コモ(古茂田孝美・こもだ たかみ)編④
6巻表紙がコモです。
【本記事には「ぼくらの」のネタバレを含みます】
敵パイロットは自分の地球は捨てている。
こちらの地球をどうするか、それをコモのピアノで判断してもらおう。
一か八かの作戦。
思惑通りに現れた敵パイロット。
地球の命運をかけたコモのピアノは…。
あれれ…?
ジアースパイロットとして戦い、地球を守って死ぬ。
死を受け入れたコモのピアノは、先生も絶賛するほどだったのに…。
いざ自分の演奏が地球命運を握っている、となった時、
固い音しか出なくなってしましました。
どうしよう、どうしよう…。
ふと、昔のことを思い出す子コモ。
父がコモに付き合って、一時ピアノを触っていたころ。
「子供のバイエル」で投げ出してしまった、小茂田巴が言ったのは
「上手に引けなくても
なかなか楽しいものだな
ピアノは 正直で」
そうだ、ピアノを従わせようとしてはダメだ。
ピアノの音を聴かなくては。
ピアノと対話するように…。
楽しかったことも、嫌だったことも、思い出そう。
それでも世界は美しい。
だって、旋律は汚れないから。
たとえ、自分の家が焼かれても。
被災者の遺族にとって、自分がどんな悪者でも。
それでも世界は美しい。
コモの魂の、まさに命がけの演奏です。
コモのピアノは美しい旋律を奏でます。
この世界の美しさを、そのまま音で表現するように。
演奏終盤、会場を出る敵パイロット。
ステージと反対側に向かって、階段を上り、会場後方のドアを開けると…。
待っていたのは国防軍の佐々見さんと田中さん。
「残り時間、あと5分」
オートマチック中の遊底を引き、弾を装填する田中さん。
「私に、させてくれ」
現れたのはコモの父・小茂田巴。
「それは私の仕事だ」
敵パイロットを殺す=自分の娘が死ぬ
それを分かった上での申し出。
軍人としてではなく、コモの父として、なんだと思います。
娘が死ぬことは分かっている。
それは避けられない。
ならば、そのトリガーは自分で引く。
他人の手ではなく、自分の手で。
なんとなくですけど、同じ親として気持ちわかります。
敵パイロットは、抵抗する様子もなく、
諦め、安堵、寂しさなどが入り混じったような笑みを浮かべます。
その額に銃口を向ける小茂田巴。
演奏終了と、引き金を引いたのは、どっちが先だったのか。
情感に溢れた美しい演奏に、客席の軍関係者は作戦を忘れ、
涙ながらに大きな拍手をコモに送ります。
達成感。多幸感。
笑顔を浮かべるコモ。
会場の後ろのドアから、ことを終えた小茂田巴。
「孝美!」
ステージ駆け寄る小茂田巴。
笑顔のまま、ステージ上に倒れこむコモ…。
父親の両腕に抱かれたコモ。
「私は、軍を辞めるつもりです
私は ピアノを弾けるだろうか
娘を殺したこの手で」
傍らにいた佐々見さん。
「小茂田一佐、いや小茂田さん。
気休めにもならないことを承知で言いますが
とても満足そうな
穏やかな顔ですよ」
頑張りましたね、コモ。
戦闘ではなく、ピアノで地球を守りました。
ジアースパイロットの中で、初めて仲間の前でなく、親の前で亡くなったコモ。
遺される親としては非常に厳しいものがありますが…子供としては、
親の前で、精一杯やり切って死ねる。
語弊があるかもしれませんが、亡くなり方としては、少しは良いのかな…。
佐々見さんの感じた「満足」「穏やか」なコモの表情は、
そういう所からきているのかもしれません。
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