河了貂の危機
金毛軍の弓兵によって肩を射抜かれ、落馬した河了貂。
槍を持った兵が、河了貂の頭を刺さんとしたまさにその時…。
河了貂を討とうとした騎馬兵が、矢で射抜かれます。
仁です。
先週の予想通りでした。
まぁ、展開から仁(または淡)が助けるであろうことは明らかでしたが…。
「貂さん
こっちへ早くっ」
貂に自分に向かって走るように叫びながら、
自分は貂に向かって走り、貂を追う金毛軍兵を走りながら射貫く仁。
走りながら、しかも確実に味方を射抜く仁に、
金毛も驚きを隠せません。
逃げる貂、追う金毛軍兵、両者に向かう仁。
仁の矢が、金毛軍兵の肩に当たります。
弓の名手である仁。
秦でただ一人「中華十弓」に名を連ねた「蒼源」の息子。
その蒼源をも凌ぐ腕前の仁が、狙った頭を外し、肩に当てました。
弓が、限界に近づいていました。
敵五人に対し、残った矢は五つ。
一矢も外せない状況。
…が、ついに限界を迎えた仁の弓。
真っ二つに折れてしまいます。
貂も敵兵も目の前。
一か八か、敵騎馬兵の馬に体当たりする仁。
馬は倒れますが、仁も相当な衝撃を負います。
起き上がるどころか、ピクリとも動かない仁。
落馬した兵が起き上がり、仁の髪の毛を掴み上げ、
その首に槍を刺した瞬間…。
兵の頭が「ドン」という音とともに吹っ飛びます。
仁の弟・淡でした。
仁と同等の技術を持ちながら、「人を射ることができない」
メンタルの弱さで、ここまでさほど活躍のなかった淡。
「兄ちゃんを傷つける奴は
絶対に許さないぞっ」
相当なキレ具合で射られた矢は、金毛軍兵の頭を
「射抜く」のではなく、「吹っ飛ばし」ます。
仁は兄ですが、かなり小柄な方。
女の子の貂とさほど変わらないくらい。
逆に淡は、弟ですがかなり体格的に恵まれてます。
弓を引く力は淡の方が強いのでしょうが、
頭を吹っ飛ばすってのは…なかなか…。
残り五人だった金毛軍兵を次々射抜く…もとい、吹っ飛ばす淡。
ついには、将軍・金毛をも射抜きます。
戦場への思い
腹の真ん中に矢を食らった金毛。
致命傷のはずです。
それでも、さすがは趙軍の将軍。
起き上がり、貂に歩み寄ります。
自身が仕えた慶舎と、岳嬰を討たれた恨み。
戦場は、大人が国を背負って戦う場所だ。
お前らのようなガキ供が、戦場に夢を見て集まるから戦争は無くならないのだと。
「それは違う!」
思いはそれぞれだし、自分たちの思いも決して子供じみたものじゃない。
ただ、今は戦争だから、互いにぶつかり合うしかない。
仕方がないから、信がいつも言うように
「金毛
お前の思いも
オレ達が背負っていく」
「貴様らに
分かってたまるか…」
「分かるよ
ちゃんと分かるから
信は強いんだ
飛信隊も」
信の、飛信隊の強さを少し理解した金毛。
淡をチラリと見遣り、さあ討て、と言わんばかりに
貂に刀を振り上げる金毛。
淡に額を射抜かれ、死亡。
河了貂は助かりましたが…心配なのは仁ですね。
馬に体当たりしましたし、そのあと喉を刺されましたし…。
小さい体でもお兄ちゃんらしく、弟・淡を引っ張って、
初陣では、人を射抜けず泣き出す淡の分まで活躍し、
夜になって手の震えが止まらなくなるほど、
本当は弟と同じく心優しい仁。
淡の覚醒によってお役御免…とはならないでほしい。
助かってほしいです。
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