カナ(宇白 可奈・うしろ かな)編②
この記事には「ぼくらの」のネタバレを含みます。
9巻表紙がカナちゃんです。
ウシロは、カンジの言葉を思い出していました。
「お前とカナちゃんは、本当の兄妹じゃない。
カナちゃんは、お前を本当の家族として扱おうとしてきた。
カナちゃんは、お前に安心を与えるために、殴られることに耐えてきたんだ。」
一方、田中さんは自分がウシロの母であることを告白した後、カナの父に重大な事実を伝えます。
「次のパイロットはカナちゃんです」
カナがパイロットとして契約していたことを知らず、契約の事実と、次のパイロットである事実を一遍に知ったカナの父。
「あの子はまだ10歳だ…私が代わりになることは出来ないのか!?」
「はい」
当然のことながら、落胆するカナの父。
「カナは良い子だよ。私が逃げ出したことを、代わりにやってくれた。
なのにどうして…」
血の繋がっていない息子との接し方が分からず、ウシロから「逃げていた」父。
兄からの暴力を受容することで、「家族」の形を保ってきたカナ。
「君は忙しいだろう、もう行きなさい」
というカナの父(宇白先生)に対し、
「先生もカナさんのところに戻ってあげてください」
と返す田中さん。
「あの子の顔を見れないよ…」
親ならそうでしょう…死ぬと分かっている子供の顔を見たら、泣いちゃいけない、って思っても、絶対に泣きますよ…。
「一緒にいていいですか」
「カナに、どう接すればいいんだろうか…」
「今までどおりが、一番いいんだと思います。カナさんと、できるだけ一緒にいてあげてください」
「君はそうできたかね」
「私には順の母親として振舞う権利はありませんが、順の死を見届ける義務があると思っていますし、そのように接してきたつもりです。
身勝手な話ですが…お願いがあります。順には、私のことを言わないでほしいんです。」
徃住明に連れられたカナが、市役所に到着します。
向かう先はもちろん、田中さんと父親の元。
「田中さん、この子に本当のことを話してあげてください」
徃住明に促される田中さん。
カナが人探しを頼んだ相手が田中さん。
探してほしいのは「お兄ちゃんのお母さん」。
それが田中さん本人。
当の田中さんは、それを隠したい。
であれば、田中さんに頼んでも、見つかるはずもありません。
「騙していたんですか?」
「ごめんなさい」
「お兄ちゃんに言ってください。田中さんの口から」
「私は昔あの子を捨てたのに…今更母親として関わることなんて許されない。
それに、私はもうすぐ死ぬ。」
「それなら…余計に残されるお兄ちゃんには、お母さんが必要だと思います
田中さんが言わないなら、私が言います!」
本当に強い子です。カナちゃん。
「逃げてるんですね?私はお兄ちゃんから逃げなかったのに…。
私のお母さんは、私を産んで死にました。私はお母さんをムービーでしか知りません。
どうしてもお母さんに会えません。
でもお兄ちゃんは会える。
お兄ちゃんのためだけじゃなく、私のためでもあるんです。
私にも、お母さんの思い出をください!」
「ごめんなさい…考えさせて…」
カナちゃんの一方的な攻勢。
田中さんもタジタジですね。
子供であるが故の、自分の考えに真っ直ぐな姿勢、カナちゃんの強さですね。
田中さんには後ろめたさがあり、また大人だから色々考えてしまう。
結果、結論が出せない…という状況に陥っているように見えます。
雪降る公園。
ベンチで一人佇むウシロ。
カンジと最後に話した公園ですね。
薄着のウシロに、上着を持ってくるカナちゃん。
「お兄ちゃん、お父さんのところへ帰ろう」
「おれはお前の兄貴じゃないだろう」
「10年間ずっとお兄ちゃんだった。」
「私が死ぬまであと少しなら、それまでお兄ちゃんでもいいでしょう」
「お母さんに会いたい?お兄ちゃんのお母さんは、多分生きてる」
「別に興味ない」
「お母さんに会えるといいね。私はそのために戦うよ」
健気だなぁ…。
この漫画の登場人物(子供たち)は、よく出来た子が多いですが、カナちゃんが一番よくできた子かもしれませんね。
血の繋がっていない兄のため、常に自分に暴力を振るってきた兄のために、ここまで言えるとか…。
これでまだ、小5ですからね。
国防省の佐々見さんは、コエムシに何やらお願いを。
コックピットの中に、何かを持ち込むとか。
「田中の発案か?」
「そうだ」
「誰がやるんだ?」
「要員はこれからピックアップする…」
「田中にやらせろ、じゃないと面白くねー」
「しかしそれではパイロットが足りなくなる…」
「パイロットなんてバンバン追加すりゃいいじゃねーか。
もう訳の分かんねーオヤジを転送すんのは疲れんだよ。
田中じゃなきゃやんねーぞ!」
何やらコエムシがごねています…。
「ぼくらの」
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