【この記事には「死役所 第70条 『私が殺しました②』のネタバレを含みます】
留置場に戻るシ村さん。
同室のおじさんが声を掛けます。
窃盗で5回目の留置場で、「わからないことは、何でも聞いてくれ」と慣れたもんです。
慣れたくはないですがね…。
どうやっても信じてもらえない、娘を殺してなんていない、
とおじさんに打ち明けるシ村さん。
おじさんの答えは
「罪をな 認めるんや」
溜息を吐き、頭を抱えるシ村さんですが、おじさんの言い分はこうです。
警察は頭が固いから、絶対にあきらめない。
だから、早く罪を認めて検察に行く。
検察に本当のことを話せば何の問題もない、と。
長引けば長引くほど、罪は重くなる。
明日にも明後日にも、どんどん死罪に近づいていく。
検察が何とかしてくれる。
早く認めろ。
ここまでくると、このおじさんも警察の仕込みなんじゃないかと思えてきますね。
とにかく「自白」させること。
周りだそれだけを求めてくる状況。
刑事が脅しと暴力を使って「自白」を求め、おじさんがなだめるように「自白」を求める。
なおも取り調べは続きます。
「お前はあの日、
仕事から帰って
美幸ちゃんを迎えに行き
家に連れ帰って殺した。」
「違います」
「こっち見れ!!」
ひざに蹴りを入れる刑事。
繰り返しです。
「加護の会」に行った幸子さんは戻ってこない。
1人で美幸ちゃんの面倒を見る。
再び「加護の会」に迎えに行くも、幸子さんを連れ帰ることができない。
美幸ちゃんが殺される。
訳も分からないまま犯人扱い。
自分を脅し、否定し、貶す声。
繰り返される暴力。
精神的に追い詰められ、極限状態を迎えたシ村さん。
表情が変わります。
それまでの、普通の表情から、死役所に勤めるときの、作り笑いに。
「はい
私が殺しました」
場面は変わり、死役所。
金子さんと対面するシ村さん。
(※金子さんについては11巻のご紹介を参照ください)
「手錠をかけられ
腰縄を結ばれ
裸にされ
ガラス棒を突っ込まれ
何度も蹴られ
罵られ
すべて自分が悪いんだと 思いました」
同様に冤罪被害に遭った金子さん。
愛する娘が殺され、殺人の罪を着せられて、おかしくなるのも当たり前だと擁護します。
「わからないんです…
何度も娘を殺す夢を見ました
私は妻のことは愛していました
ですが
娘のことも同様に開いていたかと聞かれると
わからないんです…」
警察に洗脳されたんだ、何も悪いことはない、と再び擁護する金子さん。
冤罪で犯人にされた同士、理解しあえるものがあるのかもしれませんね。
「お前さんとは
生きとるうちに会って話がしたかったな…」
「そう言っていただけて光栄です」
「…辛かったな」
「…ありがとうございます」
一通りシ村さんの話を聞き終わり、成仏課へ向かう金子さん。
自分が冤罪になった事件の真犯人。
その犯人はまだ、のうのうと生きているのか。
或いは、他に事件を起こして死刑となり、ここで働いているのか…。
そんなことを考えながら死役所を見渡した後、成仏課に書類を提出します。
書庫ではシ村さんが、書類に目を通しています。
「成仏許可申請書」
名前は「市村美幸」。
よくよく考えればそうですね。
死役所の書類には、他殺であれば誰に殺されたのか、記載されているはずです。
8巻に登場した、風俗嬢に殺された築本さんもそうでした。
同じく死役所職員の松シゲさんが書庫に入ってきます。
活舌の悪い松シゲさん、「お疲れさん」が「おつかでさん」になってます。
先に書庫を出るシ村さん。
松シゲさんに視線を遣ります。
怖い目です。
憎しみとか…負の気持ちの入った視線。
部屋を出るシ村さんに、松シゲさんも視線を遣ります。
怖い目ではありませんが…何か思いを含んだような視線…。
シ村さんの過去話はいったん終わりましたが…。
なんでしょう?最後の終わり方。
ここにきて松シゲさんですか?
多分わたしもここでちゃんとご紹介したことがなかった松シゲさん。
美幸ちゃん事件の重要人物?
金子さんが成仏前に
「真犯人がここで働いている?」というのは前振りなのか…。
いやぁ…。
次回を待ちましょう。
待て!次号!!(懐かしいなぁ…)
「死役所」
立ち読み、試し読みは以下のサイトでどうぞ!
前の記事:第70条 わたしが殺しました② [前半]
次の記事:第71条 普通の恋人① [前半]
コメント