羌瘣の声
蚩尤の「禁術」を使って、信が進む「天地の間」に辿り着いた羌瘣。
「信っ!!待てっ!信っ!!こっちを見ろっ!!」
羌瘣の声は、信には届いていないようです。
そして、信の進む先には「朱い階段」が…。
日本で言うところの「三途の川」でしょうか。
渡ったが最期、二度と戻れない黄泉へと続く道。
信を呼び続ける羌瘣の周りだけが、沼のようにぬかるんでいます。
身動きの取れない羌瘣は、必死で信の名を呼び続けます。
「待てっ!待って、信!!」
ハッキリと声は聞こえないものの、「何か呼ばれた気」がして振り向く信。
しかし、振りむいた先には誰もいません。
羌瘣の姿は、信には見えないのです。
「ま、いっか」
と向き直した先に現れたのは…漂でした。
里典の下僕として、信と一緒に育ち、「2人で天下の大将軍になる」と誓い合った漂です。
天地の間の「案内役」として出てきた漂。
信に、早く朱い階段を上るよう促します。
それを止めようとする羌瘣。
しかし、ぬかるみに自由を奪われ、力を吸い取られていきます。

力を吸われているのではなく、「命を吸われている」のです。
このままだと、自分の命も危ない。
『そうなる前に、あいつを戻すんだ
信を…飛信隊の元に…』
信は漂と共に、朱い階段に向かって歩きます。
城戸村で暮らしていた頃の話をしながら。
「二人で鍛えまくったからな」
「何のために鍛えていたか、覚えているか?」
「ん……そりゃお前、一番に強くなるためだろー」
「天下の大将軍になるため」
二人で誓った大切な約束さえ、天地の間で忘れてしまった信。
「おれが死んだあとは何があった?」
「戦場行ったよ、戦場。本当に活躍して、自分の隊とか持ったんだぞ。」
「なんて名の隊だ?」
「え……?あれ…何だっけ、忘れた。」
そしてついに、朱い階段の前まで来た信と漂。
「ほかに何か、話ことはないか、信」
「そうだ!秦の国の王様に会ったぞ!っていうかダチになった!」
「その王様は、どんな顔をしてるんだ?」
「顔?知るかよそんな…あれ?ダチだから知ってるはずなのに…」
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朱い階段
信に何かを思い出させようと、色々聞きだそうとする漂ですが、
「やっぱいーや、思い出せねぇ。忘れた。
さっさと上っちまおう。」
信が階段に足を掛けた、その時。
「あれ?なんか…体が…。
前に進めねェんだけど…」
必死の思いで、信の身体に羌瘣がしがみついていました。

「お前の隊の名前は飛信隊だっ!!忘れるなバカ!
そしてお前の夢は、てっ…」
漂に口を押えられます。
「それは自分で思い出さないといけないんだ」
「わりー、漂。まだ、お前たちのところには行けねーや。」
「何でだ?」
「決まってるだろ。二人の夢だった、天下の大将軍にまだなってねー!」
やっと大事なことを思い出した信。
「今すぐその光の穴から向こうへ行け。それで戻れる。」
漂が消え、信に羌瘣が見えるようになりました。
自力で立ち上がれない羌瘣。
信に抱き起してもらい、信を「ぎゅっ」と抱きしめ、信を光の穴に押しやります。
自分は、例の沼にはまったまま。
「頑張れ、頑張れ、信」
「信を飛信隊の元に戻す」ことが目的で、そのために「自分の寿命のすべて」を賭けた羌瘣。
天地の間の沼に、その身を託し、死を待ちます。
「あぶな!あぶなあぶな、間に合った!」
「ったく、お前があっちとかいうからだぞ!」
「ナハハハ、お前がいて助かった。
なんだか分からんが、なーんかまだ役目がありそうな気がして、とどまっててよかったぜ」
「ああ、全くだ」
「お前は死にたてホヤホヤだけどな」
「ホヤホヤいうな!」

朱海平原の戦いで戦死した、松左と去亥でした。
「やべ、閉まるぞ」
「じゃーな、羌瘣」
光の穴に羌瘣を投げ込む2人。
「うちらの大将、頼んだぞ」
信と羌瘣、無事生還。
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