【この記事には「死役所 第70条 『私が殺しました②』のネタバレを含みます】
美幸ちゃん殺しの犯人はシ村さん。
そう決めつけてシ村さんを勾留し、取り調べを続ける警察。
取り調べが終わると留置場に入れられます。
留置場に入れられる際は、「危険物を持ち込ませない」という理由で、
身体検査が行われます。
警察官数人の前で、まずは真っ裸にさせられます。
左ひざに青あざがあり、「これは?」と聞かれたシ村さん。
「刑事さんに蹴られました」
強めに、抗議のように言ったように見えましたが、
「ああそう」
の一言で終わります。
時代が時代というのもあるんでしょうが…
警察は「こいつ」と決めた人間に、自白させてナンボという感じ。
そのためには手段も選ばない。
組織内でそれが常態化すれば、いちいち騒ぎたてもしない。
今はそうじゃない……と思いたいのです。
最後にガラス棒を肛門に差し込まれます。
これも昔は実際に行われていたようですね。
肛門内に凶器を入れ、持ち込む犯罪者がいたから、と。
実際には、容疑者・被疑者を精神的に追い込む目的もあったとか。
今も行われているのかは分かりませんが…。
取り調べは続きます。
同じことの繰り返しです。
「お前はあの日、
仕事が終わって遊びよる美幸ちゃんを連れて帰った。
そんで殺した」
「違います」
と答えると、机の下でひざに蹴りを食らいます。
「ちゃんと思い出せ。
美幸ちゃんを連れて帰って殺したんやろ?
お前がその手でやったんやろ?」
「思い出せ
どうやって殺した?」
ひざに蹴りを入れられながら、ひたすら自白を求められます。
堪(こら)えられず、それまで黙っていた「加護の会」の名前を出すシ村さん。
仕事を終えた後、幸子さんを連れ帰るために「加護の会」に行った、と。
「加護の会」としてはうそをつく必要もありませんから。
無事に確認が取れます。
これで放免…と思いきや、そうはいきません。
仕事を終えてすぐに「加護の会」に向かったシ村さん。
しかし、「加護の会」側の、シ村さんが来たという証言の時間に、
だいぶ差があったのです。
その理由を、走って「加護の会」に向かっていたところ、
転んで服がドロドロになり、靴も壊れた。
なので、着替えをしに一度家に戻った、と説明するシ村さん。
13巻の最後の「幸子⑤」を読み返すと、
シ村さんは仕事が終わって走って庁舎を出ていきました。
その後の描写は「加護の会」にいるところなのですが、服装変わってますね。
スーツを着ていたのが、ポロシャツにズボンです。
「転んだ」「着替えに家に帰った」描写はありませんが…。
シ村さんの説明する時間を、「美幸ちゃんを殺害した時間」と決めつける刑事。
幸子さんを迎えに行った際、連れ帰ることを断った蓮田栄徳さんを
殴ったことも、シ村さんの心証を悪くしています。
「お前は普段から気に入らんことがあると、人を殴るんやな」と。
美幸ちゃんに対して、手をあげることがあったのか、聞かれるシ村さん。
それはない、というシ村さんに対し、悪いことをしたら叱るのが親だろ、と反する刑事。
叱っても叩きはしない、と応じるシ村さん。
小突くくらいはあるだろう、という刑事に、それもない、とシ村さん。
「お前には本当愛情がなかったんやなぁ…
親やったらちゃんと躾するもんぞ
手をぺしっと叩くとか
それくらいはしてあげよったんか?」
「まぁ、それくらいは…」
しめたとばかりに畳みかける刑事。
「そいで叩いて土食わして、最後は殺してしまった」
是が非でも「やりました」と言わせたいようですね。
かなり無理やり、シ村さんを誘導してきます。
「おい、夕飯や」
出されたのは食器に入れられた「土」。
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「子供に土を食わせていた親」
普通に考えれば、非常識ですもんね…。
子供がそれしか食べなかった、なんて信じてもらえるはずは、ないですからねぇ…。
「食わんのか?
娘に食わしてお前は食わんのか?
食え!!!」
取り調べは厳しさを増していきます……。
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