「ひぐらしのなく頃に 解」 祭囃し編 九 「攻防」あらすじ


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ひぐらしのなく頃に 解 ~祭囃し編~ 其の九「攻防」

前回、移動先のホテルを探し当てられた富竹さん。

自分を囲む6人の山狗に突進していきましたが…さすがに分が悪かったようです。

取り押さえられ、入江診療所に移送されます。

その様子を見ていた入江先生。

富竹さん同様に拘束されるのも、時間の問題。

そう判断した入江先生は、梨花ちゃん宅に電話。

あらかじめ、赤坂と取り決めていた通りに。

『一分間鳴らして切れば、そこは危険、脱出せよ。

それ以上鳴らし続ければ、連絡不能。

直ちに園崎家へ急行せよ。』

入江診療所の地下にある入江機関。

「入江所長が、女王感染者宅に電話してます!」

「富竹が捕まったことを知らせようというのかしら…クスクス」

同時に、入江先生は裏口から脱出。車に乗って逃走します。

電話は盗聴されているであろう状況下、赤坂さんと取り決めた合図は、呼び出し音の長さだけ。

呼び出したまま脱出ということは、一分間以上鳴らす、「連絡不能。直ちに園崎家へ急行せよ。」

入江先生は赤坂にそう「伝え」、自身も園崎家に向かいます。

入江先生の車は、すぐに山狗の追手に追いつかれます。

「生きたまま捕獲せよ」という命令に従い、車のタイヤを狙撃されます。

一方赤坂。

入江からの電話が、1分以上ベルを鳴らし続けます。

1分を過ぎたところで、梨花ちゃん宅から脱走。

「綿流しのお祭り」最中の古手神社境内を抜け、人気のない山道へ。

『メッセージの真意は分からないが、緊急度は決して低くない。

このままぶっちぎって、園崎家へ急ぐか、それとも…』

チラッと後方を見遣ると、追手は2人。

踵を返す赤坂。

入江の車はタイヤを撃たれ、崖下に転落。

「今捕まるわけにはいかない…今は、まだ…」

怪我をしながらも、車の外へ這い出た入江先生。

そこに、綿流しのお祭りに向かう、詩音と葛西が通りがかります。

入江先生を発見し、車を止め、駆け寄る2人。

「まさかあれ、監督の車ですか?」

崖から転落した車は、ボロボロです。

「ひぐらしのなく頃に 解」 ©2007竜騎士07/雛見沢御三家

頭部からの出血がある入江先生。

「大丈夫ですか?すぐに病院に」

言いかけた葛西を制す入江先生。

「し、診療所は困ります……。園崎家に……行かないと……」

「詩音さん、訳アリのようです。入江先生の車に弾痕が」

タイヤの弾痕を、目ざとく見つける葛西。

「ひとまず本家に連れて行こう。」

自分たちの車に入江先生を乗せ、園崎本家に向かいます。

追手を撒くよう、方向を変えながら園崎家に向かう葛西ですが、入江先生の白衣には発信機が…。

部活メンバーは「48時間作戦」発動後、園崎家の地下祭具殿に隠れていました。

地上の様子は監視カメラで確認でき、電話も通っています。

その監視カメラに1台の車が。

葛西の車です。

両脇を葛西と詩音に抱えられた入江先生を見て、部活メンバーも地上に出て、入江先生の元に駆け寄ります。

「すみません…富竹さんが、山狗に捕まりました…。

私は逃げる時に、やつらに追われて事故を…」

山狗の車が近づく音が聞こえ、全員、地下祭具殿に移動します。

小此木から鷹野さんに無線。

「こちら鳳1。標的を発見。その友人数名も確認」

「フフフフッ、間違いないわ、梨花はそこに潜んでいるのよ!そうよね、ジロウさん?」

両手足を拘束され、口にはガムテープ。床に転がされた富竹さん…。

「ひぐらしのなく頃に 解」 ©2007竜騎士07/雛見沢御三家

地下祭具殿の鋼鉄扉を閉めた魅音。

「大丈夫かな」

「そう簡単に破られることはないと思いますが、荒事に慣れた連中のようです。過信しない方がいいでしょう。」

「とにかく奥へ」

「あ~、はいはい。私は事情が分からないまま、いきなりクライマックスですよ~。」

とふて腐れる詩音。

確かに、「皆殺し編」では雛見沢分校に転校してきていた詩音。

「運命を打ち破る」ために詩音も活躍していましたが…。

「祭囃し編」では、雛見沢分校にはおらず、これが初登場…。

「後でちゃんと説明する」ということで、地下祭具殿奥に移動する面々。

鋼鉄製の扉に、さすがに成す術ない山狗。

プラスチック爆弾を使おうにも、さすがに真昼間に爆破は無理。

しかし小此木が何かに気付来ます。

「今何時だ?」

「もうじき10時です。」

「…使えるぞ。」

プラスチック爆弾を準備するよう、指示する小此木。

地下祭具殿。

「お姉、事情はどうあれ、この状況じゃもう、十分警察に電話できる段階じゃありません?」

入江先生の車は発砲され、園崎家私有地に山狗が何人も入り込んでますからね。

魅音がすぐに警察に電話を…受話器を上げた際の「ツー」という音すらしません。

直後、停電。

「おそらく、全てのケーブルが切断されたのでしょう」

「地下の弱点を突かれたね」

「だけど、あの扉は爆弾でも使わない限り、簡単には壊れないよ。

それに、こんな真昼間に爆発音がしたら、それこそ警察が来るに違いないよ!」

小此木と同じことに、沙都子が気付きます。

「監督は綿流しの本部役員ですわよね?

今日のお祭り、雨天決行の判断は?」

「たしか午前10時に花火で…あぁっ!」

そうです、お祭りの実施を知らせる花火の音に、紛れ込ませようというのです。

花火に合わせ、プラスチック爆弾で鋼鉄扉を爆破する山狗。

部活メンバーは、地下牢の井戸の横穴から、脱出を試みます。

「目明し編」で、お魎や魅音が、詩音に落とされた井戸です。

「途中に横穴がある。そこから山中の古井戸に、抜けられるようになってる。」

足場の悪い梯子(はしご)のような井戸を、先導役の魅音から順に降りていきます。

殿は詩音と葛西。

武器が使え、相手を足止めできる2人です。

先頭の魅音の次は、梨花ちゃん。

体の小さい梨花ちゃん。

非常に降りづらそうで、途中足を踏み外しながら、何とか踏みとどまります。

『大丈夫…大丈夫…

くそっ、私は昭和58年6月を超える!

そしてもっともっと身長が伸びるのよ!

胸だってもっと大きくなる!

いつまでもこんな子供の身体なんて、絶対に御免なんだから!』

「ひぐらしのなく頃に 解」 ©2007竜騎士07/雛見沢御三家

暗視ゴーグルをつけた山狗が、祭具殿に侵入してきます。

詩音と葛西を除いて、最後に井戸を降りる圭一。

「し、詩音、やっぱりその役はおれがやる。次は詩音が降りろ!」

「圭ちゃんの男のプライド、サンキュです♪

でも圭ちゃんに、カラシニコフの説明をするより、キリキリ降りてくれる方がロスタイムは少ないです。」

旧ソ連の自動小銃を扱える詩音…。

普段からスタンガンも持ち歩いてるようですし。

怖いすね…。

「気にしないで、いい女は死なないから。それにね…」

詩音が圭一に、何やら耳打ちします。

「拷問室まで来ました!」

葛西が、山狗の接近を知らせます。

「お姉に伝えて!私たち、来世も双子がいいねって!」

「いい女は死なない」言いながら、完全に死を覚悟してますね。

フラグ立つやつです、それ。

銃撃音の中、井戸を降りる圭一。

先に降りた全員が、横穴で詩音と葛西を待ちます。

「詩音のバカー!早く降りてー!」魅音が叫びます。

「イヤよ、誰が欠けてもイヤ!

これが最後の世界なのよ…私は嫌よ、詩音が死んだり、葛西が死んだりする未来はごめんよ!

イヤよイヤイヤ!

絶対イヤ!早く降りてきてー!」

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梨花ちゃんの叫びと同時に、治まる銃撃音。

同時に足音と、井戸を照らす光。

「聞こえるか!返事をしないでもいい!聞け!女王感染者古手梨花と診療所所長・入江京介を引き渡せ!」

山狗が制圧したようです。

「人殺し!よくも詩音を!」

「安心しろ!少女も男も生きている!気絶しているだけだ!

考える時間が必要なら与える!ただし60秒経過したら、最初の人質を突き落とす!」

「っ…どうしようっ…どうしよう…っ」

「敵の狙いは私です、梨花さんはすでに脱出したことにして、私だけがいきます」

「だめ!詩ぃちゃんたちが、私たちを逃がす時間を、稼いでくれたんだもん!

監督が行ったら、何のために詩ぃちゃんが頑張ってくれたか、分からなくなっちゃう!」

「じゃあ何?詩音に死ねって言うの!!」

「やめてくださいまし、魅音さん!わたくしだって…胸が張り裂けそうなんですのよ!

だって詩音さんはわたくしの『ねーねー』なのに…」

「し、詩音……しおおおぉぉ~~ん!!」

どうしたらいいか分からず、泣き叫ぶ魅音。

同じく、どうすべきか判断のつかない梨花ちゃん。

苛立った様子で、羽入に答えを求めます。

「ねぇ羽入!どうすればいいの!!」

「ボクも…分かりませんです…」

「あんた神様でしょ?何とかしてよ!!神通力でも奇跡でも、起こしてよ!!!」

パシッ!

「ひぐらしのなく頃に 解」 ©2007竜騎士07/雛見沢御三家

羽入の平手が、梨花の頬を打ちます。

「梨花、聞きなさい!

僕たちはともに数多くの世界をわたり、人の身では知り得ない、いくつもを知ってきました。

そしてこの世界で、最も大切なことを学び取りました。

それは奇跡の起こし方。」

「そうね…奇跡の起こし方…。

また忘れるところだったわ…。

皆は逃げてください!

出て行くのは、僕だけで十分です!

ボクの殺し方には、鷹野なりのこだわりがあるはずなのです!

だからたぶん、しばらく殺されないのです!

大丈夫なのです。

ボクたちは絶対に勝てるって、ボクもみんなも、そして神様までも信じているのだから。

こんなの、ピンチでも何でもないのです

にぱ~☆」

井戸の上にいる山狗に向かって、凄む梨花ちゃん。

「僕の仲間に指一本触れてみろ!

舌を噛んで死んでやりますです!!

鷹野は自分の手で僕を殺したがってますから、お前たちは困ったことになりますですよ!

このわたしが取引に応じると言っている!

グズグズせずに、言う通りにせよ!!

下郎!!」

梨花ちゃんの雰囲気にのまれた山狗は、即条件をのみます。

地上に出、小此木に引き渡される梨花ちゃん。

同時に「行け!」

小此木の指示で、再び祭具殿に突入する山狗。

梨花ちゃんを確保したら、約束など反故です。

「約束?そりゃあ何の話ですんね?」

舌をかまぬよう、猿轡(さるぐつわ)をされ、注射で眠らされそうになる梨花ちゃん。

『信じてる…目を開いて最初に目にするのは、私の愛しい仲間たちなんだって…』

パリン!

注射器が割れる音。

梨花ちゃんに猿轡をし、後ろから押さえていた山狗の一人が、注射器を持った山狗を蹴ったです。

「間に合ってよかった。梨花ちゃん、君を助けに来た!」

その山狗は、赤坂でした。

梨花ちゃん宅から逃げる途中、2人組の山狗を倒し、その服を奪って着替え、山狗になりすまして機会を伺っていたのです。

次々襲い掛かる山狗を、格ゲーキャラのごとき強さで倒す赤坂。

「暇潰し編」の頃より体格が良くなっていましたが、相当鍛えたようです。

山狗のリーダー小此木の、渾身の一撃。

手応えあった、とばかりにニヤリとする小此木。

が、赤坂には全く効いていません。

「軽いな。本当の拳を教えてやる」

やめてくれと言わんばかりに、首を横に振りながら、後ずさる小此木。

そこに、赤坂の右拳が炸裂…!したかに見えましたが、頬をかすめて車のフロントガラスを突き破ります。

赤坂はそれで十分と判断したのでしょう。

頬をかすめたパンチで、小此木気絶。

「ひぐらしのなく頃に 解」 ©2007竜騎士07/雛見沢御三家

一方、祭具殿からは山狗が次々出てきます。

「気絶したフリをして、反撃の機会をうかがっていた」葛西による反撃に、山狗が対応しきれなかったようです。

リーダー・小此木はじめ、山狗は園崎家から退避します。

「さぁ、今度はこっちが打って出る番なのです!」

羽入の元気な声が響きます。

地下祭具殿。

地下の銃撃戦で耳をやられたのか、入江先生の診察を受ける詩音。

めまいや頭痛はなく、鼓膜も無事な様子。

「しかし驚きましたよ…あなたが死ぬ気だったとは…」

「圭ちゃんに聞いたんですか??わぁ~、めっちゃ恥ずかしいですね~!」

圭一が井戸を降りる際、詩音が耳打ちした内容を、入江先生も聞いたようです。

『圭ちゃんにこの場を譲って、私だけ生き残ったら、お姉に一生恨まれます。

私の想い人はもういないけど、お姉にはいるもん。』

「あなたと想い人というのは、、悟史君のことですね?」

「今頃どこにいるのやら…生きているのか死んでいるのかも、分かりませんけど。」

生きています。

力強く答える入江先生。

「え……?悟史君…生きてるの……?」

一方他のメンバーは、作戦会議中。

富竹さんを奪還すべく、診療所を襲撃するようです。

今度は敵も警戒しており、奇襲は通用しない。

正攻法しか手のない状況で、赤坂は機関銃を打った経験はなく、葛西一人では厳しい…。

「なら、私が行くしかないですね!」

入江先生から、悟史が生きていると聞いた今、詩音は何としてでも診療所(入江機関)に行かなくてはなりません。

沙都子の耳をふさぎ、「沙都子が聞くと、一緒に来ると言い出すから」を前置きしたうえで、

「私、どうしても診療所に行かなくてはならない、用事ができたの。」

「詩ぃ、きっとこれは神様が詩ぃのためにくれた、チャンスなのです。」

「あなたは、信じなかったことを悔い、信じ続けました。

だから、訪れた今日を大切に。

あなたの強い意志を前に、目の前の苦難は、もはや苦難ではないのです。」

梨花ちゃん、羽入からの励ましを受け、詩音は診療所へ向かいます。

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