんじゃねーぞ。」
「いや。」
立場が入れ替わってからの、この佐々見さんとコエムシのやり取り、好きです。
相手ロボットが現れ、まもなく戦闘開始です。
「もう一つ、似合わねーことやってもいいか?」
「なんだね?私に許可を求める必要も、ないだろう?」
「男の子の夢、ってやつだからよ。」
これも佐々見さんとコエムシの、初対面直後の話ですね。
ジアースを調べさせてもらえることになった、国防省。
その際、ジアースを見上げて、佐々見さんがつぶやいていたのです。
「男の子の夢…だよなぁ。」
それを引っ張り出して、「コエムシ様」の反撃です。
少しはにかみながら、
「ジアース、発進。」
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