【この記事には「死役所 第76条 『ニンジン』のネタバレを含みます】
特養ホーム「ペチュニア」。
朝、介護士さんが入居者の方々を、起こして回ります。
「今日いい天気ですよ。城戸さん?城戸さーん。」

今回の「お客様」は、この城戸さんなのでしょうか…。
死役所。
倉庫で鉢合わせた、ハヤシくんとハシ本くん。
「イシ間さん、天国に行けたんすかね。
イシ間さん覚えてます?『他殺課』にいた頭ツルツルの。」
「うん」とも「ハイ」とも声は出さず、頷いて意思表示するハシ本くん。



相変わらず口数の少ないハシ本くん。
でも、キレると暴れだしますからね。
死役所に来てすぐの頃、フシ見さんの注意に耐えかね、暴れたことがありました。カッターでフシ見さんに切りかかるも、逆に喉をスッパリ切られましたからね…。シラ神さんに(大分雑ですが)傷を縫ってもらったハシ本くん。
「イシ間さんいい人だったから、そろそろ天国に行けてるかなって。」
「行けてる訳がないだろう。」
不機嫌そうに話に入ってきたのは、加賀シロさん。
イシ間さんが成仏した後、
「あの男はいちいち客に同情して、鬱陶しかった」
と言っていた、あまり温かみの無い職員ですね。
「人柄の良さという曖昧なものが、生前の悪行を凌駕して、天国行きの基準になるとは、考えにくいのでは…」
ハシ本くんも加賀シロさんに同調します。
「そもそも天国と地獄の存在、そのものが曖昧だ。」
畳みかける加賀シロさん。
「確かに実際に、見たことはないすけど…」



「死役所」の世界では、「成仏の扉」の向こうは天国 or 地獄 で決まっているものかと思ってましたが…。
死役所職員も、はっきりしたところを知らないんですね。
「扉の先のことは分からん。」
吐き捨てるように去っていった、加賀シロさん。
ハヤシくん的には、扉の向こうは天国 or 地獄であり、地獄に行ったとしても苦行を積むことで、天国に行ける、と信じていたので…何を信じればいいのか…。
そこに入ってきたのが、件の「城戸さん」。
やはり、特養でお亡くなりになってたんですね。
ハシ本くんを見るなり、
「それ、かっこういいな」
と。


首を真一文字に切られたのを、フランケンシュタインばりに縫われた傷です。
フシ見さんに切られた時のことを思い出し、気分が沈んでいくハシ本くん。
一方、
「バッテンがいいすよね、バッテンが!」
呑気に乗ってくるハヤシくん。
「お客様、行きましょうか。」
シ村さんに促され、倉庫を後にする城戸さん。
「今のおじいちゃん、頭に傷がありましたよね。見ました?」
ブンブンと、首を横に振るハシ本くん。


ハヤシくん、天然で何も考えてなさそうなんですが、何気に細かい観察眼してますね。
「自然な怪我じゃない感じ、虐待かも。」
「それは短絡的では…」
「そうすかね?つい…。
もしそうだったら嫌だなって、悪い方にばっかり考えがいっちゃうんすよね。」
『この人は…表面的に見たら、いわゆる「いい人」だ、と思う。
でも、3人を殺した元死刑囚。
理由は、「裏切られたこと
への報復。
そして、反省したい、と考えているけど、
今生きていたら「相手には不幸になってほしい」と思ってる。
目標と感情が、全く噛み合っていない…』
ハシ本くんなりに、ハヤシくん分析したうえで、
『不思議な人だ…』
とその場を去るハシ本くん。


口数は少ないし、表情の変化もない子ですけど、ちゃんと「自分の考え」持ってる子ですよね、ハシ本くん。
第8巻「母」の時も、胎児に意志はないというシン宮さんに対し、「胎内記憶があるから、意志がないとも限らないのでは…」と、返してましたし。
ハシ本くんを追いながら、
『そういや、他になかったっけ?
地獄から天国に行く方法…』
何かを思い出したハヤシくん。
心臓病死課の前を通りがかると、城戸さんが手続きの最中でした。
「あっ、病死だったんすね。
頭に傷があるから、もしかして殺されたのかな、って。」



ハヤシくん…素直な良い子なんですが…「言葉を選ぶ」ということを知らないんですね…。
シュンとした様子の城戸さん。
「変か?これ、変か?」


傷を気にする城戸さんに、
「いえ、全く変ではありませんよ。」
とフォローするシ村さん。
手続きに必要な死亡時刻が分からない、という城戸さん。
「俺、調べますよ」
ハヤシくんが、城戸さんの生前の情報を調べます…。


続きは明日…。
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