仲間
15日目の朱海平原。
永き戦いは夕暮れに差し掛かり、終わりを告げようとしていました…
「変な感じ」と言うよりは、おそらく「イヤな感じ」がした河了貂。
那貴を連れて信の元へ急ぎます。
龐煖と、一騎打ちの真っ最中。
龐煖に一発食らわせ、逆に一発を食らい、倒れ、立ち上がり、また一発食らわせては食らい…その繰り返し。
限界を超え、力も何も残っていないように見える状態。
その状態からでも、何度も何度も立ち上がる信。
「信!!」
河了貂が叫びます。

「ダメだ…止めろ…止めて…信はもう…」
尾平の腕の中、ボロボロの羌瘣も、信を止めようとします。
意識があるのか、無いのかすら分からないくらい、ボロボロの信。

「俺には生きてる仲間が大勢いる、大勢いるんだよ、龐煖!」
何度龐煖の矛を食らっても、何度倒されても、弱々しく立ち上がっては、再び龐煖に矛を振るう信。
道の行方
龐煖は混乱していました。
『なぜこんなことが起こる…』
道を極めたはずの自分に、なぜ抗えるのか。
王騎、麃公将軍…そして、目の前の信。
『道を極めし我が刃に…なぜ』
そして、ある可能性を思いつきます。
道が、間違っていた…いや、
『そもそも、道そのものが無かったでは…人に、そんな道など』
可能性と言うよりは、「恐れ」かもしれません。
自分の信じたものが正しければ、信はとっくに自分の足元に伏しているはず。
それが、何度でも立ち上がり、自分に刃を向けてくる。
自分の信じたものが、実は真実でなかったことへの「恐れ」。
そんな思いを、必死に振り切ろうとする龐煖。
『道が無いなど、そんなことは、断じてない』
「龐煖!!」
信の矛と、龐煖の矛が激しくぶつかり合います。
そして、その形を失ったのは、龐煖の矛。
すかさず、龐煖は信に背を向け、折れた矛を背中越しに突き刺しに行きます。
王騎将軍の時と同じような格好です。

その矛をスレスレでかわし、龐煖に矛を振り下ろす信。
矛の柄で受ける龐煖ですが…。
その柄ごと、龐煖の身体を両断--!!
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