カンジ(吉川寛治・よしかわ かんじ)編③
8巻表紙がカンジです。
【本記事には「ぼくらの」のネタバレを含みます】
ハワイから日本にいるジアースを狙った相手の攻撃は、自分のパーツを狙ったものでした。
最初の戦いでワクが、海中に落ちたジアースの手を蹴って相手に突き刺したように、自分のパーツは位置が分かるのです。
最初の針攻撃はマーカー。
自分のパーツをマークしておくためのものでした。
「一発で仕留められるなら、最初からそうしているはず。それができないから、安全圏に退避しているはず」
田中さんはそう推測しますが、果たして防御できるのか。
或いは、砲撃の当たらないところに逃げた方がいいのか。
「おれ、こんな頭の回らない人間だっけ?」
最初のころ、戦闘に関するアドバイスはモジがしていましたが、モジが亡くなって以降はカンジがその役でした。
「自分ならうまくやれる」
そう思っていたカンジでしたが…。
敵の戦い方が想定外だったこと、敵がジアースの前から消えて、再び現れるまで、待機状態で睡眠がとれなかったことも関係しているかもしれません。
初弾は、ジアースから数キロ離れたところに着弾。
砲撃が20分程前の出来事で、どこに着弾するかも分からない状態。
住民の避難はされておらず、多くの人が犠牲に。
そして、第2射の着弾が、2分後に迫ります。
第1射着弾前に撃たれた第2射は、おそらく外れる。
しかし、第1射着弾結果に修正を加えた第3射は、直撃の可能性が高い。
関さんがカンジに尋ねます。
カンジ君はこの町での戦闘に拘った。
もし人のいないところなら、敵は接近戦を選択せざるを得なかった。
そうすれば、ジアースに勝機があったかもしれない。
街中で戦闘を始めたこと自体は構わない。
カンジ君は唯一世界を救えて、唯一死を約束されている。
ただ、理由が知りたい、と。
カンジの代わりにウシロが答えます。
「カンジは沖天楼で死にたかった」
母親が建設にかかわり、その工事に問題があることが発覚し、建設を止めようと尽力するも、「大きな力」によって叶わず、最後には身を投げた沖天楼。
カンジはそこで死ぬために、沖天楼の近くで戦闘を始めたのでした。
マザコンも度が過ぎる、と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、カンジが生まれたころからずっと母が携わり、苦しみ、解放された場所。
その解放が、カンジが小1のころ。
まだまだ親に、特に母親には甘えたい盛り。
その母親が「すべてを懸けた」と言っても過言ではない沖天楼。
自分ももうすぐ最期を迎えるなら、そこで死にたいというカンジの気持ちは理解できます。
第2射は予想通り、ジアースから離れたところに着弾します。
そして、第1射の着弾結果に修正を加えた第3射。
ジアースへの直撃が予想される第3射の着弾予定時間が迫ります。
装甲板を外して手に持ち、跳弾させる作戦。
砲弾の威力を弾けるのか。
或いは、装甲板を貫き、ジアースを撃破するのか……。
予想通り、第3射はジアースに直撃します。
しかし作戦通り、装甲板で砲弾は跳ね、ジアース本体はダメージ回避します。
しばらくして、アメリカからの映像が届きます。
穴なしバウムクーヘンの現在の様子です。
砲身長1,000メートル。
15分間隔で砲弾を再生し、発射し続ける敵。
ジアースはそれを防ぐだけ。
完全に劣勢です。
アメリカも、自国領土に訳の分からないロボットが現れて黙ってはいません。
米軍が穴なしバウムクーヘンに対し、攻撃を仕掛けます。
カコの戦闘の際、国防軍が攻撃を行ったように。
国防軍は、あっという間に全滅しましたが…。
はたして、米軍も同様でした。
コエムシが「サルがひっかいて戦車に穴が開くかよ」と言っていましたが、ジアースや敵ロボットの戦いは、そういう次元ではないのでしょうね。
アメリカは、穴なしバウムクーヘンに対し、核を使うことを決めました。
しかし、米軍が自国内に核を落とすなんてことは、決してできない。
核攻撃は、国防軍に依頼されました…。
カンジ戦、モジ戦と同じくらい劣勢ですね。
モジもカンジも、他の子がパイロットの際には積極的にアドバイスする、頭が良くて周りが見れる子。
その2人の時にこんなに苦戦するなんて、皮肉なものですね。
少なくともモジは、モジだから何とか勝てたのかもしれません。
他の子だったら負けていたかも…。
今回も、カンジだから勝てた、となるのかどうか…。
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