大奇襲
劣勢から一転、李牧が王翦軍の「起こり」を察知して
攻撃を仕掛けていたことを看破し、逆に合わせに行った
王翦軍は、攻勢に出ます。
このまま一気に前進……かと思いきや、奇襲に出る王翦。
中央の中でも左に陣を取り、共伯軍と相対していた田里弥(でんりみ)軍。
一方右に陣を取り、雷伯軍と相対していた王翦軍。
王翦軍が左に寄り、田里弥軍と強引に合流。
敵も、味方も、李牧でさえも予想しない展開。
王翦の意図は……。
混戦の中、戦いながら、陣を作り上げること。
「赤大鶴の陣」
更なる奇襲
王翦が最後尾に入れば完成する「大鶴の陣」
しかし、王翦は最後尾に入らず……陣の最前線に、
単騎で現れます。
これに合わせて、同じく単騎で最前線に現れる李牧。
ここにきて、まさかの総大将一騎打ち??
始まる対話。
総大将の対話
お互い、尻に火が付いていることは承知しています。
秦軍は兵糧が尽き、趙軍はこちらも食料が尽きたことで
鄴が落ちようとしています。
しかし、鄴は簡単には落ちない。
趙の160年の歴史の重みにかけて、
そんなことにはならないと反論する李牧。
王翦の反論。
国は歴史の重みでは救われない。
上に立つものが馬鹿であれば、それだけで国は滅びると。
確かに、趙王・悼襄王(とうじょうおう)はおそらく馬鹿です。
鄴攻めを察知した李牧が、邯鄲の兵を鄴に派遣するよう
趙王に依頼した際、ツルペタ幼女たちと
入浴中の悼襄王はこれを拒否。
邯鄲の兵は、邯鄲を、王である自分を守るためにいる、と。
鄴を失って国力が弱まっても、病弱な自分に
後のことは関係ない。
野となれ山となれ、先のことなど知ったことではない、と言う人間です。
今、趙の唯一の「重し」となっている李牧。
お前が消えさえすれば、間違いなく趙は一瞬で滅ぶ。
王翦は続けます。
自分と一緒に来い、と。
2人が手を組めば、全く新しい最強の国が作れる。
スカウト、と言うことなんですかね。
王翦はもともと自分が一番に、自分が王になりたい
野心を持った人間で、その危険さゆえにあまり日の目を
見る機会のなかった将ですから…。
本気で李牧と新しい国を作るつもりなのか、
或いはこれも揺さぶりなのか……。
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