カナ(宇白 可奈・うしろ かな)編④
この記事には「ぼくらの」のネタバレを含みます。
9巻表紙がカナちゃんです。
カンジの戦闘で、田中さんが捉えたジアースの弱点。
それは「索敵能力」でした。
目視間でのみ、行われると思われた戦いが、一転全く手の届かない場所に敵が移動する。
そうなった場合の、ジアースの索敵能力の脆弱さを補うべく、戦闘機をコックピット内に持ち込んだのです。
戦闘開始前、戦闘機に田中さんが乗り込み、戦闘開始後に上空に転送。
上空1万メートルでエンジン点火し、飛行に入ります。
現実の戦闘機でそんなことができるのか分かりませんが、非常に器用ですね。
そしてこの田中さんの策が、戦闘開始直後に効果を発揮します。
場所は「敵の」地球。
敵の姿かたちは、コダマの時の敵に似ていますね。
「待ってました」と言わんばかりに、市街地でなく、巨大ロボット同士が戦っても被害のなさそうな土地。
そして、「敵の」地球の軍も展開済みです。
「軍」と言っても、戦闘機が10数機程度ですが。

しかし、この「10数機程度」の戦闘機が、ジアースを危機に誘います。
機体の形からして、無人機と思われる戦闘機。
そこから放たれたのは「煙幕」でした。
辺り一帯を煙が包む「原始的、だけど効果的」な策中、相手ロボットはジアースの破片を使い、ジアースの位置を特定し、物理攻撃を仕掛けてきます。
一方、相手の位置が分からず、困惑するカナ。
まずは「無人機」から堕とそうとするも、カナ曰く「人が乗っている」と。
遡ればチズの戦闘時、自身を弄んだ男たちを探したことがあり、カンジの戦闘時も、がれきの下になった人たちを探した、ジアースの「生命を探索する能力」によって、分かってしまう。
相手ロボットを倒せば、その地球ごと消えてしまう人たちでも、「痛いのはかわいそう!」と戦闘機を攻撃できません。
ウシロからの暴力に、耐え続けてきたカナ。
他人よりも「痛み」を知る分、それを人には感じてほしくない。
そんなカナの優しさが、攻撃を躊躇させます。
88式戦闘機に搭乗する田中さん。
「私が、やります」
佐々見さん曰く「世界一高価な対空ミサイル」である、91式対空誘導弾を使用します。
ジアース側の地球では、「天津条約(てんちんじょうやく)」という決まりごとによって、戦争に無人兵器を使用できません。
田中さんの使用する91式対空誘導弾は、「天津条約くぐり」の自立型無人特攻機。
発射後に戦闘空域を自律飛行し、ミサイルの目と友軍機のレーダーで敵を見つけ、攻撃をかける仕組みです。
ちなみに、「天津条約」(こちらは「てんしんじょうやく」)は世界史でも習う、実際にあった条約名ですね。
1858年、清国と英仏露米間にそれぞれ結ばれた、アロー号事件の事後処理のための諸条約。
1885年4月18日、日清間に結ばれた、甲申政変の事後処理のための条約。
1885年6月9日、清仏間に結ばれた、清仏戦争の講和条約。
上記3つがそれに該当します。
田中さんの活躍で、戦場の煙幕が晴れてきます。
「カナちゃん、聞こえる?」
無線越しに、田中さんがカナに話しかけます。
「私はカナちゃんのことも、自分の子供のように思ってる。」

「ジアースにかかわった、みんなのことも。
私は子供のためなら、どんなことでもできるつもり。
だから、契約もした。
でも、カナちゃんのお願いをきいてあげられないようでは、説得力無いわよね。
戦闘が終わったら、順に、名乗り出ます。」
あれだけ頑なに、ウシロに「自分が母である」と名乗り出ることを、拒んだ田中さん。
ウシロにすべてを伝え、そのうえでどう行動しようと、それが自らなした選択なら、それを受け入れるしかない。
そう考えた田中さん。
戦闘後に、ウシロに名乗り出ることをカナと約束します。
田中さんの活躍で、完全に相手ロボットが、目視できるようになったジアース。
「あれに勝てば…」
闘う理由、勝つための大きな理由ができたカナ。
反撃開始です。
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