カナ(宇白 可奈・うしろ かな)編①
9巻表紙がカナです。
カンジの次にパイロットになったカナちゃん。
これまで兄妹だと思われてきた、ウシロとカナ。
しかし、2人は本当の兄妹ではありませんでした。
カナは知っていて、ウシロが知らなかった事実。
ウシロの母は、ウシロの父(実際は養父で、カナの実父)の中学の生徒でした。
いわゆる不良で、かなりの問題児。
中学を卒業後、父親の家に転がり込み、その時すでにウシロを妊娠していました。
子供がいなかった宇白夫妻は、家族のように受け入れ、出産の手伝いをしました。
子供の父親に関しては一切聞かず、「どうでもよいことだ」と。
やがて彼女は子供(ウシロ)を産み、そしていなくなりました…。
宇白夫婦は話し合い、その子供(ウシロ)を養子にしました。
これがカナの知る事実。
カナは、カナの母がカナを産んだ際に亡くなったことで、ウシロからキツく当たられるようになります。
そして、自身でも自分を責めるようになります。
自分が生まれてきたせいで…。
見かねた父が、カナにだけ真実を話したのです。
そしてジアースに出会い、兄を含めたみんなが契約した。
モジの戦闘の後、契約してない子がいることが分かった。
それは、もしかしたらお兄ちゃんかも…。
『お兄ちゃんは助かる…違う、お兄ちゃんは一人になる』
そう考えたカナは、残される兄には、お母さんが必要だと考えます。
父より偉い人なら、見つけられるかもしれない。
そう考えたカナは、国防軍の田中さんに、兄の本当の母を見つけてほしいと頼みますが、見つかりませんでした。
もしかしたら、兄と本当の母が会ったとしても、悪いことにしかならないかもしれない。
それでも…『これが私にできる、最後のことになると思うから』
ウシロは、なぜ契約していたことを言わなかったのか、カナを責めます。
「だって、そうしたらお兄ちゃん一人ぼっちになってた…」
「このっ…」
いつものようにカナを殴ろうと、手を振り上げるウシロ。
しかし…その手を振り下ろすことができません。
「お兄ちゃん…知ってるの?」
「何をだよっ!!」
苛立ちながらその場を去るウシロ。
マキの言葉が頭を過ります。
『あんたは血がつながっていることに甘えてる
だからカナちゃんに平気で暴力を振るえる
お父さんが私を叩くのに、どれだけ勇気が必要か分かる?』
その時ウシロは、「勇気なんて必要ないだろ」と返していましたが…カナと血がつながっていないことを、カンジから、カンジの戦闘開始直前に聞いたウシロ。
「血の繋がりがない」妹に、暴力を振るえない自分がいました。
ジアースの中では、マチとコエムシが口論。
「あんた、カナちゃんを契約させたの?」
「あー、それか」
「あんた本当、どこかおかしいでしょ!」
「なんだお前、ウシロにオレを投影してんのか?オレの方がウシロよりましだぜ?少なくとも妹のお前のことは、大切にしてるからな」
カンジが、おそらく他にもうっすら気づいていたかもしれない、マチへの違和感。
マチはこの地球の人間でなく、コエムシと同じ地球の人間、コエムシの妹だったのです。
「お前はもうオレ達の地球へ帰れ、親父もおふくろが心配してるぞ
今更てめぇにできることはねぇだろ、償えるとか適当言いやがって」
チズの戦闘の際のやり取りですね。
マチが契約していない。
その事実を知って見ると、チズとのやり取りの、一瞬の間。
チズの目を見ずに「できるよ。」
理解できますね。
「分かっただろう?
この地球人間じゃないヤツが契約できるわけねーだろが。」
「私だって…私たちの地球の時には、死ぬ覚悟してた。
ただ、契約者が多くて私まで順番が回って来なかっただけ。
今までこの子たちに付き合ってきたんだ、最後まで一緒にいたい!
次はカナちゃんなんだよ!?」
「ちなみに言っとくけど、カナが俺を呼び出して契約させたんだからな」
「ウシロを放っておけないから?」
「あー、多分な。契約してると思っただろうからな」
「何か…本当私と似てるな…」
「ふざけんな、お前は死なねぇ。
てめぇはオレの育て直しでもやってる気になってろ」
粗野で、他人の気持ちを考えない、放っておけない兄。
そんな兄を持った妹。
ウシロにコエムシを投影している、と言うよりは、カナに自分を投影しているのかもしれませんね、マチ。
国防省。
カンジの、34時間にもわたる戦闘。
ずっと立ち会っていた国防省の佐々見さんも、疲労困憊という感じです。
もちろん、ずっと戦っていたカンジの方が、ずっと疲れたでしょうが…。
「何をやっているんだろうな、我々は」
子供たちに地球の命運を任せ、それを見ていることしかできない自分たちへの、苛立ちと言うか、もどかしさと言うか…。
そんな気持ちがにじみ出ています。
「寛治君の遺体は、父親が引き取るそうです」
「本来なら国葬相当の……
違うか、それで死んだ子が救われるわけじゃない」
関さん含め、前回の戦闘で「マーカー」になった23人の軍人は、全戦闘終了後に二階級特進、軍神として扱われることに。
また、ジアースとの関連が疑われるマチの家には、スタッフを向かわせ、発見次第確保する段取りに。
「おそらく無駄だろう。本当の家かどうかも分らんしな」
カンジの戦闘で被災した街。
カンジと近所の、ウシロの家ももちろん戦闘地域でした。
学校に避難していた父と、カナが再会。
まだ、自分が次のパイロットだと、父に告げられないカナ。
この時点でカナの父は、ウシロがパイロットとして契約していると伝えられており、カナが契約しているとは知らされていません。
父は、「国防省の人と会わなければならない」と役所に向かいます。
避難先の学校で、一人待つカナの許を、一人の男性が訪ねてきます。
アンコの父、往住明でした。
アンコの戦闘の後、「何かできることがあったら言ってください、協力します」と言ってくれた往住明にも、カナはウシロの母親捜しをお願いしていたのです。
「頼まれていた人、見つかったよ。
今役所にいるそうだから一緒に会いに行こう」
一方、先に役所に到着していた父、待っていたのは「国防省の人」である田中さん。
深々と頭を下げ、「お久しぶりです、先生」
「お久しぶりです、宇白先生。
佐藤美穂です。
結婚を機に名を変え、今は『田中美純』を名乗っています」
ウシロの父の中学の生徒であり、ウシロの母。
ずっとジアースパイロットをサポートし、一緒に戦い、足りない分のパイロットとして契約していた、田中さん。
田中さん=ウシロの母
だったのです……。
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