ウシロ(宇白 順・うしろ じゅん)編④
「暴力」を振るう覚悟をしたウシロ。
相手ロボットとの近接戦闘を繰り広げます。
ジアースが押す展開に、高揚する佐々見さん。
「てめーの時にこんなドツキアイの戦闘なんてな。」
コエムシは冷静に分析したうえで、不信感を抱きます。
『しかし今ひとつ煮え切らねーな、なんだ?』
その後も相手を圧倒し、「勝負あり」の状態になったジアース。
相手ロボットのコックピットを取り出します。
もう、これを潰せば終わり。
同時に、ウシロの命も、相手の地球も終わりです。
そんな状況でジアースのコックピットに転送してきたのは、相手ロボットの「コエムシ」。
ウシロを見るなり、
「ああ、あなたでしたか。」
自分の顔を見て「あなたでしたか。」
相手ロボットのコックピットには、自分の知っている人が乗っている?
マチのような「別の並行世界の同一人物」という状況が?
もしそうならば…。
「やめろ。」
コエムシはウシロの考えを読んだうえで、止めようとします。
が、ジアースの手に持った相手ロボットのコックピットを、地上に置くウシロ。
「ワナだ。何をたくらんでるのかわかんねーが、やめろ。
オレが見てきてやる。」
コエムシの説得にもかかわらず、そのコックピットを開き始めるウシロ。
「オレを信用しやがれ!!」
とうとう、開いてしまった、相手ロボットのコックピット。
中には3人。
パイロットは女性。
頬はこけ、頭は包帯でぐるぐる巻き。
その包帯は、右目にも巻かれています。
明らかに「ただ事ではない」状態。
「激しい暴行を受けた後」のような。
その女性がニヤッ、と笑ったかと思うと、コックピットから消え去ります。
他の2人のパイロットも、相手ロボットの「コエムシ」も。
相手ロボットのコックピットには、誰もいなくなりました。
呆気にとられるウシロ、佐々見さんと多手さん。
「負けた側のパイロットが戦闘放棄なんて、できるのかね?」
「そんなことできるわけねーだろ!?」
「おれが……?」
「そうだよ!てめーだよ!
てめーが穴を開けたからだ!!
本来負けてる側はコックピットから出られねーんだよ、拘束状態になるんだ!!
それをてめーが解放しちまったんだ!!
コックピットの中と、外の空間をつないじまって!!」
コエムシの言う通り、相手の「ワナ」だったようです。
しかし、逃げたからといって、相手に勝機が生まれるわけではありませんが…。
「この戦闘はどうなるのかね?」
「今までと同じだ。
相手のパイロットを殺すまでは、終わりにならねー。
もしくは、48時間経過して、両方負けか。」
コックピットの外に出たことが、「ワナ」であることは間違いないものの、「勝つための手段」ではなさそうですね。
アウェイの地球で、たった一人のパイロットを探し出さなければ、負け。
「そんなことは無理だ。
小茂田の時だって、運に助けられたようなもんだろ。」
そうでした。
コモの時は、逆の立場でした。
自分たちの地球で、もう少しで殺されるところだったコモ。
が、相手のパイロットが逃走。
コモのピアノ発表会に現れてくれたおかげで、何とか勝てましたが…。
「そうだ、魂の光とやらで見つけられないのかね?
相手を見ただろう。」
カンジの戦闘時、関さんの魂の光を目がけて、レーザー照射しましたが…。
「い…一瞬だったから…
人のいるところは分かるけど…相手がどれかなんて…」
一瞬相手を見ただけでは、その魂の光を探すことはできないようです。
関さんの時は、よく知った人だから、その光を探すことができたんですね。
相手のパイロットの「一瞬」見た表情を思い出すウシロ。
「あ…相手は…勝つつもりでも、こっちを道連れにするつもりでもありません。
あるんです。この状況で、あの敵のパイロットを確実に殺す方法が1つだけ。」
「てめーは、頭がまわるのが不幸だな。」
コエムシにはその方法が分かったようです。
佐々見さん、多手さん、往住明も気づいていない様子。
「こ…この地球の人間を、全て殺せばいいんです。」
最終的には、相手の宇宙ごと「ポン」と消すわけですが、その過程があまりにも違います。
勝ちたい、勝たなければ自分たちの地球の存続はない。
しかし、その方法に賛成できず、
「他の方法があるはずだ、他の方法を考えよう。」
佐々見さんは、ウシロの案には異を唱えます。
「ねえよ、ねえと思う。
もし勝ちたけりゃ、やるしかねえ。
この地球の人間全部を、殺す必要はねえ。
相手のパイロットを引き当てるまで、殺すだけでいい。
なるべく早く、相手のパイロットを殺せることを祈っててやる。」
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