【この記事には「死役所 第72条 『普通の恋人②』のネタバレを含みます】
前回死役所を訪れた「駒形真名人(こまがた まなと)」さん。
自分がどう亡くなったか覚えていない、27歳の男性。
同性が好きな27歳の男性。
同じ悩みを持つ「才(さい)」と文通でやり取りし、上京後に同棲を始めた2人。
ある日いつものように仕事に出かける駒形さん。
マンションの出口付近で、「ガツン」と頭に衝撃を受け、倒れてしまいます…。
というところまでが、「普通の恋人①」の内容でした。
ICUの前のイスに座る「才」。
駒形さんのご両親が駆けつけます。
ご両親には、「一緒に住んでる友達の」中田才ということになっているようです。
まぁ、お互い好き合って一緒に住んでいるとは、なかなか言いづらいのかもしれませんが…。
面会が可能だということで、ICUの中に入る駒形さんのご両親。
家族でないため中に入れず、ICUの外で待つ中田才。
そうなんですよね、これ。
ICUとか処置室とか、家族しか入れないんですよね。
わたしもだいぶ昔に、今の奥さん(ハルミ)とまだ恋人だったころ、救急車で運ばれたことがあって…。
ハルミが救急車を呼んで、両親にも連絡してくれたんですが、中田才さん同様、処置室に入れず、外のイスでずっと待っていたと、あとで両親に聞かされました。
「家族」でない中田さん、寂しそうな表情で、ご両親が出てくるのを待ちます。
「あとは私たちが真名人の傍にいるから、本当にありがとう」
「またお見舞いに来てもいいですか?」
「もちろん」
そんなやり取りをして、病院を後にする中田さん。
どうやら駒形真名人さん、脳の疾患で倒れたようです。
呼吸器が外れ、自発呼吸ができるようになったものの、何の反応もなく、身体が動くのは痙攣のみ、という状態。
寝たきり、植物状態のようです。
駒形さんのお母さんが席を外した時に、駒形さんに話しかける中田さん。
「真名人 真名人ー 聞こえてる?才だよ」
「おれの心臓マッサージ痛かっただろ?ごめんな、肋骨折っちゃって」
「起きたらご飯行こう 約束したもんな」
駒形さんの手を握り、うなだれる中田さん…。
中田さん、心臓マッサージの時に駒形さんの肋骨折ってたんですね。
よほど一生懸命だったのでしょう。
中田さんにとって、一番大切な人ですからね…。
心臓マッサージの時に骨折させても、傷害罪には問われないんですかね?
日本には「善きサマリア人の法」みたいなものがないので、時々問題になりますよね。
善意の結果が期待したものでなかった場合、問題になるケースが。
善きサマリア人の法
「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨の法」
駒形さんが運ばれた病院は、急性の患者を診る病院だったため、急性期を過ぎた駒形さんは転院を余儀なくされます。
転院先の病院を、駒形さんの両親と一緒に探したり、転院までの期間も頻繁に見舞いに訪れる中田さん。
「中田くんは本当によく来てくれるなぁ」
「そうね いい友達なのねぇ…」
ご両親には、やはり本当のことを言えないようです。
駒形さんの病室で、お母さんと一緒の時に
「中田くんは恋人いないの?」
微妙な質問をぶつけられます。
目の前の、あなたの息子が恋人です、とも言えず…。
「いや…一応…」
とごまかします。
「この子は…恋人いなかったのかしら…」
「確か、しばらくいなかったと思います」
「ということは、いたことはあるの?もしかして、女の子に興味ないのかもって心配してたのよ」
さすがお母さん、鋭いですね…。
「それはないですよ いつも女の子の話で盛り上がってました」
笑顔で答える中田さん。
お母さんをガッカリさせたくないんですね…本当なら、自分たちは愛し合ってましたと、ご両親にも自分を認めてほしいところでしょうけど…。
優しいです、中田さん。
同じ病院に長い間入院できず、転院を4回繰り返した駒形さん。
お母さんは「在宅介護」を選択することにしました。
「だからね 無理にお見舞いに来てくれなくてもいいからね」
中田さんにとっては、衝撃の一言でした。
いつ意識が戻るか分からないこの子のために、中田さんの時間を奪うのは申し訳ない。
彼女との時間を優先させて。
お母さんにとっては、本当に中田さんのことを思っての言葉でした。
が、中田さんにとって駒形さんは、誰よりも大事な存在です。
「そんなこと思わないでください。おれは自分の意志で真名人に会いに来てます」
「だって真名人は 俺の…… 命の恩人だから」
真名人は 俺の……
本当は、もう少し違うことが、ストレートに事実を言いたかったのかもしれません。
相手を思い遣り、自分を殺す中田さん、健気です。
続きは明日。
2019/12/04 追記
非公開をご希望でのコメントを頂戴したので、ちょっとだけ追記します。
医療に従事されていた方から、心臓マッサージに関してのコメントを頂戴しました。
医師が行ってもかなりの確率で骨折があり、命を守るためにはやむを得ないこと、とのことでした。
貴重なコメント、ありがとうございました!
今は運転免許を取得する際、応急救護の講習があるんですよね?
私が免許を取った頃は、まだそういった講習はなく、お恥ずかしい話、心肺蘇生とかAEDの使い方とか、全く一度も学んだことがないのです。
「機会があれば…」とか消極的なことは言わず、「機会を作って」学んでみたいと思います。
いつ何時、そういう場面に出くわすか分かりませんからね。
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