ウシロ(宇白 順・うしろ じゅん)編③
最後の戦闘に向け、ジアースのコックピットに転送されたウシロ。
コックピット内には、国防の佐々見さん、多手さんが待っていました。
「もう1人呼ぶぜ。」
コエムシが転送したのは、往住明。
公園から自宅に戻った後、ウシロが電話をかけた相手は、往住明でした。
自分の戦闘の記録を、依頼していたのです。
依頼が急過ぎて、カメラマンは手配できず、往住明自身がカメラを回します。
「生きてる人たちに、どうして今生きているのかを、示したいんです。
アンコの…徃住さんの時の映像もあるけど、場所が演習場で、日常と関係ないフィクションのように見えるから。
役に立つかは分からないけど、何か少しでも多く残っている方が、いいと思うんです。
いつか、全てを発表できるときのために。」
映像の記録は、佐々見さんも快諾します。
アンコの時の「パイロットはアンコ、コモ、カタリくんの3人」という発表とは矛盾しますが、「本当のこと」を発表できるとき、この映像は非常に貴重なものになるでしょうね。
信じる人、信じない人が出そうですが…。
カンジにもらったジャケットを着て、戦闘待機。
場所はアウェイ。市街地です。
現地軍が展開しており、戦域を把握しているはずなのに、市街地戦。
戦闘に慣れていないのかと思いきや、相手ロボットの顔のスリットは11に対し、光は3。
8戦、それなりに戦いをこなしているようです。
避難の間は攻撃を仕掛けてこないだろうからと、敵の出方を見るウシロ。
しかし予想に反して、敵ロボットは動き出します。
接近戦で殴られ、地面に叩きつけるジアース。
まだ避難は完了していないはずなのに…どうやら、街の人間のことを気にしていない様子。
マウントを取られたジアースは、敵の攻撃を受け続けます。
「どうして反撃しない?」
佐々見さんの問いかけに、ウシロは答えられません。
「てめえ、殴れねえのか?」
カナ相手には「よく眠れる」という理由で、ホットミルクを飲むように暴力を振るっていたウシロですが…。
カナと血が繋がっていないと知った後は、カナに対しても暴力が振るえなくなりましたからね。
「ほとほと極端なヤツだな。
ありゃただのぬいぐるみだ。痛みは感じねえだろ。
敵のパイロットだけは、物理的に殺さなくちゃなんねーが、それも一瞬だ。
可奈だってやったんだぜ。」
コエムシの言葉に、勇気を出して反撃を開始するウシロ。
ですが、一撃殴っただけで、吐き気を催します。
「生憎、何故だか敵の野郎は、住民の被害に頓着してねえ。
もし、苦しむ人間をなるべく減らしたいなら、とっとと片付けるしかねえだろ。」
「わかってるさ。やるしかないだろ。」
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