王賁と尭雲
王賁と尭雲の一騎打ち。
決着がつきます。
亡き主、藺相如の遺言を胸に闘う尭雲。
「朱き平原を…敵の血でさらに深き朱に染めてやれ…」
数日前の王賁との戦いで、利き腕である右腕を潰された尭雲。
左手で大矛を、王賁目がけて力いっぱい振るいます。
王賁の槍よりも早く。
王賁、自分の右側からくる尭雲の大矛を、右手の槍で止めます。
しかし尭雲の矛は重く、王賁の右腕と騎馬の足が折れ、
体勢が崩れます……が、崩れた体勢のまま、
王賁が尭雲の胸の真ん中に、槍を突き刺します。
足をやられた馬から落馬する王賁に、尭雲の仇とばかり、斬りかかる趙兵。
信が駆けつけ、敵を払います。
ならば二人まとめて殺せェっ!
「待て…」2人に斬りかかろうとする趙兵を制止する尭雲。
藺相如の助言
自分が逝く前に、信と王賁に伝えておかねばならないことがある、と。
藺相如が、趙峩龍と尭雲の2人に遺した、2つ目の言葉が明らかになります。
一つ目は、中華を統一せんとする剣を持つ敵に会ったとき、
「全てをかけてそいつを殺せ」でした。
そして2つ目が…1つ目の敵を止められなかった場合、
その敵に対してこう助言せよ、と。
「お前たちが本当に中華を一つにする刃足らんと願うのならば
胸に深く刻んでおけ
何があろうと必ず
振り上げた刃は必ず 最後まで振り下ろせ」
振り上げた刃を振り下ろせない、振り下ろしたくない、
そんな場面にこそ先遭遇するであろうことを、藺相如は予見したのでしょうか。
武を持って中華を統一する、と決めた政や信達に、この後そんな場面が…。
おそらく藺相如は、相当デキる人だったんでしょうね。
病で早世しなければ、中華を統一したかもしれないくらい。
藺相如から託された遺言を信と王賁に伝え、
自身の責を全うした尭雲、馬上にてそのまま戦死…。
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