「ぼくらの」あらすじ紹介【ネタバレを含みます】(15.マチ④~遺された人3~)

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マチ(町 洋子・まち ようこ)編④

マキの家の次に、ウシロとマチが向かったのは、ダイチの家。

ダイチの家は、失踪していた父親が帰ってきていました。

子供たちの住む場所に、怪獣が被害をもたらした。

だから帰ってきたと。

失踪中のことは、本人からは語られませんでしたが、佐々見さんによると親友の金銭トラブルを助けるべく、中国に出稼ぎに行っていたと。

ダイチの父親には本当のことが伝えられましたが、弟妹達には伝えられていませんでした。

ダイチがどうなったのかを。

一家の「お母さん」代わりの双葉は、ダイチが戻ってくることを信じています。

「おとーちゃん、ずっとここにいようね。

にーちゃんの帰ってくる場所は、ここだから。

だって、おとーちゃんは帰ってきた。

にーちゃんが、にーちゃんは、あたしたちをおいていったりしない。


次に訪れたのは、ナカマの家。

ナカマの戦闘では、罹災死者はなく、怪我人が1人だけでした。

その1人がナカマの母、美子さん。

娘を探すため、1人街に残り、避難をしておらず、戦闘に巻き込まれて怪我を負いました。

しかしその傷も癒え、体はリハビリを始められる状態なのに、心が追い付いていません。

私があの子をあんな所に行かせなければ…

自然学校に行かせたことを、後悔し、自分を責める美子さん。

ナカマが自然学校に行くきっかけは、美子さんでした。

『あなたは「良い子」であろうとし過ぎて心配』『友達つくってらっしゃい』

そういってナカマに渡したのが、自然学校の案内でした。


病室に入り、

「あたし達、自然学校で出会った、半井さんの友達です。」

と告げると、過敏に反応する美子さん。


美子さんに、ナカマが遺してくれたユニフォームを見せます。

「あの子は…自分が死ぬことを分かってて…これを?」

「この服が、あたしたちを繋いでくれました。

今この世界があるのは、この服のおかげです。

半井さんが守りたかった世界です。」

「自然学校が始まったとき、ぼくらは打ち解けやすいように、あだ名というか呼び名を決めたんです。

それは、それまでの学校での呼び名だったり、いろいろなんですが、ぼくらは半井さんのことを『ナカマ』と呼んでいました。」


旦那
旦那

半井 摩子(なからい まこ)を略したナカマであり、仲間=ナカマ。



ユニフォームを抱きしめ泣く、美子さん。

次はモジの家です。

モジの両親は、キリエ同様、「いかにも」モジくんを思い起こさせるそんな2人。

真面目で頭のよさそうなお父さんと、美人で優しそうでなお母さん。

佐々見さんと相談した結果、モジの両親には、全ては話さないでおくことにしました。

「モジの心臓」のことです。

モジ本人の願いで、幼馴染で大親友で、恋敵のナギに移植された、モジの心臓。

それを伝えた方が、両親は救われるかもしれません。

けれど、そのことを知ってる人が増えればそれだけ、レシピエントであるナギに伝わる可能性が高くなります。


ただ、コエムシ曰く「あの女は気づいてるぜ」。

モジの幼馴染で、モジの好きだったツバサです。

ツバサは、モジの心臓がナギに移植されたことを悟ったうえで、「ナギとずっと一緒にいる」ことを誓います。

『モジくんもきっと、祝福してくれるから』


ぼくらの ©小学館/鬼頭莫宏




最後はカンジのところ。

カンジの母は沖天楼の建設に際し、構造上問題があることに気づきながら、そこに関わる大きな利害の前に、正しさを貫けなかった自責の念から、沖天楼の落成直後に自死を図っています。

母のことがあった後も、同じ会社で仕事を続けた父。

カンジが最後に願った、「沖天楼の工事には、問題があります。親父に、責任を取らせてやってください」の通り、父親は起訴される直前で、残務整理が忙しい状態。

「宇白くん、寛治のことありがとう。

あの子は母親にそっくりだったな。

あの子は私のことを、恨んでいただろう。」

「はい。」


旦那
旦那

カンジはウシロの、唯一の親友。

ウシロも少なからず、親友が憎んだ父を、憎んでいたでしょう。



カンジの父はククッ、と苦笑した後、

「ああ、そうだ。沖天楼の取り壊しが決定したよ。」


旦那
旦那

カンジは自分の命と引き換えに、「母の仇をとった」ことになるんでしょうか。

気分の晴れない「仇討ち」ですが…。



コモの父(国防海軍一佐の小茂田巴)と、アンコの父(人気キャスターの徃住明)には、すでに会っているため、改めて会う必要はないのですが…。

ウシロが2人に「お願いしたいこと」がある、と。

そしてもう1人、連絡を取ってほしい人が。

ウシロの希望で集まったのは、小茂田巴、徃住明、そしてチズの父・本田千一。

徃住明が、本田千一に対して切り出します。

「立ち入るのは失礼な話かもしれませんが、娘さんにひどいことをした男がいますよね。

どうして法的措置を取られないんですか?

「確かに娘は被害者で、家族である私たちには、その男を裁く権利があります。

でも娘はその男…男たちに復讐しようとしたとき、無関係な人を巻き込むことを良しとしてしまいました。

それでは娘は、その男たちと同じです。

落ち度のない人たちに対する加害者です。

巻き込まれた娘に、娘の人格はありませんが、巻き込んだ娘には、娘の人格がハッキリあります。

そしてその人格の責任の一端は、家族にもありますから。

私は娘にどんな犠牲を強いたのか。」

旦那
旦那

性被害に巻き込まれたチズに、チズの人格はない。

けれども、加害者への復讐のために、無関係な人を巻き込んだチズには、チズの人格がある。

その人格形成には、当然家族も影響している。

チズの行為の原因を、自分たちにも求めているわけですね。

チズの姉・市子の「特別さ」が際立っていましたが、本田千一もやはり「特別」ですね。

まぁ、市子も両親の影響を受けた結果の「特別さ」なのでしょう。



本田千一の答えを聞き、大きめの封筒を差し出す小茂田巴と往住明。

小茂田の方は、コモの最後のピアノ演奏の音源とムービー。

往住は、家にあったアンコのありったけの写真。

この使用権を本田に譲ると。

音楽ソフトと写真集として販売し、その利益を支援組織に寄付する。

今はまだ、コモやアンコの死は発表されていないが「地球を救うために戦った少女」。

最終的には罹災者、罹災孤児を十分支援していけるくらいの売り上げになると。

そしてこれは、ウシロの発案。

感謝する本田に

「礼を言われると困ります。

私たちは何もしていません。子供たちの残したものです。」

ぼくらの ©小学館/鬼頭莫宏


「宇白くんから連絡があって、改めて娘の写真を整理したんです。

そうしたら、それがあまりにも少なくて…

普通の子ならもっとあるんだろうなって。

それも、私の取ったものなんてほとんどないんですよ。

私も同じです。

娘に犠牲を強いてきた一人です…。」

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