「死役所」第15巻あらすじ紹介【ネタバレ多数あり】

 

今回は「死役所」第15巻のあらすじをご紹介します。ネタバレを含みます。

表紙は、娘の美幸を抱っこするシ村さんです。

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私が殺しました①

シ村さんの過去話ですので、以前同様

(シ村さんと同じく冤罪で無期懲役になった)

金子さんとの会話から入ります。

 

美幸ちゃんの遺体を発見したのがシ村さんだったので、

第一発見者なわけですね。

第一発見者に対しての警察の質問、何人もが入れ代わりで

同じ質問をぶつけてくる。

その対応が大変だったと。

 

金子さんは、自分が罪を認めなければお兄さんに容疑が

かかってしまうため、やむなくやってもいない罪を自白させられました。

なので、警察を、そして検察と裁判官も嫌っているようです。

「あいつらこっちの都合なんかお構いなしの馬鹿じゃけえな」

シ村さんは当時を振り返り、

「地獄を 味わいましたからねぇ…」

と。

 

相当な経験だったんでしょうね。

無実の人間に自白を強要するくらいですから。

 

最初に事情を聴いてきたのは警官。

当時の状況を聞かれますが、「加護の会」に行って

幸子さんを連れ帰せなくて…ということも言えず、

「鶏の様子を見ていて、振り返ると娘が倒れていました」

という説明をします。

 

この時点で非常に怪しい説明になってしまっています…。

 

奥様はどちらに、と聞かれ入院中と答えるも、更にどこの病院、

と聞かれたところで答えに窮し、「実は家出を…」

 

シ村さん的には、幸子さんと加護の会の話はしたくなくて、

そこを避けて説明しようとしているんでしょうが、

かえって怪しまれる受け答えになっていますね…。

 

続いて事情を聞きに来たのは、所轄署の刑事風の2人。

今話しましたが…というシ村さんに対し、もういっぺんお願いします、と。

 

何のために別々に聞きに来るのでしょうか…。

 

自分の氏名、亡くなったのは自分の娘であること、

妻(幸子)は家出中であること、娘(美幸)は自分が仕事の間、

近所の野田さんに預かってもらっていたことを話します。

 

奥さんがどこにいるか心当たりは、と聞かれ、「…分かりません」と答えるシ村さん。

 

本当は「加護の会」にいることを知っているのですが…

やはり言いたくないんでしょうね。

 

「奥さんが家出中に娘さんが…つらいでしょう、

 愛する娘さんがこんな目に遭って」

と聞かれたシ村さんは、何が?というような感じで、

「え?」

と答えます。

 

恐らく、思考が追い付いていってないんでしょうね…。

「加護の会」に行ったままの幸子さんを連れ帰ろうと思ったら、

それが叶わず、意気消沈で帰ってきたところに美幸が殺されていた…。

 

しかし、そんな事情を知らない刑事には、「え?」という

リアクションが違う意味に捉えられたのかもしれません。

 

美幸はこれからどうなるのか、刑事に確認するシ村さん。

殺人事件ですから、もちろん司法解剖に回されますよね。

美幸を傷つけられることに抵抗を感じるシ村さん。

そのリアクションも刑事を不審がらせたのでしょうか。

「何か解剖されたらまずい理由でも?」

 

所轄刑事の話が終わると、今度は本庁刑事と思しき2人が事情を…。

完全に参った様子のシ村さん。

 

所轄刑事は、美幸を預かっていた野田さんを訪ねます。

野田さんに事情を聞く所轄刑事。

野田さんには幸子さんが「入院中」としていたので、

「家出中」との齟齬が発生します。

また、13巻の紹介でも書いたように、最初に野田さんに

美幸を預けた際、「お昼に何も食べなかった」と言う野田さんに、

(美幸は普通の食べ物を食べず、土や絵具しか食べない、とも言えず)

「美幸はそういう子なんです」とごまかしたシ村さん。

その話を所轄刑事にする野田さん…。

 

言いづらい、言えないことをごまかした結果が、

裏目裏目に出ている、という感じですね。

所轄刑事は完全にシ村さんを怪しんでいる様子…。

死役所 ©新潮社/あずみきし

幸子さんを迎えに、再び「加護の会」を訪れるシ村さん。

応対した中年女性が「お待ちください」と建物に入っていきます。

美幸が亡くなったことを、幸子さんにどう説明しようか考えていると…。

戻ってきた中年女性は、一枚の紙を差し出します。

 

「でていきます

 さがさないでください

 市村幸子」

 

この書置きを残して、いなくなっていた、と。

それは確かに幸子さんの筆跡でした。

「わたしたちも一生懸命探したんですが…」

申し訳なさそうに詫びる女性。

 

昨日幸子さんを迎えに来た際、シ村さんは蓮田英山の父(加護の会の代表)

を殴っており、具合はどうか尋ねます。

「大丈夫です。お気になさらずに…。それよりも娘さんは本当に…。」

「冗談でこんなことは言えません

 娘を死なせないためここに来たのに、本当に残念です。」

 

自宅に戻り、幸子さんが戻っていないか探すシ村さん。

が、やはり戻っておらず…。

 

そこへ来客。

昨日の所轄署刑事でした。

シ村さんを犯人と決め込んでいる刑事。

半ば強引に警察署に連れて行きます。

 

「幸子さんへ

 けいさつに

 いってきます

 すぐもどります」

 

という書置きを残して。

 

刑事がシ村さんを犯人と決め込んでいるのには、

事情を聞いた際のシ村さんの様子と、野田さんの話の他に、

美幸の司法解剖の結果がありました。

 

娘さんの胃から何が出てきたか分かるか、と聞かれたシ村さん。

「絵具や土…でしょうか」

 

美幸はそういうものしか口にしませんから、

胃の中から出てきても不思議ではありませんね。

しかし、常識的に子供の胃から(たとえ大人でも)

そんなものが出てくるはずはありません。

 

美幸は自分からそういうものを食べていた、

そういうものしか食べなかった、と話すシ村さんですが、

当然信じてはもらえません。

親であるシ村さんが食べさせていた、と決め込んでいます。

 

それで 土食わせるのも飽きて殺したんか?

お前にはアリバイが無い。娘を殺せるのはお前だけじゃ

 

反論するシ村さんの足を蹴飛ばし、

 

何で殺した?

お前みたいな非道な男 初めて見た

 人間の屑じゃ

 

犯人はシ村さんと決めてかかる刑事。

追い詰められていくシ村さん…。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

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私が殺しました②

美幸ちゃん殺しの犯人はシ村さん。

そう決めつけてシ村さんを勾留し、取り調べを続ける警察。

取り調べが終わると留置場に入れられます。

留置場に入れられる際は、「危険物を持ち込ませない」という理由で、

身体検査が行われます。

警察官数人の前で、まずは真っ裸にさせられます。

左ひざに青あざがあり、「これは?」と聞かれたシ村さん。

刑事さんに蹴られました

強めに、抗議のように言ったように見えましたが、

「ああそう」

の一言で終わります。

時代が時代というのもあるんでしょうが…

警察は「こいつ」と決めた人間に、自白させてナンボという感じ。

そのためには手段も選ばない。

組織内でそれが常態化すれば、いちいち騒ぎたてもしない。

今はそうじゃない……と思いたいのです。

最後にガラス棒を肛門に差し込まれます。

これも昔は実際に行われていたようですね。

肛門内に凶器を入れ、持ち込む犯罪者がいたから、と。

実際には、容疑者・被疑者を精神的に追い込む目的もあったとか。

今も行われているのかは分かりませんが…。

取り調べは続きます。

同じことの繰り返しです。

「お前はあの日、

 仕事が終わって遊びよる美幸ちゃんを連れて帰った。

 そんで殺した」

「違います」

と答えると、机の下でひざに蹴りを食らいます。

「ちゃんと思い出せ。

 美幸ちゃんを連れて帰って殺したんやろ?

 お前がその手でやったんやろ?」

「思い出せ

 どうやって殺した?」

ひざに蹴りを入れられながら、ひたすら自白を求められます。

堪(こら)えられず、それまで黙っていた「加護の会」の名前を出すシ村さん。

仕事を終えた後、幸子さんを連れ帰るために「加護の会」に行った、と。

「加護の会」としてはうそをつく必要もありませんから。

無事に確認が取れます。

これで放免…と思いきや、そうはいきません。

仕事を終えてすぐに「加護の会」に向かったシ村さん。

しかし、「加護の会」側の、シ村さんが来たという証言の時間に、

だいぶ差があったのです。

その理由を、走って「加護の会」に向かっていたところ、

転んで服がドロドロになり、靴も壊れた。

なので、着替えをしに一度家に戻った、と説明するシ村さん。

13巻の最後の「幸子⑤」を読み返すと、

シ村さんは仕事が終わって走って庁舎を出ていきました。

その後の描写は「加護の会」にいるところなのですが、服装変わってますね。

スーツを着ていたのが、ポロシャツにズボンです。

「転んだ」「着替えに家に帰った」描写はありませんが…。

シ村さんの説明する時間を、「美幸ちゃんを殺害した時間」と決めつける刑事。

幸子さんを迎えに行った際、連れ帰ることを断った蓮田栄徳さんを

殴ったことも、シ村さんの心証を悪くしています。

「お前は普段から気に入らんことがあると、人を殴るんやな」と。

美幸ちゃんに対して、手をあげることがあったのか、聞かれるシ村さん。

それはない、というシ村さんに対し、悪いことをしたら叱るのが親だろ、と反する刑事。

叱っても叩きはしない、と応じるシ村さん。

小突くくらいはあるだろう、という刑事に、それもない、とシ村さん。

「お前には本当愛情がなかったんやなぁ…

 親やったらちゃんと躾するもんぞ

 手をぺしっと叩くとか

 それくらいはしてあげよったんか?」

「まぁ、それくらいは…」

しめたとばかりに畳みかける刑事。

「そいで叩いて土食わして、最後は殺してしまった」

是が非でも「やりました」と言わせたいようですね。

かなり無理やり、シ村さんを誘導してきます。

「おい、夕飯や」

出されたのは食器に入れられた「土」。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

子供に土を食わせていた親

普通に考えれば、非常識ですもんね…。

子供がそれしか食べなかった、なんて信じてもらえるはずは、ないですからねぇ…。

食わんのか?

 娘に食わしてお前は食わんのか?

 食え!!!

取り調べは厳しさを増していきます……。

留置場に戻るシ村さん。

同室のおじさんが声を掛けます。

窃盗で5回目の留置場で、「わからないことは、何でも聞いてくれ」と慣れたもんです。

慣れたくはないですがね…。

どうやっても信じてもらえない、娘を殺してなんていない、

とおじさんに打ち明けるシ村さん。

おじさんの答えは

「罪をな 認めるんや」

溜息を吐き、頭を抱えるシ村さんですが、おじさんの言い分はこうです。

警察は頭が固いから、絶対にあきらめない。

だから、早く罪を認めて検察に行く。

検察に本当のことを話せば何の問題もない、と。

長引けば長引くほど、罪は重くなる。

明日にも明後日にも、どんどん死罪に近づいていく。

検察が何とかしてくれる。

早く認めろ。

ここまでくると、このおじさんも警察の仕込みなんじゃないかと思えてきますね。

とにかく「自白」させること。

周りがそれだけを求めてくる状況。

刑事が脅しと暴力を使って「自白」を求め、おじさんがなだめるように「自白」を求める。

なおも取り調べは続きます。

「お前はあの日、

 仕事から帰って

 美幸ちゃんを迎えに行き

 家に連れ帰って殺した。」

「違います」

こっち見れ!!

ひざに蹴りを入れる刑事。

繰り返しです。

「加護の会」に行った幸子さんは戻ってこない。

1人で美幸ちゃんの面倒を見る。

再び「加護の会」に迎えに行くも、幸子さんを連れ帰ることができない。

美幸ちゃんが殺される。

訳も分からないまま犯人扱い。

自分を脅し、否定し、貶す声。

繰り返される暴力。

精神的に追い詰められ、極限状態を迎えたシ村さん。

表情が変わります。

それまでの、普通の表情から、死役所に勤めるときの、作り笑いに。

はい

 私が殺しました

場面は変わり、死役所。

金子さんと対面するシ村さん。

(※金子さんについては11巻のご紹介を参照ください)

「手錠をかけられ

 腰縄を結ばれ

 裸にされ

 ガラス棒を突っ込まれ

 何度も蹴られ

 罵られ

 すべて自分が悪いんだと 思いました」

同様に冤罪被害に遭った金子さん。

愛する娘が殺され、殺人の罪を着せられて、おかしくなるのも当たり前だと擁護します。

「わからないんです…

 何度も娘を殺す夢を見ました

 私は妻のことは愛していました

 ですが

 娘のことも同様に開いていたかと聞かれると

 わからないんです…」

警察に洗脳されたんだ、何も悪いことはない、と再び擁護する金子さん。

冤罪で犯人にされた同士、理解しあえるものがあるのかもしれませんね。

「お前さんとは

 生きとるうちに会って話がしたかったな…」

「そう言っていただけて光栄です」

「…辛かったな」

「…ありがとうございます」

一通りシ村さんの話を聞き終わり、成仏課へ向かう金子さん。

自分が冤罪になった事件の真犯人。

その犯人はまだ、のうのうと生きているのか。

或いは、他に事件を起こして死刑となり、ここで働いているのか…。

そんなことを考えながら死役所を見渡した後、成仏課に書類を提出します。

書庫ではシ村さんが、書類に目を通しています。

「成仏許可申請書」

名前は「市村美幸」。

よくよく考えればそうですね。

死役所の書類には、他殺であれば誰に殺されたのか、記載されているはずです。

8巻に登場した、風俗嬢に殺された築本さんもそうでした。

同じく死役所職員の松シゲさんが書庫に入ってきます。

活舌の悪い松シゲさん、「お疲れさん」が「おつかでさん」になってます。

先に書庫を出るシ村さん。

松シゲさんに視線を遣ります。

怖い目です。

憎しみとか…負の気持ちの入った視線。

部屋を出るシ村さんに、松シゲさんも視線を遣ります。

怖い目ではありませんが…何か思いを含んだような視線…。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

シ村さんの過去話はいったん終わりましたが…。

なんでしょう?最後の終わり方。

ここにきて松シゲさんですか?

多分わたしもここでちゃんとご紹介したことがなかった松シゲさん

美幸ちゃん事件の重要人物?

金子さんが成仏前に

「真犯人がここで働いている?」というのは前振りなのか…。

いやぁ…。

普通の恋人①

死役所を訪れたのは男性。

どこに行けばいいのかわからない、と。

亡くなったことにさほど驚いてはいないようですが…。

ただ、どうやって亡くなったかは覚えていない。

歩いてて、何かが頭にぶつかったような…。

覚えていることはそれだけ。

「人為災害死課」或いは「生活事故死課」で調べてもらうよう、シ村さんが案内します。

最初は「人為災害死課」。

担当は岩シ水君です。

大人しい顔して(実際性格も大人しいのですが)ネカフェに放火して10人を殺した岩シ水君。

亡くなった男性の名前は「駒形真名人(こまがた まなと)」さん。

年齢は27歳です。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

岩シ水君曰く「意外と若いんですね」。

この子は本当、悪気はないんでしょうが、空気の読めない発言する子です。

第9巻でも、電車に飛び込んで亡くなった上田さんに、強烈な一言を浴びせています。

あなたがしてくれなくても
「あなたがしてくれなくても」の記事一覧です。

まぁ駒形さんの場合、30代半ばくらいに見えますが…。

ただ、「意外と若い」はない。

普通にショックです。

さすが馬鹿シ水(一度ニシ川さんにそう呼ばれました)。

人為災害死課では該当するデータがなく、生活事故死課で調べてもらうことに。

担当はハヤシくん。

しかしここでも該当データがありません。

頭に何かがぶつかり、意識を失ったような気がする、と話す駒形さん。

眠っているときに亡くなった方などは、就寝から数時間経って亡くなった場合、記憶を探ることによって何が起きたか思い出すことがある。

駒形さんも気を失っている間のことを思い出すかもしれないから、話を聞きます、というシ村&ハヤシペア。

2人の距離の近さにたじろぎ、「1人で思い出してきます!」と走り出す駒形さん。

通りがかったのはニシ川さん。

TVドラマでは、松本まりかさんがものすごい再現度でニシ川さんを演じられていました。

私が死んだらぜひ、ニシ川さんに手続してほしいです!

ただ、そうすると「自殺課」のお世話に…それは嫌だなぁ…。

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「今日も『自殺課』は賑わっていらっしゃいますか?」

不謹慎なことを平然と言ってのけるシ村さん。

「やっぱいじめ自殺の子供とか多いんすか?」

ハヤシくんが続きます。

「割合で言うと中年男性が多いかなー」

あと 意外に多いとこだと--

以降の会話は描写されてません。

ということは、ニシ川さんのセリフに続く言葉が、駒形さんの死因に関係あるんでしょうね。

そのころ、1人で死んだときのことを思い出そうと、死役所をうろつく駒形さん。

目に入ったのは「自殺課」の看板。

「ここにきてた可能性もあるんだよな…」

場面は過去へ遡り、駒形さんが高校生の頃…。

自室で、柱に打ち込んだ釘にベルトを巻き、首つり自殺を試みる高校生の駒形さん。

釘一本では駒形さんの体重を支え切れず、自殺は未遂に終わります。

「才へ 自殺に失敗しました」

こんな書き出しで、手紙を書く駒形さん。

相手の「才」が誰なのかは分かりません。

自殺未遂の翌日、友達と別の高校の女生徒とコンパの話で盛り上がり、実際にコンパに行って楽しかったことなどが、手紙に書かれています…。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

今までは3~4巻に登場したミチルちゃんのように、病死(急性アルコール中毒)なのに他殺だ!と言い張った子はいましたが、「死因が分からない」という方は初めてでは…?

死因が分からないばかりか、高校生時代の駒形さんは、自殺未遂の翌日にコンパの話など…なかなか不安定だったようで。

「真名人 大丈夫ですか」

どうやら、前回「才」に送った手紙の返信のようです。

「才」は、自殺そのものは意外ではなかったけど、コンパの話の方が衝撃だった、と書かれています。

「僕」という一人称なので、おそらく男性なのでしょうね。

ただまぁ、ボクっ娘もいいですよね。

アイマスの菊池真とか。

偽物語の斧乃木ちゃんとか。

はい、脱線しました。

「好きになれそうな子はいましたか?」

「才」からの手紙は、そう結ばれていました。

コンパで知り合った女の子に告白されていた駒形さん。

しかし、断ったと。

ならなぜコンパに?という感じですが…。

「才」への手紙には

「告白されたけど断りました

 彼女を傷つけてしまった

 でも 彼女とは絶対にセックスできないから」

なんとなく見えてきましたね。

おそらく男性である「才」との手紙のやり取り。

コンパに行った駒形さんに衝撃を受けた「才」。

コンパで知り合った女性を振り、絶対にセックスできない」と言い切る駒形さん。

ゲイなんでしょうね。

そしておそらく「才」も。

「普通の男」として友達に対して振る舞い、コンパにも行き、でも実際は男性が好き。

女性は恋愛対象にならない。

悩み、自殺を試み、「才」に悩みを打ち明ける。

「真名人 君は悪くないよ」

おそらく同じ悩みを共有する「才」は、真剣に駒形さんのことを考え、返事を書いているようです。

「自分が嫌いとか

 気持ち悪いとか

 全部分かるからなんて書けばいいか分からないんだ」

高校を卒業した駒形さんは、上京します。

そして、初めて「才」と会います。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

食事をしながらいろいろな話をする2人。

どうやら才も自殺を試みたことがあるよう。

ただお互いに、「才が飛び降りなくてよかった」「釘が曲がってくれてよかった」と、お互いが生きていてくれたことに感謝します。

手紙のやり取りを通じで、ある程度お互いのことが分かっていた2人は、多少手紙とのギャップがあったものの、すぐに打ち解けていきます。

「真名人へ この間はありがとう」

才から手紙が届きます。

次に会えるのはいつだろう。

才に会うことを心待ちにする駒形さん。

再会する2人。

意外と共通点が多いことが分かります。

初恋は中一で、死のうとしたことがあったり、一度だけ彼女がいたり。

普通に結婚したくて、普通に子供が欲しくて、普通に死にたくて…。

真名人 普通に 付き合ってください

2人は付き合い、一緒に暮らし始めます。

才と駒形さんが2人で歩いていると、才の学生時代の友達・平山に出会います。

才と駒形さんにとっては「デート」なのかもしれませんが、平山にはもちろんそうは見えません。

「中田(才のこと)の友達?」

と聞かれ、

「はい、友達の駒形です」

と返します。

 

まぁ、「付き合ってます」とは言いづらいのでしょう…。

2年前に結婚したという平山。

「結婚は良いぞ、

 男として責任が生まれて

 嫁さんも可愛いし

 子供も可愛い」

「そっか 羨ましいなあ」

その後も変化なく、二人の生活は続きます。

営業の仕事をしている駒形さんに、才はお弁当を作ります。

駒形さんが家を出た後、箸箱を入れ忘れたことに気付いた才。

慌てて駒形さんを追いかけます。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

そのころマンションのエントランスを出た駒形さん。

ガツン

という衝撃とともに、道端に倒れこみます。

追いかけてきた才。

「真名人…どうした?

 真名人

 真名人 おい おい!

普通の恋人②

前回死役所を訪れた「駒形真名人(こまがた まなと)」さん。

自分がどう亡くなったか覚えていない、27歳の男性。

同性が好きな27歳の男性。

同じ悩みを持つ「才(さい)」と文通でやり取りし、上京後に同棲を始めた2人。

ある日いつものように仕事に出かける駒形さん。

マンションの出口付近で、「ガツン」と頭に衝撃を受け、倒れてしまいます…。

というところまでが、「普通の恋人①」の内容でした。

ICUの前のイスに座る「才」。

駒形さんのご両親が駆けつけます。

ご両親には、「一緒に住んでる友達の」中田才ということになっているようです。

まぁ、お互い好き合って一緒に住んでいるとは、なかなか言いづらいのかもしれませんが…。

面会が可能だということで、ICUの中に入る駒形さんのご両親。

家族でないため中に入れず、ICUの外で待つ中田才。

そうなんですよね、これ。

ICUとか処置室とか、家族しか入れないんですよね。

わたしもだいぶ昔に、今の奥さん(ハルミ)とまだ恋人だったころ、救急車で運ばれたことがあって…。

ハルミが救急車を呼んで、両親にも連絡してくれたんですが、中田才さん同様、処置室に入れず、外のイスでずっと待っていたと、あとで両親に聞かされました。

「家族」でない中田さん、寂しそうな表情で、ご両親が出てくるのを待ちます。

「あとは私たちが真名人の傍にいるから、本当にありがとう」

「またお見舞いに来てもいいですか?」

「もちろん」

そんなやり取りをして、病院を後にする中田さん。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

どうやら駒形真名人さん、脳の疾患で倒れたようです。

呼吸器が外れ、自発呼吸ができるようになったものの、何の反応もなく、身体が動くのは痙攣のみ、という状態。

寝たきり、植物状態のようです。

駒形さんのお母さんが席を外した時に、駒形さんに話しかける中田さん。

「真名人 真名人ー 聞こえてる?才だよ」

「おれの心臓マッサージ痛かっただろ?ごめんな、肋骨折っちゃって」

「起きたらご飯行こう  約束したもんな」

駒形さんの手を握り、うなだれる中田さん…。

中田さん、心臓マッサージの時に駒形さんの肋骨折ってたんですね。

よほど一生懸命だったのでしょう。

中田さんにとって、一番大切な人ですからね…。

心臓マッサージの時に骨折させても、傷害罪には問われないんですかね?

日本には「善きサマリア人の法」みたいなものがないので、時々問題になりますよね。

善意の結果が期待したものでなかった場合、問題になるケースが。

善きサマリア人の法

「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法」

駒形さんが運ばれた病院は、急性の患者を診る病院だったため、急性期を過ぎた駒形さんは転院を余儀なくされます。

転院先の病院を、駒形さんの両親と一緒に探したり、転院までの期間も頻繁に見舞いに訪れる中田さん。

「中田くんは本当によく来てくれるなぁ」

「そうね いい友達なのねぇ…」

ご両親には、やはり本当のことを言えないようです。

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駒形さんの病室で、お母さんと一緒の時に

「中田くんは恋人いないの?」

微妙な質問をぶつけられます。

目の前の、あなたの息子が恋人です、とも言えず…。

「いや…一応…」

とごまかします。

「この子は…恋人いなかったのかしら…」

「確か、しばらくいなかったと思います」

「ということは、いたことはあるの?もしかして、女の子に興味ないのかもって心配してたのよ」

さすがお母さん、鋭いですね…。

「それはないですよ  いつも女の子の話で盛り上がってました」

笑顔で答える中田さん。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

お母さんをガッカリさせたくないんですね…本当なら、自分たちは愛し合ってましたと、ご両親にも自分を認めてほしいところでしょうけど…。

優しいです、中田さん。

同じ病院に長い間入院できず、転院を4回繰り返した駒形さん。

お母さんは「在宅介護」を選択することにしました。

「だからね  無理にお見舞いに来てくれなくてもいいからね」

中田さんにとっては、衝撃の一言でした。

いつ意識が戻るか分からないこの子のために、中田さんの時間を奪うのは申し訳ない。

彼女との時間を優先させて。

お母さんにとっては、本当に中田さんのことを思っての言葉でした。

が、中田さんにとって駒形さんは、誰よりも大事な存在です。

「そんなこと思わないでください。おれは自分の意志で真名人に会いに来てます」

「だって真名人は  俺の……  命の恩人だから」

真名人は  俺の……

本当は、もう少し違うことが、ストレートに事実を言いたかったのかもしれません。

相手を思い遣り、自分を殺す中田さん、健気です。

植物状態で転院を繰り返す駒形さんを、自宅介護することにしたお母さん。

中田さんに

「無理にお見舞いに来てくれなくてもいいからね」

中田さんに気を遣ったつもりでしたが、もちろん中田さんの望むところではありません。

「だって真名人は  俺の……  命の恩人だから」

高校の頃、人には言えない悩みを抱え、ずっと死にたがっていたこと。

雑誌の文通相手募集に住所を掲載し、何人か手紙が来たものの、続いたのは駒形さんだけだったこと。

それでもやっぱり死にたくて、飛び降りるビルを探していたこと。

屋上で、靴は脱いだ方がいいのか、とか色々考えて、そういえば真名人からそろそろ手紙届くよなぁ、とか。

過去のことを、駒形さんのお母さんに話します。

真名人とのやり取りが自分を生かしてくれた。

自分がここに入れるのは、真名人のおかげ。

恩返しなんておこがましいけど、自分にもできることがあると思ったら嬉しい。

ここに、病室にいるのは自分のための時間です。

また、お見舞いに来させてください。

自宅に戻った駒形さんのお見舞いに行く、中田さん。

「真名人 来たよ 才だよ」

月日は流れ、完全に家族の一員と化した様子の中田さん。

駒形さんの介護を1人で任され、家族は外出、なんてことも。

庭に出て、駒形さんに語り掛ける中田さん。

荷物を片付けていたら、駒形さんからもらった手紙が出てきたこと。

丁寧な手紙で、優しい人だろうと思ったこと。

お互い見た目は全然タイプじゃなかったこと。

駒形さんから手紙をもらえて、嬉しかったこと。

「あんな雑誌の小さな文通コーナーから…俺のこと見つけてくれてありがとう 真名人

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

場面は死役所へ。

シ村さんが調べ、駒形さんのデータが「脳卒中死課」にあったことを伝えます。

直接の死因は肺炎だが、くも膜下出血で、ずっと植物状態にあった、と。

死役所を訪れた際、27歳と言って「意外と若いんですね」と岩シ水君に言われてましたが…。

実際はくも膜下出血で倒れたのが27歳の時で、それから18年後に亡くなったので、45歳だったのです。

その18年間、両親と、中田さんがずっと世話をしてくれた…。

「才も…18年ずっと……?」

「18年って…とんでもない年月ですよ。植物状態の僕のために…なんでそんなこと……」

それが中田さんにとって普通のことだったんでしょうね

久しぶりにシ村さん、良いこと言いました。

他人にとって、それがとんでもないことでも、その人にとっては「普通」のこと。

駒形さんも思い直します。

『きっと僕も 才と同じ選択をするな…。僕にとっての普通は、才と一緒にいることだ…』

現世では、駒形さんの葬儀を終えたと思しき中田さん。

生前、駒形さんに話しかけていた言葉を思い出します。

『聞こえてる?才だよ』

『真名人 来たよ 才だよ』

俺の声、届いてたかな…?届いてたら…嬉しいなぁ…。

遷延性意識障害。

植物状態であっても、伝達手段がないだけで、実は意識があるという方もいらっしゃいます。

駒形さんは、いかがでした?

意識がなかったはずの自分。

庭で才が話しかけてくれた情景は、何の記憶なのか…。

俺のこと見つけてくれて ありがとう 真名人

僕もだよ 才

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

伝達手段なくとも、お互いに思いを伝い合えていた、「普通の恋人」駒形真名人さんと、中田才さんのお話でした…。

性別も何も関係ない。

ただ、相手を思う気持ちがすべて。

それが「普通」、なんですね……。

いいお話でした。

番外編 たらい回し

現世に別れを告げ、「死役所」を訪れたお年寄りは、「立花熊蔵(たちばなくまぞう)」さん。

生活事故死課のハヤシくんが担当しますが、本人はどうやって死んだか記憶が曖昧だと。

生活事故死課にデータはなく、事故で死んだなら

「『人為災害死課』すかね~

うちの似てるんで間違いやすいんすよ。

廊下差挟んで向こう側なんで、行ってみてください。」

と。

ハヤシくんに言われて訪れた、人為災害死課。

担当は岩シ水君。

しかし、ここにも立花さんのデータはありません。

「もしかして病死とお間違えじゃないですか?

下の階に『病死課』がありますから。

そこで受付してください。」

言われた病死課にもデータはなく、その先の「癌死課」にもデータがありません。

「医療ミスとかじゃねぇか?『他殺課』じゃねぇの?」

「他殺課」では、イシ間さんがニシ川さんにパソコン操作を習っています。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

医療ミスだと告げると、ニシ川さんは「人為災害課」だと応えます。

そこは一度行ったというと、じゃあ「生活事故死課」でしたっけ。

そこも行ったというと…「医療ミスに見せかけた殺人じゃないですか?」

「あんた涼しい顔で物騒なこと言うよなぁ」

「でもま、そういう事なら確かに『他殺課』だわな。

じいさん、名前は?」

「やはり……違うと思いますので……他のところにへ行ってみます…」

ロビーで途方に暮れる立花さんに、シ村さんが声を掛けます。

「どうされました?

死因の欄がまだ書かれていないようですが、どのように亡くなられたんですか?」

「はぁ、まぁ…事故で…」

事故でも車にはねられたり、風呂で溺れたり、山で遭難したり色々あります。

立花さんはどのように亡くなったのかを再度聞くも、無回答。

「人に言いづらい事故だったんですか?

わりといらっしゃいますよ。

自殺を恥じて言い出せない方や、

性交直後に亡くなられた方などですね」

立花さんのわずかな反応を見逃さないシ村さん。

「前者ですと『自殺課』、後者ですと基本的には『生活事故死課』ですが、持病の有無によっては『脳卒中課』『心臓病死課』になることが多いですね」

かくして、「心臓病死課」でデータが見つかった立花さん。

 

死役所 ©新潮社/あずみきし

死因は…「愛人との性交後に心臓が止まった」

…腹上死ですね…。

「ったく、じいさんが…元気だね~」

とは、心臓病死課職員のセリフ…。

死役所
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